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障がい者制度改革推進会議

DINFのお知らせ

シンポジウム 「もっと知ろう、デイジー教科書を!」
日時:2013年02月03日(10:30~16:00)
場所:戸山サンライズ 大研修室
 

Enjoy Daisy 読めるって楽しい!

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障がい者制度改革推進会議における協議に対する意見(レジュメ)

障がい者制度改革推進会議
議長 小川 榮一 殿
全国特別支援教育推進連盟
理事長 三浦 和

全国特別支援学校長会 全国特別支援学級設置学校長協会 全国盲学校PTA連合会
全国聾学校PTA連合会 全国特別支援学校知的障害教育校PTA 連合会
全国肢体不自由特別支援学校PTA 連合会 全国病弱虚弱教育学校PTA 連合会
全日本手をつなぐ育成会日本肢体不自由児協会全国肢体不自由児・者父母の会連合会
全国重症心身障害児(者)を守る会 全国視覚障害児(者)父母の会
全国聴覚障害者親の会連合会 全国病弱・障害児の教育推進連合会 (加盟14 団体)

1. 準ずる教育について

*障害の状態などにより、小学校、中学校と全く「同じ」にはできないため、 幅のある表記が望ましい、したがって現行のままで良い。

2.学籍の一元化について

*保護者の選択権に委ね通学している学校と籍のある学校が個々に違うこと になるとすれば、それは特別支援学校の存続の危機である。

3.就学先の決定について

*選択権は保障されるべきである、しかし、保護者の判断だけに委ねない協 議の場も必要である。

4.特別支援学校・特別支援学級の存続について

*廃止には反対、障害のある子どもたちには条件整備のされた学校・学級が 必要です。

5.特別支援学校の寄宿舎について

*障害によっては家庭だけでは適切なしつけや生活力を身につけることが難 しい。

6.コミュニケーションについて

*障害に応じた様々なコミュニケーション手段を早期から身につける必要が あり、特別支援学校の役割は大きい

7. 職業教育と進路指導

*盲学校、聾学校を含む特別支援学校などの教育に期待するところが大きく、 更なる専門性の向上を望む。

障がい者制度改革推進会議
議長 小川 榮一 殿

障がい者制度改革推進会議における協議に対する主な意見

全国特別支援教育推進連盟
理事長 三浦 和

会議の委員に障害者が選ばれていることは評価しますが、意志表示ができる 人に限られ、意志表示が明確にできない人・その保護者が選ばれていないこと が不本意です。今後のまとめには、意志表示が明確でない人の思いや願いを必 ず加えてくださることを強く要求します。

私たちは性急な教育改革を望んでいません。どのような目的で誰のために改 革をしようとしているのかわかりません。障害のある子どもたちが、安心・安 全に学校生活が送れる環境を望んでいます。安全・安心な環境で、心穏やかな 学校生活を送れるのは、小学校・中学校の通常の学級ではなく、障害の状態に 応じた環境を設定してある盲学校、聾学校を含む特別支援学校・特別支援学級 です。

そして、私たちは盲学校、聾学校を含む特別支援学校・特別支援学級を選択 し、わが子にふさわしい教育が受けられ、自立し、社会参加ができることを願 っています。

決して、小学校、中学校に籍がないことを差別であるとは思っていません。 したがって学籍の一元化には反対です。

また、障害のある子どもとない子どもとがいつも一緒にいることが機会均等 であること、平等であることとは考えていません。同じ場所にいなくても障害 に応じた適時適切な教育が受けられることが、機会均等、平等であると考えて います。

そのため特別支援教育をさらに充実し、子どものニーズに応じた教育を行う ことが良いと考えています。

特別支援学校の施設・設備をより良く整備し、教育の専門性を今のレベルよ り高いものにするなど条件整備をさらに進める必要はありますが、盲学校、聾 学校を含む特別支援学校・特別支援学級をなくしてしまうことには断固反対し ます。

なぜなら、わが子が安全で安心して通える、生活のできる場、学校が奪われ てしますからです。昭和54 年(1979)の養護学校教育の義務制以前の状態には 戻してほしくありません。学校へ行けないみじめさは、再度味わいたくありま せん。

医療的ケアが必要な子ども、移動が自分でできない子どもなど小学校・中学 校の通常の学級の中では、とても学習や生活ができない子どもたちがたくさん いることを考慮して、協議がなされているとは思えません。医療的ケアが必要 な子どもを通常の学級でどのようにしようとしているのか、生命の保障がある のか疑問がいくつもあります。

そして、音、光、臭い、人の圧迫感など私たちとは感覚の受け止め方が違う 感覚が過敏な子どもたちがたくさんいます。この子どもたちを小学校、中学校 で無理やり生活させることは、その場から逃げ出したりストレスを溜めたりす ることに繋がり、二次障害をおこす心配があります。

また、障害の種類や状態に応じたコミュニケーションの手段を獲得していく ためには盲学校、聾学校を含む特別支援学校などの教育に期待するところが大 きく、外部の専門家と連携した更なる専門性の向上を望んでいます。これらの ことは小学校・中学校の通常の学級では、とても望める状況にはありません。

職業教育、進路指導についても、盲学校、聾学校を含む特別支援学校にいて 生徒一人一人の適性に応じた指導、支援が常時行われています。このことにつ いても盲学校、聾学校を含む特別支援学校に代わるものはありません。

≪各団体からの主な意見≫

1.準ずる教育について

*私たちは「準ずる」とは原則として、同一ということを基本に受け止めて いる。

しかし、子どもの障害の状態や特性等を十分考慮することが大切であると 考えている。

例えば、視覚障害の子どものボール運動や理科の実験・観察、聴覚障害 や言語障害の子どもの音楽や歌唱、肢体不自由の子どもにの体育の実技、 家庭科の実習などがあげられる。

また、LD(学習障害)の子どもの書き取りや筆算や暗記などに配慮するこ とである。ADHD(注意欠陥多動性障害)、自閉症の子どもに対しては話し て伝えるだけでなく、メモや絵など視覚による手段を活用することなどの 配慮が必要であると思う。

*子ども達の習得には工夫と合理的な配慮が必要である、40 人クラスの普通 教育では習得が難しいため、その力に応じた指導が必要であり、差別では ない、習得方法の工夫である。

*盲学校では体育でもフロアバレー・盲人野球・ゴールボール・サウンドテ ニス等、盲学校独自のものがあり視力障害を持つ生徒が、小学校、中学校 の中で教育を受けるのはとても困難である。

2.学籍の一元化について

*学籍は通学している学校にあることを望む。

*保護者の選択権に委ね通学している学校と籍のある学校が個々に違うこと になるとすれば、それは特別支援学校の存続の危機である。

*聾学校の存続が望ましいため一元化には反対である。

3.就学先の決定について

*選択権は保障されるべきである。

*保護者の希望だけに委ねない協議の場が必要であり、障害のある子どもの 成長に必要な指導、支援の場が欠かすことができない。長期にわたる綿密 な教育相談、就学相談が必要である。

*先ず、教育を受ける権利の主体は、児童自身にあると考えるが、そのうえ で、どのような教育を受けるかを保護者の選択権にすべて委ねることには 議論が必要である。

*適切な就学先の選定にあたっては、地域の医療、福祉等の関係機関や連携 も含め、子ども一人ひとりのニーズに応じた個別の教育支援計画に基づい てなされるべきであると考える。

ついては、現在の就学先決定手続きの中に個別の教育支援計画を明確に 位置づけ、機能させる必要があり、その個別の教育支援計画は、市町村教 育委員会が関係機関ならびに保護者の意見を踏まえ、作成する必要がある と考える。特にその計画に基づいた支援体制の確保や就学先の選定に際し ては、都道府県教育委員会との連携を図る一方、保護者の十分な理解とと もに保護者の意向を最大限尊重する必要があると考える。

4.特別支援学校・特別支援学級の存続と条件整備について

*特別支援学校の廃止に反対である。

*日本独自のインクルーシブ教育を構築することを強く望む。

*特別支援教育は整備、発展途中であることから、廃校とせず充実と整備を 希望する。

*特別支援教育の存在意義はとても大きく、特別支援学校としての教育の充 実を希望する。

*重い障害を持っていても子どもたちは教育によって、生きる力をもつ、そ のための特別支援教育は保護者の願いである。

*条件整備のうち聴覚障害教育を受けるのに必要な最低限の施設・設備は確 保して欲しい。

*聴覚障害教育の専門性を確保するための条件整備が必要である。

*特別支援学校としての教育の充実をお願いしたい、視力に障害を持つ生徒 が、小学学、中学校の中で教育を受けるのはとても困難だからである。

*盲学校が特別支援学校としてセンター的機能を担い、専門性をもった経験 豊かな教員が、普通学校でのインクルーシブな教育に繋げていけると思う。

*病弱特別支援学校では多様な病気をもった子が増えている、そのため、医 療に精通した人材育成を図ってほしい。

*病院の中で、教育を受ける環境整備を国レベルで確立してほしい。

*総ての特別支援学校(病弱教育部門)に高等部を設置してほしい。

*特別支援学校では、根気よく児童生徒に寄り添い、身辺自立をはじめ体力 や体調管理、食育、人間関係や進路指導では現場実習を繰返し、これから 彼らが歩むべき道に必要なキャリア力を身につけることができます。

さらなる教員の資質向上と専門的な指導の充実、知的障害・自閉症等の 児童生徒が安心して活動できる施設整備の充実を望む。

5.特別支援学校の寄宿舎について

*障害児を強制的に親から離し施設等へ措置する場合とは違う。学齢期に家 庭から分離しにくい障害のある子ども達が親から離れて宿泊等の経験がで き、自立への大きなステップになる。

*寄宿舎に入所することを本人も親も望んでいない場合でも、寄宿舎の指導 員と目的をもって指導していくうちに依存しがちな子どもが母子分離をで きたり、親も子離れする機会など、障害のある子どもの成長に有効である。

*聾学校には寄宿舎が必要である。

6.コミュニケーション手段の獲得について

*筋ジストロフィーなど障害がある子どものコミュニケーション保障に役立 つパソコン学習の機会を早い段階で提供すてほしい。

*現在、全国の特別支援学校にパソコンが導入され、高等部ではパソコンが かなり授業に使われているが、さらに内容を充実するとともに中学部・小 学部においても授業に積極的に取り入れることを研究してほしい。

*文字放送、電子黒板等のIT機器を活用した教育がおこなわれる条件整備 を進めてほしい。

*聴覚障害の生徒の手話についてはコミュニケーションの手段として、大き な役割を果たすので学ぶ機会を設けることを研究してほしい。

7.職業教育と進路指導の充実

*卒業後の進路先の確保、三療(あん摩・はり・灸)以外の大学、一般就労、 福祉就労の新たな職場開拓がある中で、高等学校で卒業後の進路が確保で きるのかという疑問がある。

*特別支援学校では、作業学習や将来学習などを通して、働く力、継続して 取り組む力、人との関わり、金銭感覚、マナーなど、進路指導に結びつく 学習を行っている。そこで身につけた力を十分に発揮できるよう生徒の障 害と特性に応じて、適切な就職口を開拓しえる。就職後も、卒業後の支援 で経過を追っている。ここまでできるのは盲学校、聾学校を含む特別支援 学校である。

*特別支援学校の高等部では、1 年からインターシップや現場実習などを積み 上げて少しずつ就労につなげていきます。理解に時間がかかったり、コミ ュニケーションに困難のある生徒の場合、「面談で自分の良いところをアピ ール」するなど考えられませんが、数週間でも実際に仕事をしながら見て いただけるとことで、得意なことやがんばれることを見つけていただき、 就労に結び付くこともあります。

また、一方で、職場の方にも「こんな風に支援すると理解でき、仕事もで きそうだ」と伝えられることもあるかと思います。

気がかりなのは「障害児も普通学級で」となると、「障害のための就労の 場」も差別なのでしょうか?最低賃金分働くことが難しい方の場合、仕事 にもつけない?一生在宅?たとえ飢え死にしない程度の手当がいただけた としても、働く場もなく、ただ時間が過ぎるのを待つ(死ぬまで)の人生は、 ありえないと思うのですが。

8. 全般的な意見

*教育分野の制度改革を検討する場合は、当事者団体や教育関係者を含めた 部会を作り、必要な財政面の措置、リソース、人材の養成・確保等も織り 込んだ検討及び制度設計を行なってほしい。

*親として、我が子への願いとしては、障害があろうがなかろうが、幼児期 には幸せな保育の時間を、学齢期には学ぶ喜びを、そして、青年、成人期 には、働く喜びや社会で(わずかでも)役立っているというプライドを持っ て充実した生活をと、人としての当たり前の幸せを味わって欲しいと思っ ています。重ねて言うと障害があってもそれ自体は不幸ではないからであ う。でも、障害があるゆえに、こうした当たり前の幸せを味あわせてやれ なかったら、それは、とても不幸だと思います。本校の学区域には、本人 が傷つき、家庭も壊れた方がたくさんおられ、日々実感していますが、小 さい頃に、適切な援助の手立てがあればと思うことも多々あります。