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鈴木由紀子さん

 結婚して10年余りになる主婦です。住居地で地図や点訳書づくりの作業にユーザーの立場でかかわっています。視覚障害。

◆現在利用しているサービスを教えてください。

 民間の家事援助サービスを週1回、2時間くらい利用しています。これは有料です。ケアの内容はさまざま。そのときどきの用事に優先順位をつけて動いてもらいます。やはり、郵便物の処理など文字の読み書きにかかわることと、電気のかさが汚れている、お風呂場にカビが生えているというような、目が見えないために気がつかない、細かいことを処理してもらうことが多いですね。
 買い物は、お店によって違いますが、入り口まで行けば援助のサービスをしてくれるところもあるので、特別ヘルパーの方を頼まなくていいこともあります。
 ガイドヘルパーの利用は、いまのところあまりありません。利用したいけれど、面倒な制限がいろいろあって利用しにくいからというのが正直なところです。

◆鈴木さんが民間サービスを利用している理由は何ですか。

 うるさい事前審査もなく、気軽に申し込めたからです。いまは1、2時間なので、金銭的な負担もそれほどではないんです。それに、だいたい決まった人が来てくれるので気心も知れていますし。今後、自立度が低くなったら、もっとお願いする事になると思います。

◆利用しているサービスで、不便な点などはありますか。

 具合が悪くなったときなど、急に手伝ってほしいことができたときに困ります。それから家事援助サービスの中では、私たちの側から気がつかないと対応してもらえないというもどかしさがあります。鍋の蓋があいたままになっているとか、気づいた点は、はっきりとその状況を言ってもらえるとありがたいですね。

◆来年から介護保険が実施されますが、鈴木さんのご意見をお聞かせください。

 目の見えない人の多くが必要としている移動、外出援助、代筆、代読は介護保険のサービスメニューに入っていないと思います。しかし、見えない人にとって、これらはとても大切なことなんです。チェック項目に入っていないから私たちが不便のない生活をしているのかといえば、そうではありません。また、いまはお金を出せば介護は受けられますが、負担額には限度がありますから、自分のやりたい生活がどれだけできるのか、という点に不安があります。介護保険制度があったとしても、より自分の生活に近づけられる民間サービスを利用してしまうかもしれません。

◆地域で生活をするうえで、どんなサービスが必要でしょうか。

 公的なサービスの制限が緩やかになるといいですね。生活をするというのは、毎日の買い物などのほかに、図書館に行くとか、講演を聴きに行くとか、いろいろな場面がでてきます。それらは単純に「社会参加」の一つだと思えるような状況が望まれますね。時間や回数の制限はあるかもしれませんが、利用内容は、本人のニーズに合わせるような幅をもたせてほしいですね。
 それから、いまのガイドヘルパー制度では、ヘルパーさんに外出中ずっと付いていてもらうという形態ですが、行った先々の各機関でサービスが受けられるという形もあるといいですね。また、逆に家に出向いてくれるサービスなど、お互いに歩み寄ることが大切ではないでしょうか。私たち当事者も、充実した生活を維持するには、自分がしっかりした意識をもたないといけないですね。