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障がい者制度改革推進会議 第5回(H22.3.19) 文部科学省提出資料

特別支援教育の現状・動向について

1.特別支援教育の対象と体制整備状況

(1)特別支援教育対象者の現状

○障害のある児童生徒等が、自立し社会参加する資質を培うため、一人一人の障害の状態等に応じ、特別支援学校、小・中学校の特別支援学級、通級による指導等において、特別の教育課程、少人数の学級編制、専門的な知識・経験のある教職員、障害に配慮した施設・設備等を活用したきめ細かな教育を実施している。

○近年、特別支援学校(特に知的障害)、特別支援学級在籍者、通級による指導の対象者はいずれも増加傾向にある。

○小・中学校の通常学級では、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能自閉症等の発達障害により学習や行動面で特別な教育的支援を必要とする児童生徒数が約6%の割合で在籍している可能性が示されている。(平成14年文科省調査)

(2)学校における体制整備の進捗状況

○小・中学校は、校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名など基礎的な体制はほぼ整備されており、「個別の指導計画」や「個別の教育支援計画」の作成など、一人一人に対する支援の質の一層の充実が課題である。

○幼稚園・高等学校は、小・中学校に比べ体制整備に遅れが見られる。

○特別支援教育支援員の配置に関する地方財政措置を平成19年度より実施しており、平成22年度も拡充する予定。

  • 平成22年度の措置予定人数
    • 公立小・中学校:約34,000人(平成21年度:約30,000人)
    • 公立幼稚園:約3,800人(平成21年度:約3,800人)

○近年の生徒数増加に伴い、特別支援学校の教室不足が深刻化しており(平成21年2月調査時点で約2,800教室)、平成21年度補正予算等により対応。

2.特別支援教育の制度的現状等

(1)新たな特別支援教育の枠組み整備

○学校教育法等の一部改正(平成19年4月施行(別添1:平成19年4月通知参照))

  • 従来の盲・聾・養護学校を複数の障害種別に対応できる特別支援学校制度に転換
  • 特別支援学校が小・中学校の在籍児童生徒等の教育についての助言援助にも努める旨規定(特別支援学校のセンター的機能)
  • 幼・小・中・高等学校においても特別支援教育を行うことを法律上位置付け

○学習指導要領等の改訂

  • 幼・小・中(平成20年3月改訂)、高等学校(平成21年3月改訂)
    →特別支援学校のセンター的機能を活用しつつ、必要に応じて個別の指導計画や個別の教育支援計画を作成することや、交流及び共同学習の推進等の内容を盛り込む。
  • 特別支援学校(平成21年3月改訂)
    →小・中学校等に準じた改善を図るとともに、障害の状態等に応じた指導の一層の充実を図る観点から、①障害の重度・重複化、多様化への対応、②一人一人の実態に応じた指導の充実、③自立と社会参加に向けた職業教育の充実、④交流及び共同学習の推進等の内容を盛り込む。

(2)早期支援の重要性

○「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議」審議の中間とりまとめ(平成21年2月(別添2:審議の中間とりまとめ概要参照))

  • 早期からの教育相談・支援の充実、就学制度の在り方、居住地交流の促進、市町村教育委員会等の体制整備等

(3)高等学校の体制整備

○「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議高等学校ワーキング・グループ」報告(平成21年8月)

  • 高等学校における特別支援教育の推進体制の整備、発達障害のある生徒への教育支援(入学試験の配慮のあり方、指導の充実、進路指導) 等

(4)平成22年度予算案等(主なもの) ※括弧内は、平成21年度予算額等

  • 特別支援教育総合推進事業:約3億円(約6億6千万円)
  • 民間組織・支援技術を活用した特別支援教育研究事業:約4千万円(約7千万円)
  • 教科用特定図書等普及推進事業:約1億6千万円(約1億7千万円)
  • 特別支援教育就学奨励費負担:約74億7千万円(約71億1千万円)
  • 特別支援教育の充実のための教職員定数の改善:1,778人(382人)
    • 1,778人の内訳:小・中学校の通級指導の充実:1,418人、特別支援学校のセンター的機能の充実:313人、養護教諭:47人

別添1

19文科初第125号
平成19年4月1日

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長 殿
各都道府県知事
附属学校を置く各国立大学法人学長

文部科学省初等中等教育局長
銭谷眞美

特別支援教育の推進について(通知)

文部科学省では、障害のある全ての幼児児童生徒の教育の一層の充実を図るため、学校における特別支援教育を推進しています。

本通知は、本日付けをもって、特別支援教育が法的に位置付けられた改正学校教育法が施行されるに当たり、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(以下「各学校」という。)において行う特別支援教育について、下記により基本的な考え方、留意事項等をまとめて示すものです。

都道府県・指定都市教育委員会にあっては、所管の学校及び域内の市区町村教育委員会に対して、都道府県知事にあっては、所轄の学校及び学校法人に対して、国立大学法人にあっては、附属学校に対して、この通知の内容について周知を図るとともに、各学校において特別支援教育の一層の推進がなされるようご指導願います。

なお、本通知については、連携先の諸部局・機関への周知にもご配慮願います。

1.特別支援教育の理念

特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものである。

また、特別支援教育は、これまでの特殊教育の対象の障害だけでなく、知的な遅れのない発達障害も含めて、特別な支援を必要とする幼児児童生徒が在籍する全ての学校において実施されるものである。

さらに、特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒への教育にとどまらず、障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるものであり、我が国の現在及び将来の社会にとって重要な意味を持っている。

2.校長の責務

校長(園長を含む。以下同じ。)は、特別支援教育実施の責任者として、自らが特別支援教育や障害に関する認識を深めるとともに、リーダーシップを発揮しつつ、次に述べる体制の整備等を行い、組織として十分に機能するよう教職員を指導することが重要である。

また、校長は、特別支援教育に関する学校経営が特別な支援を必要とする幼児児童生徒の将来に大きな影響を及ぼすことを深く自覚し、常に認識を新たにして取り組んでいくことが重要である。

3.特別支援教育を行うための体制の整備及び必要な取組

特別支援教育を実施するため、各学校において次の体制の整備及び取組を行う必要がある。

(1) 特別支援教育に関する校内委員会の設置

各学校においては、校長のリーダーシップの下、全校的な支援体制を確立し、発達障害を含む障害のある幼児児童生徒の実態把握や支援方策の検討等を行うため、校内に特別支援教育に関する委員会を設置すること。

委員会は、校長、教頭、特別支援教育コーディネーター、教務主任、生徒指導主事、通級指導教室担当教員、特別支援学級教員、養護教諭、対象の幼児児童生徒の学級担任、学年主任、その他必要と思われる者などで構成すること。

なお、特別支援学校においては、他の学校の支援も含めた組織的な対応が可能な体制づくりを進めること。

(2) 実態把握

各学校においては、在籍する幼児児童生徒の実態の把握に努め、特別な支援を必要とする幼児児童生徒の存在や状態を確かめること。

さらに、特別な支援が必要と考えられる幼児児童生徒については、特別支援教育コーディネーター等と検討を行った上で、保護者の理解を得ることができるよう慎重に説明を行い、学校や家庭で必要な支援や配慮について、保護者と連携して検討を進めること。その際、実態によっては、医療的な対応が有効な場合もあるので、保護者と十分に話し合うこと。

特に幼稚園、小学校においては、発達障害等の障害は早期発見・早期支援が重要であることに留意し、実態把握や必要な支援を着実に行うこと。

(3) 特別支援教育コーディネーターの指名

各学校の校長は、特別支援教育のコーディネーター的な役割を担う教員を「特別支援教育コーディネーター」に指名し、校務分掌に明確に位置付けること。

特別支援教育コーディネーターは、各学校における特別支援教育の推進のため、主に、校内委員会・校内研修の企画・運営、関係諸機関・学校との連絡・調整、保護者からの相談窓口などの役割を担うこと。

また、校長は、特別支援教育コーディネーターが、学校において組織的に機能するよう努めること。

(4) 関係機関との連携を図った「個別の教育支援計画」の策定と活用

特別支援学校においては、長期的な視点に立ち、乳幼児期から学校卒業後まで一貫した教育的支援を行うため、医療、福祉、労働等の様々な側面からの取組を含めた「個別の教育支援計画」を活用した効果的な支援を進めること。

また、小・中学校等においても、必要に応じて、「個別の教育支援計画」を策定するなど、関係機関と連携を図った効果的な支援を進めること。

(5)「個別の指導計画」の作成

特別支援学校においては、幼児児童生徒の障害の重度・重複化、多様化等に対応した教育を一層進めるため、「個別の指導計画」を活用した一層の指導の充実を進めること。

また、小・中学校等においても、必要に応じて、「個別の指導計画」を作成するなど、一人一人に応じた教育を進めること。

(6) 教員の専門性の向上

特別支援教育の推進のためには、教員の特別支援教育に関する専門性の向上が不可欠である。したがって、各学校は、校内での研修を実施したり、教員を校外での研修に参加させたりすることにより専門性の向上に努めること。

また、教員は、一定の研修を修了した後でも、より専門性の高い研修を受講したり、自ら最新の情報を収集したりするなどして、継続的に専門性の向上に努めること。

さらに、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所が実施する各種指導者養成研修についても、活用されたいこと。

なお、教育委員会等が主催する研修等の実施に当たっては、国・私立学校関係者や保育所関係者も受講できるようにすることが望ましいこと。

4.特別支援学校における取組

(1) 特別支援教育のさらなる推進

特別支援学校制度は、障害のある幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた教育を実施するためのものであり、その趣旨からも、特別支援学校は、これまでの盲学校・聾学校・養護学校における特別支援教育の取組をさらに推進しつつ、様々な障害種に対応することができる体制づくりや、学校間の連携などを一層進めていくことが重要であること。

(2) 地域における特別支援教育のセンター的機能

特別支援学校においては、これまで蓄積してきた専門的な知識や技能を生かし、地域における特別支援教育のセンターとしての機能の充実を図ること。

特に、幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校の要請に応じて、発達障害を含む障害のある幼児児童生徒のための個別の指導計画の作成や個別の教育支援計画の策定などへの援助を含め、その支援に努めること。

また、これらの機関のみならず、保育所をはじめとする保育施設などの他の機関等に対しても、同様に助言又は援助に努めることとされたいこと。

特別支援学校において指名された特別支援教育コーディネーターは、関係機関や保護者、地域の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び他の特別支援学校並びに保育所等との連絡調整を行うこと。

(3) 特別支援学校教員の専門性の向上

上記のように、特別支援学校は、在籍している幼児児童生徒のみならず、小・中学校等の通常学級に在籍している発達障害を含む障害のある児童生徒等の相談などを受ける可能性も広がると考えられるため、地域における特別支援教育の中核として、様々な障害種についてのより専門的な助言などが期待されていることに留意し、特別支援学校教員の専門性のさらなる向上を図ること。

そのためにも、特別支援学校は、特別支援学校教員の特別支援学校教諭免許状保有状況の改善、研修の充実に努めること。

さらに、特別支援学校教員は、幼児児童生徒の障害の重複化等に鑑み、複数の特別支援教育領域にわたって免許状を取得することが望ましいこと。

5.教育委員会等における支援

各学校の設置者である教育委員会、国立大学法人及び学校法人等においては、障害のある幼児児童生徒の状況や学校の実態等を踏まえ、特別支援教育を推進するための基本的な計画を定めるなどして、各学校における支援体制や学校施設設備の整備充実等に努めること。

また、学校関係者、保護者、市民等に対し、特別支援教育に関する正しい理解が広まるよう努めること。

特に、教育委員会においては、各学校の支援体制の整備を促進するため、指導主事等の専門性の向上に努めるとともに、教育、医療、保健、福祉、労働等の関係部局、大学、保護者、NPO等の関係者からなる連携協議会を設置するなど、地域の協力体制の構築を推進すること。

また、教育委員会においては、障害の有無の判断や望ましい教育的対応について専門的な意見等を各学校に提示する、教育委員会の職員、教員、心理学の専門家、医師等から構成される「専門家チーム」の設置や、各学校を巡回して教員等に指導内容や方法に関する指導や助言を行う巡回相談の実施(障害のある幼児児童生徒について個別の指導計画及び個別の教育支援計画に関する助言を含む。)についても、可能な限り行うこと。なお、このことについては、保育所や国・私立幼稚園の求めに応じてこれらが利用できるよう配慮すること。

さらに、特別支援学校の設置者においては、特別支援学校教員の特別支援学校教諭免許状保有状況の改善に努めること。

6.保護者からの相談への対応や早期からの連携

各学校及び全ての教員は、保護者からの障害に関する相談などに真摯に対応し、その意見や事情を十分に聴いた上で、当該幼児児童生徒への対応を行うこと。

その際、プライバシーに配慮しつつ、必要に応じて校長や特別支援教育コーディネーター等と連携し、組織的な対応を行うこと。

また、本日施行される「学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成19年政令第55号)」において、障害のある児童の就学先の決定に際して保護者の意見聴取を義務付けたこと(学校教育法施行令第18条の2)に鑑み、小学校及び特別支援学校において障害のある児童が入学する際には、早期に保護者と連携し、日常生活の状況や留意事項等を聴取し、当該児童の教育的ニーズの把握に努め、適切に対応すること。

7.教育活動等を行う際の留意事項等

(1) 障害種別と指導上の留意事項

障害のある幼児児童生徒への支援に当たっては、障害種別の判断も重要であるが、当該幼児児童生徒が示す困難に、より重点を置いた対応を心がけること。

また、医師等による障害の診断がなされている場合でも、教師はその障害の特徴や対応を固定的にとらえることのないよう注意するとともに、その幼児児童生徒のニーズに合わせた指導や支援を検討すること。

(2) 学習上・生活上の配慮及び試験などの評価上の配慮

各学校は、障害のある幼児児童生徒が、円滑に学習や学校生活を行うことができるよう、必要な配慮を行うこと。

また、入学試験やその他試験などの評価を実施する際にも、別室実施、出題方法の工夫、時間の延長、人的な補助など可能な限り配慮を行うこと。

(3) 生徒指導上の留意事項

障害のある幼児児童生徒は、その障害の特性による学習上・生活上の困難を有しているため、周囲の理解と支援が重要であり、生徒指導上も十分な配慮が必要であること。

特に、いじめや不登校などの生徒指導上の諸問題に対しては、表面に現れた現象のみにとらわれず、その背景に障害が関係している可能性があるか否かなど、幼児児童生徒をめぐる状況に十分留意しつつ慎重に対応する必要があること。

そのため、生徒指導担当にあっては、障害についての知識を深めるとともに、特別支援教育コーディネーターをはじめ、養護教諭、スクールカウンセラー等と連携し、当該幼児児童生徒への支援に係る適切な判断や必要な支援を行うことができる体制を平素整えておくことが重要であること。

(4) 交流及び共同学習、障害者理解等

障害のある幼児児童生徒と障害のない幼児児童生徒との交流及び共同学習は、障害のある幼児児童生徒の社会性や豊かな人間性を育む上で重要な役割を担っており、また、障害のない幼児児童生徒が、障害のある幼児児童生徒とその教育に対する正しい理解と認識を深めるための機会である。

このため、各学校においては、双方の幼児児童生徒の教育的ニーズに対応した内容・方法を十分検討し、早期から組織的、計画的、継続的に実施することなど、一層の効果的な実施に向けた取組を推進されたいこと。

なお、障害のある同級生などの理解についての指導を行う際は、幼児児童生徒の発達段階や、障害のある幼児児童生徒のプライバシー等に十分配慮する必要があること。

(5) 進路指導の充実と就労の支援

障害のある生徒が、将来の進路を主体的に選択することができるよう、生徒の実態や進路希望等を的確に把握し、早い段階からの進路指導の充実を図ること。

また、企業等への就職は、職業的な自立を図る上で有効であることから、労働関係機関等との連携を密にした就労支援を進められたいこと。

(6) 支援員等の活用

障害のある幼児児童生徒の学習上・生活上の支援を行うため、教育委員会の事業等により特別支援教育に関する支援員等の活用が広がっている。

この支援員等の活用に当たっては、校内における活用の方針について十分検討し共通理解のもとに進めるとともに、支援員等が必要な知識なしに幼児児童生徒の支援に当たることのないよう、事前の研修等に配慮すること。

(7) 学校間の連絡

障害のある幼児児童生徒の入学時や卒業時に学校間で連絡会を持つなどして、継続的な支援が実施できるようにすることが望ましいこと。

8.厚生労働省関係機関等との連携

各学校及び各教育委員会等は、必要に応じ、発達障害者支援センター、児童相談所、保健センター、ハローワーク等、福祉、医療、保健、労働関係機関との連携を図ること。

(別紙参考資料 略 全文:http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/07050101.htm


別添2

特別支援教育の更なる充実に向けて(概要)
(審議の中間とりまとめ)
~早期からの教育支援の在り方について~

平成21年2月12日
特別支援教育の推進に関する
調査研究協力者会議

特別支援教育の更なる推進のための基本的な考え方

○障害のある子どもに対する多様な支援全体を一貫した「教育支援」と捉え、個別の教育支援計画の作成・活用を通じて、特別支援教育の理念の実現を図る。

1.早期からの教育相談・支援の充実

○教育委員会は、特別支援学校のセンター的機能等の十分な活用を図るとともに、体制整備や専門性の向上、医療、福祉、保健等関係機関との連携による情報共有化等を通じて、早期からの教育相談・支援の更なる充実を図ることが必要。

○幼稚園での個別の教育支援計画の作成・活用等を推進するため、教育委員会が首長部局等と連携しつつ、専門家チームの派遣や教員研修の機会を提供するなど、幼稚園等に対する支援を充実することが必要。

2.就学指導の在り方

○幼児教育段階から、義務教育への円滑な移行を図るため、市町村教育委員会が幼稚園、保育所、医療、福祉、保健等の関係機関と連携して就学移行期における個別の教育支援計画(※)を作成する。

(※)作成範囲:障害に応じた教育支援を必要とする者について必要に応じて個別の教育支援計画を作成することを目指しつつ、当面は、就学基準に該当する程度の障害がある場合に原則として作成。

障害のある子どもが就学する学校について、個別の教育支援計画の作成・活用を通じて、障害の程度が「就学基準」に該当するかどうかに加えて、必要な教育的ニーズ、保護者や専門家の意見、就学先の学校における教育や支援の内容等を総合的に判断して決定する仕組みとする

参考:現行制度)障害の程度が、学校教育法施行令に定める「就学基準」に該当する場合、原則として特別支援学校に就学し、小・中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める場合は、認定就学者として小・中学校に就学。

就学する学校の決定は、個別の教育支援計画の作成・活用を通じて保護者との共通認識を醸成し、保護者の意見を十分に踏まえることを前提として、制度としては義務教育を実施する責任を有する教育委員会が決定することとし、就学後も継続的な就学相談・指導を行うなど適切かつ柔軟できめ細かな対応を行うことが必要である。

3.継続的な就学相談・指導の実施

○小・中学校、特別支援学校における個別の教育支援計画作成を推進し、就学後においても 個別の教育支援計画の定期的な見直し等を通じた継続的な就学相談・指導を実施。

4.居住地の小・中学校とのかかわり

○特別支援学校に就学する児童生徒が、居住地の小・中学校との交流を深めるための取組(東京都の副籍、埼玉県の支援籍など)について、国においても指針を示すこと等により促進。

5.市町村教育委員会等の体制整備

○市町村教育委員会等が適切な教育支援を行うためには、教育委員会に特別支援教育の経験豊かな職員を配置したり、退職教員を非常勤職員等として配置したりするなどの体制整備を図ること等が必要。

6.障害者の権利に関する条約

○上記のように、障害のある子どもに一貫した教育支援を行うべく、個別の教育支援計画の作成・活用を通じて特別支援教育の一層の充実を図ることは、条約が求める障害者を包容する教育制度(インクルーシブ・エデュケーション・システム)の実現にも沿うもの。


参考資料1

障害のある子どもの就学に係る現行制度

1.障害のある子どもの就学に係る現行制度

障害のある子どもの就学先については、制度上、その障害の程度が就学基準(学校教育法施行令第22条の3)に該当する場合は、市町村教育委員会において保護者及び教育学、医学、心理学その他の障害のある児童生徒等の就学に関する専門的知識を有する者の意見を聴いた上で、特別支援学校への就学を、障害の程度が就学基準に該当していない場合には、小・中学校への就学を決定することとされている。また、障害の程度が就学基準に該当する場合であっても、小・中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると市町村教育委員会が認める場合は、小・中学校への就学を決定する(認定就学制度)こととされている。

なお、実際の就学相談・指導に当たっては、市町村教育委員会は、保護者や専門家の意見を聴いた上で総合的な見地から判断することとなっている(「障害のある児童生徒の就学について」(平成14年文部科学省初等中等教育局長通知))。

現在の就学手続きについて、法令上は、就学する前年度の10月31日までに学齢簿が作成され、原則として11月30日までに就学時健康診断を実施し、その結果に基づき保護者や専門家からの意見聴取を行った上で、保護者に対して翌年1月31日までに就学先を決定・通知することとされている。しかし、実際には、多くの市町村において、入学の1年ほど前から就学相談や体験入学等を行うなど、就学に向けての取組を早期から実施するようになってきている。

2.近年の就学相談・指導等の改善に関する取組

就学相談・指導に関し、国は、近年、以下の通り、就学基準や就学手続きの弾力化等の見直し、市町村教育委員会が就学先を決定する際の専門家や保護者の意見聴取の義務付けなどの改善を行っている。

①平成14年学校教育法施行令(政令)の改正

  • 医学や科学技術の進歩等を踏まえ、教育学、医学の観点から、盲・聾・養護学校(当時)に就学すべき障害の程度(就学基準)を改正。
  • 就学基準に該当する児童生徒については、その障害の状態に照らし、就学に係る諸事情を踏まえて、小・中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると市町村教育委員会が認める場合には、小・中学校に就学させることができるよう就学手続きを弾力化(認定就学の制度化)。
  • 障害のある児童の就学制度に当たり、専門家の意見聴取を市町村教育委員会に義務付け。

②平成19年学校教育法施行令(政令)の改正

  • 障害のある児童の就学に際して、日常生活上の状況等をよく把握している保護者の意見を聴取することにより、当該児童の教育的ニーズを的確に把握できることが期待されること等から、保護者からの意見聴取を市町村教育委員会に義務付け。

【参考資料2】

関係法令

1.障害のある子どもの就学に関する手続きに係る現行の規定

○学校教育法施行令(昭和二十八年政令第三百四十号)抜粋

(入学期日等の通知、学校の指定)

第五条 市町村の教育委員会は、就学予定者(法第十七条第一項又は第二項の規定により、翌学年の初めから小学校、中学校、中等教育学校又は特別支援学校に就学させるべき者をいう。以下同じ。)で次に掲げる者について、その保護者に対し、翌学年の初めから二月前までに、小学校又は中学校の入学期日を通知しなければならない。

一 就学予定者のうち、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)で、その障害が、第二十二条の三の表に規定する程度のもの(以下「視覚障害者等」という。)以外の者

二 視覚障害者等のうち、市町村の教育委員会が、その者の障害の状態に照らして、当該市町村の設置する小学校又は中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める者(以下「認定就学者」という。)

2・3(略)

2.特別支援学校の目的・定義に係る規定

○学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)抜粋

第七十二条 特別支援学校は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。

第七十五条 第七十二条に規定する視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者の障害の程度は、政令で定める。

○学校教育法施行令(昭和二十八年政令第三百四十号)抜粋

第二十二条の三 法第七十五条の政令で定める視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者の障害の程度は、次の表に掲げるとおりとする。

区分 障害の程度
視覚障害者 両眼の視力がおおむね〇.三未満のもの又は視力以外の視機能障害が高度のもののうち、拡大鏡等の使用によつても通常の文字、図形等の視覚による認識が不可能又は著しく困難な程度のもの
聴覚障害者 両耳の聴力レベルがおおむね六〇デシベル以上のもののうち、補聴器等の使用によつても通常の話声を解することが不可能又は著しく困難な程度のもの
知的障害者 一 知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通が困難で日常生活を営むのに頻繁に援助を必要とする程度のもの
二 知的発達の遅滞の程度が前号に掲げる程度に達しないもののうち、社会生活への適応が著しく困難なもの
肢体不自由者 一 肢体不自由の状態が補装具の使用によつても歩行、筆記等日常生活における基本的な動作が不可能又は困難な程度のもの
二 肢体不自由の状態が前号に掲げる程度に達しないもののうち、常時の医学的観察指導を必要とする程度のもの
病弱者 一 慢性の呼吸器疾患、腎臓疾患及び神経疾患、悪性新生物その他の疾患の状態が継続して医療又は生活規制を必要とする程度のもの
二 身体虚弱の状態が継続して生活規制を必要とする程度のもの

備考

一 視力の測定は、万国式試視力表によるものとし、屈折異常があるものについては、矯正視力によつて測定する。
二 聴力の測定は、日本工業規格によるオージオメータによる。


【参考資料3】

子ども・子育てビジョン~子どもの笑顔があふれる社会のために~
(平成22年1月29日 閣議決定[抜粋])

施策の具体的内容

(8)特に支援が必要な子どもが健やかに育つように

≪障害のある子どもへの支援に取り組む≫

障がい者制度改革推進本部における取組

  • 障がい者制度改革推進会議の議論を踏まえて、障害のある子どもの支援を含む障害者制度の改革を推進します。

特別支援教育の推進

  • インクルーシブ教育システムの構築という障害者権利条約の理念を踏まえ、発達障害を含む障害のある子ども一人一人のニーズに応じた一貫した支援を行うために、関係機関等の連携により学校現場における特別支援教育の体制整備を進めるとともに、教員の特別支援教育に関わる専門性の向上等により、特別支援教育の推進を図ります。

【参考資料4】

平成21年11月18日 衆議院文部科学委員会における鈴木寛 文部科学副大臣
答弁 <抄録>(インクルーシブ教育推進に係る考え方について)

○鈴木副大臣:インクルーシブ教育と特別支援教育は相反するものではなく、同じ方向を向いたものであり、その時々の状況に応じて不断に促進することを、よりきちんとやっていくことに尽きると思う。