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第20回と第21回の報告-リレー 推進会議レポート7-

大濱 眞(おおはままこと)
社団法人全国脊髄損傷者連合会副理事長

第20回(9月27日)

 障害者基本法改正に関連して、5項目にわたり関係各省からのヒアリングを行った。

 ユニバーサルデザインについては、経産省から、主にJIS規格の制定、NEDOによる補助・支援を行い、普及に努めているとの説明があった。これに対し構成員からは、静電気式タッチパネルの弊害、DVDの字幕義務付けなどの意見・質問が出た。

 障害の予防については、厚労省から、調査・研究、二次障害の予防、全般的な施策、難病対策などについての説明を受けた。構成員からは、研究に関する情報開示要求(HPや図書館では閲覧可能、障害者がアクセス可能かは検証する、と回答)、成果の検証における当事者参画などの意見が出た。

 スポーツについては、文科省がスポーツ振興全般、厚労省が障害者スポーツに関わる施策を所轄し、平成13年からは両省で連携協議会を毎年開催している。構成員からは、パラリンピックなどの競技について、参加者や支援者が参加できる環境を整えることなどが要望として出された。

 文化については、文化庁から、国立文化施設のバリアフリー化、障害者アートに関する厚労省との連携、文芸作品へのルビ振りなど著作権法との関係について説明を受けた。構成員からは、一律的なバリアフリー施策では個別ニーズに対応できないなどの意見が出た。

 住宅については、まず国交省から住宅施策全般についての回答があった。公営・民間住宅ともに、住宅セーフティネット法で対応している。入居・収入基準の緩和については、地域主権改革との関係で地方公共団体の判断となるとの返答。厚労省からは、グループホームやケアホームでは居宅支援サービスは基本的に利用できず、支援や介護は事業者に任せられていること、消防法の規制による設備設置のための支援について説明があった。構成員からは、住宅に関する条例委任は国交省として相対的欠格条項の廃止を明言してからにしてほしい、グループホームなどの建設の際に地域住民の同意書を求めさせる(国では撤廃済みの制度)自治体の在り方などについて指摘があった。

第21回(10月12日)

 障害者基本法改正の条文イメージと、地方のモニタリング機関について検討された。特に前者については、推進会議での議論を元に作成された改正条文イメージが事務局から提示され、その内容を検討・精査する形で進められた。

 目的条項の条文イメージでは、障害者が権利の主体であること、分離・隔離の否定、インクルーシブ社会や「障害者の権利の実質的な確保」などが盛り込まれた。これに対して構成員からは、「実質的な」という言葉の使い方が不適切であるという指摘など、より適切な文言を推挙する意見が多かった。また、基本法前文を新設して国や地方公共団体の義務を明記する、権利条約の履行を法の目的として入れる、との意見も出された。

 障害の定義については、身体・知的・精神およびその他心身機能の損傷としている点に意見がほぼ集中した。権利条約では3障害と「感覚的な機能障害」が定義に入っている、「その他」は不要、機能障害で定義すべき、むしろ定義はいらない、などの意見が出る一方、条約内の定義で「感覚的な機能障害」が入った経緯を踏まえるべき、定義は列挙式にすべき、との意見も出た。

 基本的理念については、地域生活権の保障について、「自らの判断により」地域生活を営むという文言への指摘、特定の生活様式を義務付けられないことを入れるべきとの意見が出た。また、手話を言語と明記することへの反対、賛成意見がそれぞれ出た。

 差別禁止については、将来の差別禁止法の根拠となる規定を入れるべき、との意見が多く出た。内容としては、合理的配慮の義務化、間接差別に家族や介助者への差別が含まれるのかどうか、女性や子どもなどへの複合的差別を書き入れることが意見として出された。このほか、国および地方公共団体の責務、国民の責務、施策の基本方針、障害者基本計画等について、改正イメージが提示された。

 地方のモニタリングについては、①地方にモニタリング機関を置くべきか、②設置するとすれば地域主権改革の考え方と矛盾しないか、③モニタリング機関の具体的イメージ、の3点で意見が交わされた。地方にモニタリング機関を設置することは必要であり、地域主権の考え方とも矛盾しないとの意見が多数だった。しかし、その設置に際して、権限の強さ、評価制度の仕組み、業務をこなせるだけの人員の確保など、多くの問題が指摘された。

地域主権改革との関係

 現行の障害者基本法では、都道府県と政令指定都市の地方障害者施策推進協議会については必置とされ、その他の市町村では任意とされている。これに対して、第22回推進会議で提示された条文イメージでも、都道府県と政令市の地方障害者政策委員会は必置、その他の市町村は任意、となっている。

 地域主権改革では、国が法律で新たな必置機関を自治体に課すのではなく、むしろ自治体の裁量に任せていく方針である。このことが、市町村の障害者政策委を任意から必置へ強化する上での足枷になっているのだ。

 しかし、障害者施策は市町村中心主義が進展している典型的な分野である。それが、地域主権改革でさらに市町村の裁量が拡大していくことになる。このように、市町村レベルの障害者行政が中央政府による事前統制から解放されていくなかで、地域間格差の拡大を防ぐには、障害者政策委による事後統制がますます重要になるのではないか。


原本書誌情報
大濱 眞.第20回と第21回の報告(リレー推進会議レポート7).ノーマライゼーション 障害者の福祉.2010.12,Vol.30, No.12, p.46-47.

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