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資料

厚生省発社援第219号 平成11年8月10日
社会福祉の増進のための関係法律の
整備等に関する法律案(仮称)制定要綱

 去る8月10日、「社会福祉事業法」の名称改正をはじめとし、九つの新事業を追加する「社会福祉の増進のための関係法律の整備等に関する法律案(仮称)制定要綱」が示された。その全文は次のとおりである。

第一 改正の趣旨

 社会福祉の一層の増進に資する観点から、福祉サービスの利用者の利益の保護及び地域福祉の推進を図るため、福祉サービスに関する情報提供、利用援助及び苦情解決に関する規定を整備するとともに、市町村地域福祉計画等の作成に関する規定を設けるほか、身体障害者、知的障害者、障害児等に係る福祉サービスに関し市町村等による措置から利用者の選択に基づき利用する制度への変更、身体障害者生活訓練等事業、知的障害者デイサービス事業等の社会福祉事業としての位置付け、知的障害者福祉に関する事務等の市町村への委譲その他所要の措置を講ずること。

第二 社会福祉事業法の一部改正の要点

一 法律の題名及び総則に関する事項

1 題名の改正

 法律の題名を、2の目的の改正に合わせて改めること。

2 目的の改正

 法律の目的に、福祉サービスの利用者の利益の保護及び地域福祉の推進を図ることを追加すること。

3 社会福祉事業の追加及び削除

(1) 障害児相談支援事業、身体障害者相談支援事業、身体障害者生活訓練等事業、手話通訳事業、盲導犬訓練施設を経営する事業、知的障害者相談支援事業、知的障害者デイサービス事業、知的障害者デイサービスセンターを経営する事業及び福祉サービス利用援助事業を社会福祉事業に追加すること。
(2) 公益質屋を経営する事業を社会福祉事業から削除すること。

4 事業規模要件の緩和

 常時保護を受ける者が20人未満であるために社会福祉事業に含まれなかった事業のうち政令で定めるものについては、常時保護を受ける者が10人以上であれば、社会福祉事業に含まれるものとすること。

5 基本理念の改正

 福祉サービスに関する基本理念を改め、地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力し、地域における社会福祉の増進に努めなければならないものとするとともに、社会福祉事業の経営者が福祉サービスを提供するための原則並びに国及び地方公共団体の責務について規定すること。

二 社会福祉主事の任用資格に関する事項

 社会福祉主事の任用資格に係る要件について、所要の改正を行うこと。

三 社会福祉法人に関する事項

1 事業経営の原則

 社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的に経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならないことを、社会福祉法人の事業経営の原則とすること。

2 収益事業の収益の充当先の拡大

 収益事業の収益を、政令で定める公益事業に充当できることとすること。

3 事業報告書等の閲覧

 事業報告書、財産目録、貸借対照表及び収支計算書並びにこれに関する監事の意見を記載した書面を各事務所に備えて置き、利害関係人から請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならないものとすること。

四 社会福祉施設の最低基準に関する事項

 社会福祉施設の最低基準において、福祉サービスの提供の方法、利用者等からの苦情への対応等に関する事項を定めることとすること。

五 福祉サービスの適切な利用の推進等に関する事項

1 情報の提供

(1) 社会福祉事業の経営者は、福祉サービスを利用しようとする者に対する情報の提供を行うよう努めなければならないものとすること。
(2) 国及び地方公共団体は、福祉サービスを利用しようとする者の情報の入手を容易にするため、必要な措置を行うよう努めなければならないものとすること。

2 利用契約成立時の書面交付等

 社会福祉事業の経営者は、福祉サービスの利用希望者からの申込みがあった場合に契約内容等を説明するよう努めなければならないこととし、利用契約成立時に重要事項を記載した書面を交付しなければならないものとすること。

3 福祉サービスの質の向上のための措置

 社会福祉事業の経営者は、福祉サービスの質の評価その他の質の向上のための措置を講ずるよう努めなければならないこととするとともに、国は、福祉サービスの質の公正かつ適切な評価の実施に資するための措置を講ずるよう努めなければならないこととすること。

4 誇大広告の禁止

 社会福祉事業の経営者は、誇大広告をしてはならないこととすること。

5 福祉サービスの利用の援助及び利用者等からの苦情の解決

(1) 福祉サービス利用援助事業について、その実施に当たっては、利用者の意向を十分に尊重し、利用者の立場に立って公正かつ適切な方法により行わなければならないものとすること。
(2) 都道府県社会福祉協議会は、福祉サービス利用援助事業を実施するとともに、当該事業の従事者の資質向上のための事業等を行うものとすること。
(3) 社会福祉事業の経営者は、利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならないものとすること。
(4) 都道府県の区域内において、福祉サービス利用援助事業の適正な運営を確保するとともに、福祉サービスに関する利用者等からの苦情を適切に解決するため、都道府県社会福祉協議会に、運営適正化委員会を設置すること。

6 共同事業の実施

 都道府県社会福祉協議会は、必要に応じ、福祉サービスの提供に要した費用について社会福祉事業の経営者が地方公共団体に対して行う請求事務の代行等の共同事業を実施するよう努めなければならないこととすること。

六 地域福祉の推進に関する事項

1 市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画

(1) 社会福祉を目的とする事業及び住民その他の者が行う社会福祉に関する活動が総合的かつ効率的に実施されることにより、市町村において福祉サービスが身近な地域で確保され、住民が適切かつ円滑にこれを利用できるよう、市町村地域福祉計画に関して規定すること。
(2) 各市町村を通ずる広域的な見地から市町村地域福祉計画の達成に資するため、都道府県地域福祉支援計画に関して規定すること。 

2 社会福祉協議会の活性化

(1) 社会福祉協議会は、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者が参加する団体である旨を明示すること。 
(2) 市町村社会福祉協議会及び地区社会福祉協議会は、それぞれ2以上の市町村及び指定都市の区を区域として設立することができることとするとともに、広域的に事業を実施することにより効果的な運営が見込まれる場合には、その区域を越えて事業を実施することができるものとすること。
(3) 都道府県社会福祉協議会は、社会福祉を目的とする事業の経営に関する指導及び助言等を行うものとすること。

3 共同募金の活性化

(1) 寄附金の公正な配分に資するため、共同募金会に配分委員会を置くものとすること。
(2) 地域福祉の推進の観点から、共同募金会の区域内において社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数に寄附金を配分しなければならない旨の原則を廃止すること。
(3) 共同募金会は、募集した寄附金を、当該募集を行った年度の翌年度末までに配分しなければならないこととするとともに、災害の発生等の特別の事情がある場合に備えるための準備金を積み立てることができることとし、災害等が実際に発生した場合には当該準備金を他の共同募金会に拠出できることとすること。

七 その他「収容」等の用語を改める等所要の改正を行うこと。

第三 身体障害者福祉法の一部改正の要点

一 身体障害者の地域生活を支援する事業に関する事項

1 身体障害者福祉法上の事業及び施設として、次に掲げる事業及び施設を追加すること。

(1) 身体障害者相談支援事業
 身体障害者の福祉に関する相談及び指導並びに関係機関との連絡調整等の援助を行う事業
(2) 身体障害者生活訓練等事業
 点字又は手話の訓練等身体障害者が日常生活又は社会生活を営むために必要な訓練等の援助を提供する事業
(3) 手話通訳事業
 聴覚、言語機能又は音声機能の障害により意思疎通を図ることに支障がある身体障害者につき、手話通訳の便宜を供与する事業
(4) 盲導犬訓練施設
 無料又は低額な料金で、盲導犬の訓練及び視覚障害者に対し盲導犬の利用に必要な訓練を行う施設

2 視聴覚障害者情報提供施設について、その機能に、点訳、手話通訳等の便宜の供与を加えること。

二 新しい利用制度に関する事項

1 市町村の情報提供

 市町村は、身体障害者に対する福祉に関する必要な情報提供を行わなければならないものとすること。

2 利用の調整等

 市町村は、身体障害者から求めがあったときは、必要に応じて、福祉サービスの利用について、あっせん又は調整を行うとともに、指定居宅支援事業者及び指定身体障害者施設の長等に対する利用の要請を行うものとすること。

3 支援費の支給

 身体障害者福祉法上の福祉サービスであって措置制度により提供されているもののうち、次の4にいう身体障害者居宅支援及び身体障害者施設支援について、居宅生活支援費及び施設訓練等支援費(支援費)を支給する方式を導入するため、次の事項について規定すること。
(1) 市町村は、身体障害者が、指定居宅支援事業者が提供する身体障害者居宅支援(指定居宅支援)又は指定身体障害者施設が提供する身体障害者施設支援(指定施設支援)を受けたときは、当該支援に要した費用について、支援費を支給することができること。
(2) 身体障害者は、支援費を受けようとするときは、市町村に申請しなければならないこと。
(3) 市町村は、(2)の申請がなされたときは、当該身体障害者の障害の種類及び程度等を勘案して、その要否の決定をすること。
(4) 支援費の額は、指定居宅支援及び指定施設支援に通常要する費用につき市町村長が定める基準により算定した額から、身体障害者又はその扶養義務者の負担能力に応ずる利用者負担額を控除した額とすること。
(5) 市町村は、指定居宅支援及び指定施設支援に要した費用について、支援費として支給すべき額の限度において、身体障害者に代わり、指定居宅支援事業者及び指定身体障害者施設に支払うことができることとするとともに、この場合において、当該身体障害者に支援費の支給があったものとみなすこと。
(6) 市町村は、居宅生活支援費の支給決定を受けた身体障害者が、指定居宅支援以外の身体障害者居宅支援を受けた場合において、必要と認めるときは、これに要した費用について、特例居宅生活支援費を支給することができること。

4 身体障害者居宅支援及び身体障害者施設支援(支援費の支給の対象となる福祉サービス)

 身体障害者居宅支援とは、身体障害者居宅介護、身体障害者デイサービス及び身体障害者短期入所をいい、身体障害者施設支援とは、身体障害者更生施設支援、身体障害者療護施設支援及び身体障害者授産施設支援をいうこと。

5 事業者・施設の指定制度

 指定居宅支援事業者及び指定身体障害者施設の指定は、身体障害者居宅生活支援事業等を行う者の申請に基づき都道府県知事が行うものとすること。

6 国の設置する身体障害者更生施設等への入所

 身体障害者が、国の設置する身体障害者更生施設等に入所する場合について、所要の規定を設けること。

7 やむを得ない事由により身体障害者居宅支援等を利用することが著しく困難な場合の措置

 支援を必要とする身体障害者がやむを得ない事由により、居宅生活支援費の支給に係る身体障害者居宅支援又は施設訓練等支援費の支給に係る身体障害者施設支援を利用することが著しく困難であると認めるときは、市町村は、居宅介護、施設入所等の措置を採ることができるものとすること。

8 国及び都道府県の負担及び補助

 市町村が支援費として支弁する費用に係る国及び都道府県の負担及び補助について、次のようにすること。
(1) 施設訓練等支援費
 政令で定めるところにより、国はその2分の1を、都道府県はその4分の1を負担すること。
(2) 居宅生活支援費
 政令で定めるところにより、国はその2分の1以内を、都道府県はその4分の1以内を補助できること。

三 その他福祉の措置に関する事項

 身体障害者の社会参加を促進する事業の実施に努めることを地方公共団体の責務とすること。

四 その他所要の改正を行うこと。

第四 知的障害者福祉法の一部改正の要点

一 総則に関する事項

 知的障害者は、自立に努めるとともに、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとすること。

二 知的障害者の地域生活を支援する事業に関する事項

 知的障害者福祉法上の事業及び施設として、次に掲げる事業及び施設を追加すること。
(1) 知的障害者相談支援事業
 知的障害者の福祉に関する相談及び指導並びに関係機関との連絡調整等の援助を行う事業
(2) 知的障害者デイサービス事業
 手芸、工作その他の創作的活動、社会適応訓練、介護方法の指導等の便宜を必要とする18歳以上の知的障害者又はその介護を行う者を、知的障害者デイサービスセンター等に通わせ、当該便宜を供与する事業
(3) 知的障害者デイサービスセンター
 知的障害者デイサービス事業に係る便宜を供与することを目的とする施設

三 事務の委譲に関する事項

1 市町村への事務の委譲

 知的障害者更生施設等への入所、知的障害者短期入所、知的障害者地域生活援助事業等に係る事務を都道府県から市町村に委譲すること。

2 都道府県による連絡調整等

 都道府県は、市町村の更生援護の実施に関し、市町村相互間の連絡調整等の必要な援助を行うものとすること。

3 知的障害者更生相談所等に関する事項

(1) 知的障害者更生施設等への入所に係る事務の市町村への委譲に伴い、市町村による知的障害者更生施設等への入所措置に関し、知的障害者更生相談所が市町村相互間の連絡調整等必要な援助を行うものとすること。
(2) 従来、都道府県の福祉事務所に設置することとされていた知的障害者福祉司を、知的障害者更生相談所に設置するものとすること。

4 財政負担の変更

 市町村が支弁する知的障害者更生施設等への入所等に要する費用に係る国及び都道府県の負担を次のようにすること。
(1) 市及び福祉事務所を設置する町村の場合
 国はその2分の1を負担
(2) 福祉事務所を設置しない町村の場合
 国はその2分の1を、都道府県はその4分の1を負担

四 新しい利用制度に関する事項

1 市町村の情報提供

 市町村は、知的障害者に対する福祉に関する必要な情報提供、相談及び指導を行わなければならないものとすること。

2 利用の調整等

 市町村は、知的障害者から求めがあったときは、必要に応じて、福祉サービスの利用について、あっせん又は調整を行うとともに、指定居宅支援事業者及び指定知的障害者施設の長等に対する利用の要請を行うものとすること。

3 支援費の支給

 知的障害者福祉法上の福祉サービスであって措置制度により提供されているもののうち、次の4にいう知的障害者居宅支援及び知的障害者施設支援について、居宅生活支援費及び施設訓練等支援費(支援費)を支給する方式を導入するため、次の事項について規定すること。
(1) 市町村は、知的障害者が、指定居宅支援事業者が提供する知的障害者居宅支援(指定居宅支援)又は指定知的障害者施設が提供する知的障害者施設支援(指定施設支援)を受けたときは、当該支援に要した費用について、支援費を支給することができること。
(2) 知的障害者は、支援費を受けようとするときは、市町村に申請しなければならないこと。
(3) 市町村は、(2)の申請がなされたときは、当該知的障害者の障害の程度等を勘案して、その要否の決定をすること。
(4) 知的障害者地域生活援助以外の知的障害者居宅支援又は知的障害者施設支援に係る支援費の額は、指定居宅支援又は指定施設支援に通常要する費用につき市町村長が定める基準により算定した額から、知的障害者又はその扶養義務者の負担能力に応ずる利用者負担額を控除した額とすること。
(5) 知的障害者地域生活援助に係る居宅生活支援費の額は、知的障害者地域生活援助に係る指定居宅支援に通常要する費用につき市町村長が定める基準により算定した額とすること。
(6) 市町村は、指定居宅支援及び指定施設支援に要した費用について、支援費として支給すべき額の限度において、知的障害者に代わり、指定居宅支援事業者及び指定知的障害者施設に支払うことができることとするとともに、この場合において、当該知的障害者に支援費の支給があったものとみなすこと。
(7) 市町村は、居宅生活支援費の支給決定を受けた知的障害者が、指定居宅支援以外の知的障害者居宅支援を受けた場合において、必要と認めるときは、これに要した費用について、特例居宅生活支援費を支給することができること。

4 知的障害者居宅支援及び知的障害者施設支援(支援費の支給の対象となる福祉サービス)

 知的障害者居宅支援とは、知的障害者居宅介護、知的障害者デイサービス、知的障害者短期入所及び知的障害者地域生活援助をいい、知的障害者施設支援とは、知的障害者更生施設支援、知的障害者授産施設支援、知的障害者通勤寮支援及び心身障害者福祉協会の設置する福祉施設において提供される支援をいうこと。

5 事業者・施設の指定制度

 指定居宅支援事業者及び指定知的障害者施設の指定は、知的障害者居宅生活支援事業等を行う者の申請に基づき都道府県知事が行うものとすること。

6 やむを得ない事由により知的障害者居宅支援等を利用することが著しく困難な場合の措置

 支援を必要とする知的障害者がやむを得ない事由により、居宅生活支援費の支給に係る知的障害者居宅支援又は施設訓練等支援費の支給に係る知的障害者施設支援を利用することが著しく困難であると認めるときは、市町村は、居宅介護、施設入所等の措置を採ることができるものとすること。

7 国及び都道府県の負担及び補助

 市町村が支援費として支弁する費用に係る国及び都道府県の負担及び補助について、次のようにすること。
(1) 施設訓練等支援費
 政令で定めるところにより、国はその2分の1を、都道府県はその4分の1を負担すること。
(2) 居宅生活支援費
 政令で定めるところにより、国はその2分の1以内を、都道府県はその4分の1以内を補助できること。

五 その他所要の改正を行うこと。

第五 児童福祉法の一部改正の要点

一 障害児の地域生活を支援する事業に関する事項

 児童福祉法上の事業として、障害児相談支援事業(障害児の福祉に関する相談及び指導並びに関係機関との連絡調整等の援助を行う事業)を追加すること。

二 児童委員に関する事項

1 児童相談所長への通知方法

 児童委員は、担当区域内における児童及び妊産婦に関し、必要な事項について児童相談所長に通知するとき、緊急の必要があると認める場合は、市町村長を経由しないことができることとすること。

2 要保護児童の児童相談所等への通告

 要保護児童を発見した者が、当該児童を福祉事務所又は児童相談所に通告する場合に、児童委員を介して行うことができることとすること。

三 助産施設及び母子生活支援施設に係る利用方式に関する事項

 助産施設及び母子生活支援施設の利用方式を、措置制度から保育所の利用方式と同様のものとするため、次の規定を置くこと。
1 助産又は母子保護の実施を希望する者は、入所を希望する施設等所定の事項を記載した申込書を都道府県等に提出することとするとともに、申込書の提出を施設が代行できるものとすること。
2 都道府県等は、福祉事務所長等から助産又は母子保護の実施が必要として報告等があった妊産婦又は保護者及び児童について、必要があると認めるときは、当該助産又は母子保護の実施の申込みを勧奨しなければならないものとすること。
3 都道府県等は、各施設の設備、運営の状況等についての情報の提供を行わなければならないものとすること。

四 児童福祉施設の設置者に対する監督に関する事項

 都道府県知事は、厚生大臣の定める最低基準を維持するため、児童福祉施設の長、里親及び保護受託者のほか、児童福祉施設の設置者に対しても、報告徴収、立入検査等を行うことができる旨規定すること。

五 児童短期入所に係る事務の市町村への委譲に関する事項

1 児童短期入所に係る事務を都道府県から市町村に委譲すること。
2 市町村が支弁する児童短期入所に要する費用について、国はその2分の1以内を、都道府県はその4分の1以内を補助することができるものとすること。

六 新しい利用制度に関する事項

1 居宅生活支援費の支給

 児童福祉法上の福祉サービスであって措置制度により提供されているもののうち、次の2にいう児童居宅支援について、居宅生活支援費を支給する方式を導入するため、次の事項について規定すること。
(1) 市町村は、障害児が、指定居宅支援事業者の提供する児童居宅支援(指定居宅支援)を受けたときは、当該支援に要した費用について、支援費を支給することができること。
(2) 障害児又はその親権を行う者等は、支援費を受けようとするときは、市町村に申請しなければならないこと。
(3) 市町村は、(2)の申請がなされたときは、当該障害児の障害の種類及び程度等を勘案して、その要否の決定をすること。
(4) 支援費の額は、指定居宅支援に通常要する費用につき市町村長が定める基準により算定した額から、障害児又はその扶養義務者の負担能力に応ずる利用者負担額を控除した額とすること。
(5) 市町村は、指定居宅支援に要した費用について、支援費として支給すべき額の限度において、障害児の親権を行う者等に代わり、指定居宅支援事業者に支払うことができることとするとともに、この場合において、当該障害児に支援費の支給があったものとみなすこと。
(6) 市町村は、居宅生活支援費の支給決定を受けた障害児が、指定居宅支援以外の児童居宅支援を受けた場合において、必要と認めるときは、これに要した費用について、特例居宅生活支援費を支給することができること。

2 児童居宅支援(支援費の支給の対象となる福祉サービス)

 児童居宅支援とは、児童居宅介護、児童デイサービス及び児童短期入所をいうこと。

3 事業者の指定制度

 指定居宅支援事業者の指定は、児童居宅生活支援事業を行う者の申請に基づき都道府県知事が行うものとすること。

4 やむを得ない事由により児童居宅支援を利用することが著しく困難な場合の措置

 支援を必要とする障害児がやむを得ない事由により、居宅生活支援費の支給に係る児童居宅支援を利用することが著しく困難であると認めるときは、市町村は、居宅介護等の措置を採ることができるものとすること。

5 市町村の情報提供、利用の調整

(1) 市町村は、指定居宅支援に関し必要な情報提供、相談及び助言を行わなければならないものとすること。
(2) 市町村は、障害児又はその保護者から求めがあったときは、必要に応じて、指定居宅支援の利用について、あっせん又は調整を行うとともに、指定居宅支援事業者に対する利用の要請を行うものとすること。

6 国及び都道府県の補助

 市町村が居宅生活支援費として支弁する費用について、政令で定めるところにより、国はその2分の1以内を、都道府県はその4分の1以内を補助できるものとすること。

七 その他所要の改正を行うこと。

第六 社会福祉施設職員等退職手当共済法の一部改正の要点

一 退職手当共済契約の当事者及び退職手当金の受給者の範囲に関する事項

1 退職手当共済契約の当事者の範囲

 退職手当共済契約を締結することができる者を社会福祉施設又は特定社会福祉事業(社会福祉施設等)を経営する社会福祉法人とすること。

2 退職手当金の受給者の範囲

 退職手当共済契約の当事者である社会福祉法人が経営する社会福祉施設等以外の施設又は事業であって、当該社会福祉法人が社会福祉・医療事業団に届け出たものの業務に常時従事する職員(届出施設等職員)を退職手当金の支給を受けることができる者に加えること。

二 退職手当金の算定基準に関する事項

 退職手当金の算定基準について、国家公務員退職手当の算定基準に準じたものに見直しを行うこと。

三 掛金に関する事項

 社会福祉施設等の職員に係る掛金及び届出施設等職員に係る掛金の額は、退職手当金の支給に要する費用の予想額、社会福祉施設等の職員及び届出施設等職員の見込数等に照らし、おおむね5年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならないものとし、それぞれ政令で定めるものとすること。

四 費用に関する事項

 国は、社会福祉施設等の職員に係る退職手当金の支給に要する費用の3分の1以内を補助できること。

五 その他所要の改正を行うこと。

第七 民生委員法の一部改正の要点

一 民生委員の理念に関する事項

 民生委員の理念として、常に住民の立場に立って相談に応じ、及び必要な援助を行い、もって社会福祉の増進に努めることを位置付けること。

二 民生委員推薦会に関する事項

 民生委員推薦会の委員の資格要件について、当該市町村の区域における社会福祉の実情に通ずる者であることを加え、当該市町村の議会の議員の選挙権を有する者でなければならないことを削除すること。

三 民生委員の職務に関する事項

 民生委員の職務について、援助を必要とする者が福祉サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助を追加するほか、所要の改正を行うこと。

四 その他

1 民生委員を名誉職とする旨の規定を削除し、民生委員には給与を支給しない旨を明確にすること。
2 「統制」等の用語を改めること。

第八 生活保護法の一部改正の要点

「収容」等の用語を改めること。

第九 公益質屋法の廃止

 公益質屋法を廃止すること。

第十 施行期日等

一 施行期日

1 この法律は、平成12年4月1日から施行すること。ただし、2及び3に掲げる事項は除くこと。
2 第二の一3(1)のうち身体障害者生活訓練等事業及び盲導犬訓練施設を経営する事業を社会福祉事業に追加する部分、第三の一1(2)及び(4)並びに第五の3については、平成13年4月1日から施行すること。
3 第二の六1、第三の二、第四の三及び四並びに第五の五及び六については、平成15年4月1日から施行すること。

二 その他

 この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の規定の整備を行うものとすること。

(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
1999年9月号(第19巻 通巻218号)