音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

障害者情報ネットワークについて

財団法人日本障害者リハビリテーション協会

障害者情報ネットワークの役割

 約10年前に視覚障害者用の音声ワープロが開発されました。それまで、視覚障害者の方は、漢字かな混じり文を書くことは、困難でした。しかし、今は、どうでしょう。ワープロどころか、表計算ソフトや文字読み取り装置を使って、ばりばり事務をこなす視覚障害者がたくさんおられます。視覚障害者用音声ワープロに限らず、パソコンをはじめとする情報機器は、障害者の能力を補ってくれる有力な手段です。

 このような情報機器は、この10年間で急速に普及してきました。その背景には、コンピューターの低価格化やダウンサイジング化が進み、一般の人が気軽に購入できるようになったことが、大きな理由でしょう。現在は、マルチメディア時代ともよばれ、さまざまな情報機器が、手軽に手に入るようになってきました。世の中は、まさに高度情報社会に向かって進んでいます。

 政府は、平成7年2月に「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」をとりまとめ、2010年の光ファイバー網の全国整備を念頭において「保健・医療・福祉の情報化」等を推進していくこととしています。また、民間においては、コンピューターネットワークのネットワークといわれるインターネットの普及がめざましく、世界のコンピューターがネットワークで結ばれようとしています。

 このような高度情報化の中で、障害者の情報対策は、ますます重要性を増しています。最初に述べた視覚障害者用ワープロのように、障害者の社会参加を促進していくためには、機器の開発に加え、いろいろな情報が、的確・迅速に確保・提供できるようにすることが重要であると考えられます。

 このため、障害者が必要とする幅広い情報についてのデータベースを構築し、障害者に各種の情報を提供する「障害者情報センター」の設置が平成7年度の補正予算で予算化されました。

設置場所

財団法人日本障害者リハビリテーション協会

障害者情報ネットワークのイメージ

 図1は、障害者情報ネットワークのイメージを表したものです。それぞれの機能について概略を説明します。

図1 障害者情報ネットワーク・全体概念図
図1 障害者情報ネットワーク・全体概念図

障害者情報ネットワークへのアクセス

 図2は、障害者情報ネットワークとパソコン通信とインターネットとの関係を示したものです。

図2 障害者情報ネットワークの仕組み
図2 障害者情報ネットワークの仕組み

 障害者情報ネットワークの中心は、障害者情報センターです。この障害者情報センターと障害者や障害者団体などのユーザーとは、基本的に商用のパソコンネットを経由して接続します。具体的には、商用パソコンネットのメニューの中にある、「障害者情報ネットワークとの接続」を選択することで、自動的に障害者情報ネットワークのメニューに入ることができます。障害者に限らず、誰でも、アクセスすることができます。

 アクセスするための通信ソフトは、一般に市販されているものやフリーウエアで提供されているものが使用できます。また、初心者の方用に、立ちあげれば自動的に障害者情報センターにつながる障害者用ソフトウエアも提供することにしています。

 商用パソコンネットは、PC―VANやニフティーサーブ等大手のネットに対応することにしています。

 図3は、障害者個人が利用する際のイメージです。また図4は、障害者関係施設や市町村が利用する際のイメージです。

図3 個人利用者(障害者)は・・・
図3 個人利用者(障害者)は・・・

図4 施設・公共機関は・・・
図4 施設・公共機関は・・・

障害者情報ネットワークのデータ形式

 障害者情報ネットワークでは、テキストデータ、画像データ、音声データを扱うことができます。最近は、グラフィックにより画面を構成することが多くなってきて、視覚障害者の方が、音声化することができないという問題が生じてきました。そこで、障害者情報では、テキストデータは必ず入力することとしており、視覚障害者の方がパソコンを使って簡単に音声化することができるように配慮しています。

障害者情報ネットワークの内容

 障害者情報ネットワークは、表1のようなメニューになっています。これについて簡単に説明します。

表1 障害者情報ネットワークメニュー
1.サービス機能ガイド
2.行政情報
3.医療情報
4.福祉機器情報
5.福祉施設情報
6.ボランティア情報
7.文化・レクリエーション情報
8.福祉マップ
9.雑誌・文献情報
10.電子図書
11.文字放送
12.インターネット
13.団体情報
14.災害・緊急時の情報

① サービス機能ガイド

 これは、障害者情報ネットワークにアクセスする方法や、問い合わせ方法についての説明です。

② 行政情報

 障害者関係の法律や通知および制度等についての資料を提供します。

③ 医療情報

 ここでは、医療機関等の情報を提供します。

④ 福祉機器情報

 どのような福祉機器が開発・販売されているか、その性能・価格等についての情報を提供します。

⑤ 福祉施設情報

 国内・国外の福祉施設の内容等について情報を提供します。

⑥ ボランティア情報

 ボランティアの希望やボランティアの登録等の情報を提供します。

⑦ 文化・レクリエーション情報

 各地で行われる障害者関係の文化活動・行事・イベント等の情報を提供します。

⑧ 福祉マップ

 各地で作成されている福祉マップの情報を提供します。

⑨ 雑誌・文献情報

 国内・国外の障害者関係雑誌や文献についての情報を提供します。

⑩ 電子図書

 市販の図書を読むのに困難のある視覚障害者と上肢機能障害者の方のために、市販されている図書を電子化して提供することで、パソコンを使って読むことのできる図書を提供します。これにより、視覚障害者の方は、パソコンを使い音声化や点字化することで、点訳や朗読というプロセスを経ずに出版物を出版直後に読むことができます。また、上肢機能障害者の方は、呼気スイッチや特殊パッドを使い、ページめくりをせずに本を読むことができるようになります。電子図書を読むための専用のソフトウエアを提供します。

⑪ 文字放送

 文字放送を自動的に受信し、蓄積していますので、お天気情報や、買い物情報等、パソコンを使い読むことができます。

⑫ インターネット

 ここからインターネットにアクセスすることができます。これにより、世界の障害者関係の情報にアクセスすることができます。

⑬ 団体情報

 国内・国外の障害者団体の情報を提供します。特に国内の障害者団体については、自主的に運用できるスペースをお貸ししますので、自分たちでデータ入力をして、活動状況を国内や国外にPRすることができます。また、各団体では、Q&Aや悩みごと相談などを実施していただくこととしています。

 この様子は、図5に示しました。この情報作成は、市販のソフトやフリーウエアで作成することができますが、入力しやすくするために専用のソフトを開発しました。そのソフトは、指示に従って、順に、テキスト・画像・音声を入力していけば、画面のレイアウトまで自動でやってくれるというものです。その作成のイメージを図6に示します。

図5 障害者関係団体は・・・

図5 障害者関係団体は・・・

1.掲示板への情報登録・管理

①情報の作成・登録

パソコン・スキャナ・編集ソフトを利用し、情報を作成してネットワークに登録
例:団体案内、活動案内、セミナー案内、機器情報、etc

②情報の管理

作成した情報の管理
情報の更新、削除

2.掲示板を利用した広場の関係

①いろいろなテーマについてメンバーを決定し電子広場を開催

テーマ:「○○障害について」、「障害別のQ&A」、etc
メンバー:1)リーダー(おしゃべりな人が良い)、2)メンバー、3)アドバイザー

②広場の活性化

複数からのメッセ-ジ、アドバイザーからの意見
活性化しそうなテーマの設定

③Q&Aへの対応

回答者、専門家などへの依頼、育成

④メッセージの管理

図6 情報の作成・登録(例:ホームページ)
図6 情報の作成・登録(例:ホームページ)

⑭ 災害・緊急時の情報

 災害・緊急時に、被災状況全体の正確な状況、避難場所、電話やファクシミリの設置場所、家族や障害者仲間の団体連絡先、救援内容、災害復旧状況等、随時の連絡把握、ボランティアの連絡先等について情報を提供します。

参加申込

 障害者情報ネットワークに情報提供したり、コーナーを運用していただける団体を募集しています。下記のところに申込用紙がありますので、お問い合わせください。

財団法人日本障害者リハビリテーション協会 〒162 東京都新宿区戸山1-22-1(戸山サンライズ内)

電話 03-5273-0601


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
1996年3月(第16巻 通巻第176号) 28頁~33頁