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資料2-2

ワーキング・セッションⅡ:精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援など議論の整理(たたき台)

〔基本計画該当項目:「1.生活支援」「2.保健・医療」「5.生活環境」〕

(1)精神医療の在り方について

○単に物理的な空間や設備が病室ではなく居住施設であるというだけで、地域移行の権利が実現されているということは言えない。

○権利条約は、最初から地域で生活をする権利の保障、入院をしないで済むような政策を求めており、入院している人を退院させることが第一義的な意味ではない。地域移行を考えるのと同時に、現に精神障害のある方、今後障害を負うことになる方が、地域で生活できるような資源を開発することが重要。

○入院を避けるための代替措置や、退院を促進するための地域の資源に対する財政的な投入の度合いが低い。法改正でもっと要件を厳格化する努力は必要であり、財政的にも地域資源に配慮した資源開発の必要がある。

○社会的な役割を失った精神科病棟は閉鎖すべきもの。用途を変えて再び人を隔離・収容するために利用すべきではない。

○自発的な入院である任意入院において事実上退院の自由はなく、任意入院の方が長期入院の割合が高いことが問題。精神科入院医療において、地域生活をしたいという希望を失った人がたくさん作り出されていることを示している。

○精神科病棟の密室性が問題。利害関係のない第三者が病棟に来て、入院中の方の権利擁護者として付くことが必要。

○本人にとって不本意な強制入院時に本人の話を聞き、応援できる権利擁護者(第三者による監視体制)が必要不可欠。精神保健福祉法の附則において「代弁者制度の検討」ということが書き込まれているが、現場では実現されていない。(2-(2)-4)

○精神保健指定医制度の制度的欠陥の問題。入院中の行動制限に関して一人の指定医に権限が集中しており、本人の権利を守る仕組みがないことが問題。

○医療法の特例の中で精神科医師は 48床に1人いればいいとなっている。診察の折、主治医に落ちついて話を聞いてもらえず、信頼関係が取り結べないまま長期間の収容となっていることが、人権侵害が発生する土壌になっている。(2-(2)-7)

○精神保健福祉法33条が医療保護入院を規定していることが妥当なのかは再検証をする必要がある。

○医療保護入院は、民間人が民間人に対して強制力を行使するという形態になっており、国際的に理解を得るのは難しい。

○医療法の施行規則第10条3号に精神病患者は精神病室でない病室に入院させないことと記載されており、他科の医療従事者からの治療拒否ということが現在も存在している。(2-(2)-6、2-(2)-7)

○(ワーキング・セッションⅡ(第2回))資料3-6精神病床の利用状況調査結果報告として出しているような調査を継続的に実施してほしい。(第23回障害者政策委員会配布資料4-5)

○認知症に関して、精神科医療を中心とすべきではない。新オレンジプランの循環型の仕組みが問題。

(2)地域移行のための環境整備について

○障害のある方や精神障害のある方に出向いて、福祉的サービスや医療的サービスを提供するという地域でのモバイルチームが求められている。地域ケアの支出の増加や地域ケアへの人員配置の増加など、地域で生活を支えながら医療や福祉を提供することが必要。

○報酬が低すぎるために、地域移行支援から撤退していく事業者が増加している。利用人数の少なさの背景をもう一度分析していただき、精神障害の障害特性に見合った予算の設定を求めたい。

○家族等の同意で入院させる制度があることが、長期入院を生む一つの要因になっている。家族に対する社会的なサポートが乏しい。(2-(2)-3)

○精神障害者に対する専門職の養成を強く望みたい。

○民間の入居に関しては、精神障害者ということでなかなか受け入れてもらえていないという実情がある。(5-(1)-2)

○進行性疾患あるいは筋疾患の難病患者にとって、将来の病態の変化に伴って、生活状態の変化に対応した医療や福祉、施策の総合的な相談窓口が身近なところに存在してほしい。(1-(2)-2)

○福祉ハイヤーの数が伸びているとのことだが、実感は全くない。基準自体が、私たちの思っている福祉タクシーの基準と違うのではないか。福祉タクシーとは何なのか、あるいは障害者自身が抱えているタクシーへの情報アクセスにどういう問題があるのか、検討してほしい。(5-(2)-4)

○ユニバーサル(デザイン)の基準というものが、どういう基準に合わせていったらいいのかを考えてほしい。(5-(3)-4)

(3)在宅における医療的ケアの充実について

○どんなに重度で医療的ケアが必要であっても地域で一人暮らしは可能である。医療的ケアが必要な人は一人暮らしは無理だという偏見・差別をなくし、地域で人間らしく生きられるための 24時間の介護保障をして欲しい。

○居宅介護で喀痰吸引等の支援を必要としている人が、785人というのは少ない。必要としているけれどもサービスが受けられないという人が多く潜在しているのではないか。

○必要なサービスが地域によって偏ることがなく、対象者の需要に沿って提供されているのか。札幌市の重度心身障害児(者)に関するデータの年齢の構造を見ると、18歳以上では約5割の333名が在宅。ところが、18歳未満の児童では、89%の方が在宅で暮らしている。18歳を超えた段階で50%の方に減ってしまうと読み取れるのではないか。これは24時間介護の支給決定者が少ないこと、あるいは必要なサービスが提供されていないことの裏返しではないのか。(1-(2)-1、1-(2)-2)

○子供の場合、例えば人工呼吸器使用で常時介護や見守りが必要という場合であっても、子供は1カ月13時間までしか居宅介護時間は出さない、2時間以上連続のサービスは提供できない、未就学児は移動支援は一切認めていないという市町村がある。各サービスの実施状況の報告に、子供の利用状況がわかるようにしてほしい。子供であることで一律の扱いをするべきではないということを市町村に周知してほしい。

○療養介護というのは施設入所ということであり、施設内で24時間 365日を完結する制度。子供が重度で、医療の支援が必要だが、療養介護を利用すると、施設にしかいられず日中ほかの生活を選択できない。故に、在宅で医療的な支援が受けられず、親は大変だが、子供のことを考えたら療養介護を選ぶことができない人が多い。

○療養介護を必要としている子供たちのニーズをどうとらえていくのか。進行性の難病の子供たちはこれから障害が重くなるが、重度にならなければ使えないとなると、児童福祉法を背景にした政策と療養介護の区分5というものが、つながっていないのではないか。(1-(3)-3、1-(3)-5)

○医療的ケアが必要でも、日中活動としてその方々を受け入れることのできる制度上の仕組みは、生活介護しかない。

○地域で暮らしやすくなるかはホームヘルプの支給と合わせて日中活動の場の確保と言われている。平均で4人程度の看護師が必要であることがポイントであり、要望としてお願いしたい。

○地域の中に小さな拠点があるほうがより多くの人に関わってもらいやすいが、ケアホームが進んでも、人工呼吸器をつけた人までは手が回らない。採算が合わないので、やるところも出てこない。

○バクバクの会で昨年行った実態調査では、7割以上の親が学校での付き添いをさせられており、付き添いをしている親のほぼ全員が医療的ケアも行っている。喀痰吸引等の制度が最大限有効活用され、保育・教育の場でも医療的ケアが提供されるように研修費の補助や医療的ケア実施体制の補助費をつけるなどしてほしい。(1-(3)-4)