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グループホーム

奥野英子

 1995年12月に策定された「障害者プラン」において、第1の視点として「地域で共に生活するために」が挙げられ、障害のある者の生活の場を確保するために、グループホームや福祉ホーム等の数値目標が明記された。

 グループホームのほか、福祉ホーム、通勤寮、援護寮等の名称による諸制度がある。これらは現在、身体障害、精神薄弱(知的障害)、精神障害の障害別に規定されているが、本稿では精神薄弱者の制度を中心に整理したい。

 精神薄弱者グループホームは、地域社会の中にある住宅(アパート、マンション、1戸建て等)において精神薄弱者が一定の経済的負担をして共同で生活する形態である。同居または近隣に居住している専任の世話人が食事の提供と日常生活援助を行うものであり、4名以上を対象とし、永住することができる。

 精神薄弱者福祉ホームは、家庭環境、住宅事情等の理由等により家族との同居が困難であるため、現に住居を求めている精神薄弱者で、日常生活において介護を必要としない程度に生活習慣が確立しており、継続して就労できる見込みがある者が対象である。管理人が置かれ、施設の管理、相談・助言、関係機関への連絡業務等を行うが、食事は入居者が自炊し、日常生活も利用者自身の責任にある。福祉ホームの利用は利用者と経営主体との契約により、利用料を負担する。定員は10名以上で、永住することができる。

 精神薄弱者通勤寮は、精神薄弱児施設、精神薄弱者更生施設等を退所した者で、日常生活において身の回りの処理について自立し、就労している15歳以上の者を対象とし、施設と社会の中間施設として位置づけられ、利用者の独立生活に必要な助言及び指導を行うほか、食事が提供される。利用期間は原則として2年で、定員は20名以上である。

 このように、グループホーム、福祉ホーム、通勤寮にはそれぞれの目的、特徴がある。一方、精神障害者の生活の場としては、グループホーム、福祉ホーム、援護寮等があり、身体障害者の生活の場としては、福祉ホームと療護施設がある。

 以上は国による制度であるが、都道府県の単独事業による生活の場の名称として「生活寮」等があり、また、ケアを必要とする高齢者の生活の場として「ケアハウス」がある。

(おくのえいこ 厚生省大臣官房障害保健福祉部企画課)


(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
1997年2月号(第17巻 通巻187号) 51頁