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資料3

「障害を理由とする差別の禁止に関する法律の制定等」に関する差別禁止部会の意見(部会三役の原案2-1)
【国等の責務】

第1、国の基本的責務

1、差別防止に向けた調査、啓発等の取り組み

 本法の目的は障害に基づく差別をなくすことにある。
 このため、国は、まずは現状を把握した上で差別行為の防止を図ることが求められる。現状把握としては、差別実態についての調査を行い、収集した情報を整理して施策の基礎に据えるとともにこれを一般に提供し、差別の防止に関しては、学校やその他の場面で障害の正しい理解を含めた啓発及び知識の普及を含む総合的な施策を策定してこれを実施することが求められる。

2、情報提供とガイドラインの作成

 本法は、国や地方自治体を含め、国民相互間の関係を規律することを目的とするものであるので、本法に対する事業者を含む、国民の幅広い理解が必要となる。
 このため、国は、これらの理解を広めるため本法に関する広報・情報提供に努めるとともに、本法の実効性を確保するために、不均等待遇や合理的配慮に関するガイドラインを作成してこれを広く周知しなければならない。
 このガイドラインの作成においては、事業者、障害者、障害者の家族等の参画を図りつつ、状況の変化に応じて見直していくことが求められる。

3、関係機関の連携の確保

 本法の対象とする分野は多岐にわたり、その円滑な施行には関係機関が相互に協力しつつ、それぞれの立場からの取組を進めることが必要である。
 このため、国は、関係機関相互の連携を確保するための体制の整備等を行うことが求められる。

4、円滑な救済の仕組みの運用と状況報告

 本法は、差別事案が発生した場合の簡易で迅速な解決の仕組みを提供するものである。
 このため、国は、これらの仕組みが円滑に運用されるよう、その実施状況を検証するとともに、解決事案、未解決事案を含め、事案の種類、障害の種別、問題とされた分野等、差別実態の解明や事案の分析に必要な視点から整理された受理事案の概要を毎年度これを公表することが求められる。なお、政策委員会において、これを検証することを検討すべきである。

5、研修及び人材育成

 本法の円滑な施行のためには、関係機関の職員等が障害者に関する専門的知識等に基づき、業務が行なわれる必要がある。
 このため、国は、関係機関の職員等に対する研修、必要な人材の育成を行うことが求められる。

第2、国の基本的責務に関して特に留意を要する領域

 当部会では、障害に基づく差別に深く関連する重要な分野として、下記の3つの領域について議論を深めた。国が第1に掲げた基本的責務を履行するに当たっては、以下の点を十分に留意することが求められる。

1、障害女性

 内閣府に置かれた男女共同参画会議が平成22年7月23日とりまとめた「第3次男女共同参画基本計画策定に当たって基本的な考え方(答申)」は、その中で「障害のある女性は、障害に加えて、女性であることで更に複合的に困難な状況に置かれている」とした。
 これを受けて同年12月17日閣議決定された「第3次男女共同参画基本計画」は、「障害のある女性は、障害に加えて、女性であることで更に複合的に困難な状況に置かれている場合があることに留意する必要がある。」としている。
 このように男女参画の分野では、「障害のある女性」が取り上げられるようにはなったが、これまでの障害者に対する一般的な施策の中で障害女性の問題が取り上げられることは、極めて少ない現状にあると思われる。
 このため、国は、障害女性の複合的な困難が解消されるよう、障害女性の置かれた状況の実態調査をはじめとして、基本的な責務として求められる各施策に障害女性の複合的な困難を取り除くための適切な措置を取り入れることが求められる。

2、障害に基づくハラスメント

 障害に基づくいじめや嫌がらせ等のハラスメントは、障害女性へのセクシャルハラスメントを含め、障害者とその家族や関係者の尊厳と誇りを奪い、著しく人格を損なう行為である。
 このため、国は、学校、職場、施設、地域社会における障害に基づくハラスメントを防止するため、本法に基づく防止に関する施策に関し、障害に基づくハラスメントに対して適切に対処する措置を取るとともに、本法の運用に当たっては、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成23年法律第79号、平成24年10月1日施行)とも連携した取り組みを行うことが求められる。

3、欠格条項

 障害があるというだけで、国等が認定する資格の取得が制限されるとなれば、障害者は当該資格が求められる生活分野から排除されることになる。
 資格制度が設けられた趣旨や目的から見て、真に必要とされる最低限の要件や能力に障害の存在が影響を及ぼさないにもかかわらず、障害の存在が資格取得の制限の理由とされることは、極めて不合理であり、差別的待遇と言わざるを得ない。
 現在、障害の存在だけでこのような資格制限をするいわゆる絶対的欠格条項は、大幅に見直されてきてはいるものの、運用の在り方によってはそうした結果を引き起こさないとは言えない。
 このため、国としては、資格を取得する上で求められる要件や能力に関わる制限の必要性を踏まえつつも、資格取得の認定の仕方や制度運用の実態を引き続き検証し、必要な場合には適切な措置を取ることが求められる。

第3、地方公共団体の責務

 地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとされている。
 障害者の地域における生活支援は、もとより国とともに地方公共団体の大きな役割であるが、真に地域生活を支援するためにも、障害者に対する地域における差別をなくしていくことは国だけに任せておけば良いといったものではなく、積極的に地方公共団体が果たすべき重要な役割でもある。
 現に、地方公共団体の中には、差別のない地域社会作りを目指す条例等を制定し、条例に基づく救済や解決の仕組みにより実際の差別問題に取り組むところも次第に多くなってきているところである。
 これらの点に鑑みると、少なくとも、地方公共団体は、国の基本的責務及び国の基本的責務に関して特に留意を要する領域に関し、国の立場においてのみ対応可能な事項を除いて、国の取組に準じた取組に努めることが求められる。

第4、国民の責務

 本法の円滑な施行には、国民各層における自主的な協力が必要であり、国民は本法の目的とする差別防止の重要性に関する理解を深め、国や地方公共団体の施策に協力するよう努めることが期待される。