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『ハッピー 愛と感動の物語』を見終えて

小森晃

 先日、テレビ東京系列で放映された連続ドラマ『ハッピー 愛と感動の物語』を見る機会があった。このドラマは、波間信子さんのコミック『ハッピー!』が原作となっている。
 私自身、第1話の撮影に立ち会った経緯もあり、関心をもって全11話を楽しく見ることができた。その内容は、視覚障害者の主人公が盲導犬ハッピーとの出会いにより、前向きに生きていく姿が描かれていた。特に、ドラマの中で自立の問題は、実際の訓練施設を撮影場所に使い、そこでの訓練場面を映像化するなど、リアル感があった。また、視覚障害者と晴眼者との結婚の問題、家族の問題、視覚障害者の出産と育児の問題、盲導犬の一般社会での理解の問題、パピーウォーカー、引退犬の問題、はてはインターネットでEメールやホームページの活用も焦点に当てており、視覚障害者の現状が非常に視聴者に分かりやすいものになっていた。
 一方、気になった点を言えば、主人公や視覚障害者役のファッションのことである。衣装のコーディネートを担当した寶田マリさんが、「実際に見えなくなったらどうするかを考えて服を選びました。まず、色物や柄物は着ないだろうな、と。複雑なコーディネートもしなくなるだろうということで、地味めに。そして歩きやすいように私ならパンツをはくかな。自分が好きなものがコーディネートにも出ますよ」と、ある雑誌でコメントされていたが、実際、ドラマの中では流行の服装ではなく、紺とか黒のTシャツやトレーナー、ボタンがない服装でコーディネートされていることが多く、視聴者も視覚障害者のファッションについて「地味なイメージ」をもったのではないかと思われる。
 私が思うに、日頃視覚障害者に接していて決して「地味」なことはなく、確かに、なかにはファッションに無頓着な方もいるが、非常に感心をもって色柄をコーディネートし、おしゃれを楽しんでる方も多いと感じている。ドラマの影響が気になるところである。もう少しアクセサリーを選ぶシーンやお化粧するシーン、街におしゃれをして出かけるシーン、子どもとおそろいの服を作るシーンなどもあってよかったのではないかと思われる。
 しかし、いずれにせよ、視覚障害者の活き活きと前向きに明るく生きる姿を映像にしたことが、とても印象に残ったドラマであった。

(こもりあきら 東京都視覚障害者生活支援センター主任指導専門職)