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街なか探検隊 Vol.16

長野
「長野」といったら、やっぱり「善光寺」

羽入田幸子

 冬季オリンピック・パラリンピックが開催された長野市。皆さんは、この長野市にどんな印象をもたれたでしょうか。
 この大イベントを迎えるに当たって、市内は、各競技会場へのアクセス道路はもちろん、駅舎や宿泊施設などが整備されると同時に、観戦に訪れる障害者にとって、使い勝手のよい街にしようと関係者の努力が払われました。その一つに、国宝の「善光寺」の本堂東側に設置されたスロープが挙げられます。

善光寺

 では、まずその善光寺をご案内しましょう。中央通りを上がって参道の突き当たりが善光寺の最初の門、仁王門です。
 車いすの方は、向かって左手の大本願前にあるスロープを上がっていただくと、参道は重要文化財の山門までさらに続きます。仲見世のみやげもの店は、いつもにぎわいを見せています。
 仏具の並ぶ店を始め、信州の漬物がいっぱいに並ぶ店、よもぎ餅をあずきあんや栗あんで包んだお菓子の店などがあり、代表的なおいしい名物も皆さんをお待ちしています。
 参道は敷石になっていて、正徳4年(1774年)に完成し、長野市の史跡に指定されて、7777枚あると言われていますが、現在は7千枚ぐらいだそうです。石畳の部分が多いので、車いすの方は介助者と一緒のほうがよいでしょう。
 仲見世を過ぎて山門に上がるため、車いすの方は少し遠回りですが、左手の大勧進に続く太鼓橋を渡ってください。橋の上からは右手に蓮池が広がり、有名な大賀蓮が2千年の眠りからよみがえって、7月、8月はピンクの大きな蓮の花が、もっともっと大きな葉っぱの間から顔を出しています。反対側の池には、甲羅が20~30センチもある亀が何十匹も住んでいて、集団で甲羅干しをしている姿も見られます。ここには大きな錦鯉やフナ、ウナギもいるそうです。
 さて、いよいよ本堂に着きました。車いすの方は、この本堂東側に設置されている木製のスロープを上がってください。途中、踊り場があって向きを変えて上がって行くと、本堂に入る直前の2メートルほどがかなり急な傾斜になっていますので、同行される介助者に押し上げてもらってください。このスロープのおかげで、急な階段を上るのが困難なお年寄りや私たち障害者が、気軽に如来様の近くで参拝することができるようになりました。スロープを降りてすぐのところに車いす用トイレがあります。
 さらに東側一帯は松や桜、梅などの木々や藤棚が日陰をつくっています。土用の猛暑の中、善光寺を訪れた私は、背の低い木々の中にミカンのようなオレンジ色の実をたくさんつけている植物を見つけました。何だと思いますか? ちょうど近くにいた人が「ハマナスだよ」と教えてくれました。とてもきれいな色でした。秋になったらまたここに来て、この木々の中でゆったりとした時間を過ごしたいと思いました。

おみやげに「おやき」はいかが?

長野の『小川の庄』

 善光寺参拝を済ませた方は、北信濃の名物、「おやき」をおみやげにいかがですか?
 野菜や山菜を妙めて味噌や醤油で味付けし、小麦粉をこねたもので包んで焼いたり蒸したりした素朴なもので、北信濃ではどこでも作られていますが、中でも、小川村のおやきは有名で、「小川の庄」では「縄文おやき」として親しまれています。野沢菜・切り干し大根・なす・かぼちゃなどを入れたおやきが店頭に並ぶほか、この店には山菜や栗の入った「おこわ」や信州の漬物、煮豆などもあります。店の中はそれほど広くはありませんが、車いすでも2、3人なら、奥のテーブルでお茶を飲むこともできます。
 この「小川の庄」は、大門町の善光寺仁王門から少し下った中央通り東側にあり、入り口の5センチほどの段差には、オリンピックの時に設けられた鉄板のスロープがあり、車いすの私たちに理解のある気さくな店長さんが、このスロープの説明をしてくださいました。「小川の庄」おやき村は、善光寺仲見世や西参道にも“分村”しています。

『柏屋』

 おやきを買った私たちは、知人から「おいしかったよ」と聞いていたおそば屋さんに立ち寄りました。中央通りを下り、駅前に続く道沿いにある「柏屋」というお店です。入り口は問題なかったのですが店内はちょっと狭く、電動車いすの私はテーブルに横向きにつけ、お盆を借りてそばをいただきましたが、コシがあっておいしいそばでした。この店は、そばを打っているところが歩道からも見えるようになっていて、私たちも帰りにちょうど見ることができました。

お泊まりは「サンアップル」で

 昨年オープンした長野県障害者福祉センター「サンアップル」は、長野市の郊外にあり、体育館・屋内プール・テニスコートやアーチェリー場などのスポーツ施設と、聴覚障害者ライブラリーや多目的ホールなどの文化施設を備えているほかに、宿泊設備が整っています。2人部屋が2室と4人部屋が4室あり、障害者を含む家族やグループでの宿泊もでき、1人1泊素泊まりで900円です。JR長野駅からはリフト付き路線バスで約40分(土・日は運休)、上信越自動車道の須坂長野東インターからは約15分です。
 皆さん、どうぞ、お出掛けください。

(はにゅうださちこ 長野障害者自立生活支援センター)

(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
1999年10月号(第19巻 通巻219号)