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視覚障害者議員ネットワークの試み

堀利和

 政治参加には投票権や請願権等と併せて被選挙権もある。審議会などへの当事者委員の積極的起用などとともに、いうまでもなく当事者の声や経験を活かした施策づくりに大いに寄与する政治参加だ。
 今春の統一地方選挙では、新旧合わせて13人の視覚障害をもつ議員が全国で議席を確保した(点字毎日調べ)。地方議員14人(OB含む)と国会議員1人の合わせて15人、この数字の評価はさまざまだろうが、視覚障害者の政治参加と議会のノーマライゼーションにとって貴重な歩みではあろう。
 障害をもつ議員がいることで議会事務局を筆頭に行政庁全体が建物(ハード)と情報等(ソフト)の両面からの対応を知恵を出し合い考えることとなり、小さな規模の自治体であればあるほどバリアフリー施策のノウハウ集積にも大いに役立つ。
 しかし予算書や議案等の情報収集や解析、議会活動や市民相談等日々の活動の一つひとつに、新人はもとよりベテランでも視覚障害というハンディを抱えての議員活動にはさまざまな困難が伴う。
 これを乗り越え、より良い議員活動を行っていくために、相互の経験交流と情報交換を通じた議会活動支援、視覚障害者の政治参加の拡大を目的に上記の15人で、8月9日「視覚障害者議員ネットワーク」を結成した。
 当日は、議長や副議長選挙など議会において行う選挙で点字投票が可能となるよう必要な法改正を速やかに行う旨の自治大臣宛の申し入れ書を自治省行政課に手渡し、また自治省選挙部と、点字・録音公報などの選挙での情報提供体制の整備や電子投票など、選挙に関する電子機器利用についての配慮を講じていくよう意見交換を行った。
 昨年の参議院通常選挙では、投票総数約5800万票のうち点字投票は約1万票(代理投票は約12万9000票)だ。しかし公職選挙法の第47条に「投票に関する記載については、政令で定める点字は文字とみなす」と点字投票を認めている趣旨を活かすためにも議会での選挙でも点字投票を認めるべきだ。
 立ちあがった「視覚障害者議員ネットワーク」、当面の活動としては、後援会報や議会報告、情報やトラブル・課題等の情報交換体制をつくること、最低年1回の「総会」の開催、視覚障害者議員ネット視察団の検討などである。今後、さらに会員の知恵や意見を集めて有意義な活動ができるよう全力を挙げたい。

(ほりとしかず 参議院議員)

【視覚障害者議員ネットワーク連絡先】

 田村敏明(事務局長)
 〒629-1321
 京都府天田郡夜久野町字直見1657
  電話  0773(38)0169
  FAX 0773(38)1166