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言語聴覚士

厚生省健康政策局医事課

1 法制定の背景

 近年の人口の高齢化、疾病構造の変化等に伴い、脳卒中等による言語機能障害や先天性難聴等の聴覚障害を有する人々に対するリハビリテーションの必要性、重要性が高まってきています。
 そして、これらのリハビリテーションの推進を図るためには、その従事者の確保及び資質の向上が喫緊の課題となっています。
 言語聴覚士法は、このような現状を踏まえ、音声機能、言語機能及び聴覚に関するリハビリテーションを行う、いわば言葉と耳に関するリハビリ専門家として、言語聴覚士の資格を定め、その資質の向上を図るとともに、その業務が適正に運用されるよう規律し、よって医療の普及及び向上に寄与することを趣旨として制定されました。

2 業務

 言語聴覚士法では、言語聴覚士とは、音声機能、言語機能または聴覚に障害のある人々に対して、その機能の維持向上を図るために、言語訓練やその他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導、援助を行うことを業とする者とされています。
 その対象疾患は、主にコミュニケーション障害と呼ばれるもので、具体的には、吃音、先天性難聴、後天性難聴、言語発達遅滞、脳血管障害などによる失語症、機能性構音障害、運動性構音障害、器質性構音障害、音声障害などで、それぞれの疾患の原因についても、心因性の強いもの、先天性のもの、事故や疾病の後遺症による後天性のものなど、多岐にわたっており、その対象年齢も言語発達遅滞などの小児から失語症などの高齢者までと幅広い年齢層になっています。
 言語聴覚士は、これらの障害をもつ人々に対し、さまざまな検査や訓練を行いますが、特に、一般的には医学的な知識や技能が必要なため看護婦等が行うこととされている診療の補助行為として、医師の指示のもとに、いくつかの業務を行います。
 代表的なものとして、聴力検査、補聴器の耳型の採型、人工内耳の埋め込み術を施した後の調整や、嚥下機能に障害をもつ人に対する嚥下訓練などがこれに当たります。
 また、言語聴覚士が業務を行う際は、ほかの医療関係者との緊密な連携を図ること、医療機関以外で業務を行う場合でも、その対象者に主治医がいる場合には、主治医の指導を受けなければならないとされています。

3 言語聴覚士の養成

 本年3月に、法律の施行の時点で業務を行っていた人を中心に、第1回の言語聴覚士国家試験が行われ、約4,000人の言語聴覚士が誕生しました。
 また、今後、言語聴覚士になるためには、3年以上大学や専門学校で言語聴覚士としての知識、技能を修得し、国家試験を受ける必要があります。現在、言語聴覚士を養成する大学や専門学校は、全国で27校あり、毎年、900人余りが言語聴覚士の卵として、国家試験を受けていくこととなります。

受験者数 4,556人
合格者数 4,003人
合格率 87.9%


4 活動の場

 言語聴覚士の活動の場としては、病院、診療所などの医療機関や、身体障害者更生施設、身体障害者福祉センター、知的障害児施設、ろうあ児施設、難聴幼児通園施設などの福祉施設、ろう学校や養護学校の教育機関など幅広い分野での活躍が期待されています。