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欠格条項の見直しについて

松尾榮

 「障害者に係る欠格条項の見直しについて」は、中央障害者施策推進協議会企画調整部会で審議をし、政府原案を了承した。そのうえに内閣総理大臣に意見書を提出している。その部会には各団体の代表が参加しての結論である。
 その意見書には、1.障害者に係る欠格条項ができる限り廃止される方向で積極的に検討すること、2.見直しに当たっては、関係各省庁は障害者及び障害者関係団体の意見を十分に聞いて行うこと、等の内容を盛り込んだ。
 また、新・障害者の十年推進会議(日本身体障害者団体連合会、日本障害者協議会、全国社会福祉協議会、日本障害者リハビリテーション協会 会長山下眞臣)で、内閣総理大臣に11月に要望書を提出している。
 その内容は、1.障害者に係る欠格条項を原則として廃止する方向で検討してください、2.障害者係る欠格条項の見直しを行うあらゆる過程において、政府各省庁は障害者団体の要望と意見を反映するよう具体的な方策を講じてください。また改正案は公開し、関係団体、専門家等の意見を聴く機会を設けてください、等である。
 この意見書や要望書が採択されれば、かなりの前進をみることができるものと思われる。
 障害者施策推進本部決定の中に現在の障害及び障害者に係る医学の水準、障害及び障害者の機能を補完する機器の発達等科学技術の水準、先進諸外国における制度のあり方、その他、社会環境の変化等を踏まえ、制度の趣旨に照らして、現在の障害者に係る欠格条項が真に必要であるか否かを再検討し、必要性の薄いものについては障害者に係る欠格条項を廃止するものとする一文がある。
 右の再検討の結果、身体または精神の障害を理由とした欠格・制限等が真に必要と認められるものについては次に掲げるところにより対処するものとする。
 調査結果の概要として、13省庁において該当する制度は、63制度がある。身体障害にかかわるもの17、身体・精神障害双方にかかわるもの10、全障害にかかわるもの5、知的・精神障害双方にかかわるもの5、精神障害にかかわるもの42となる。制限の種類としては、資格制限69、行動制限6、利用制限4である。
 障害者施策推進本部の決定によると「必要性の薄いものについては廃止する。真に必要と認められるものについては……」とあり、その判断は極めて難しい。この見直しは可及的速やかに行うものとし、遅くとも「障害者対策に関する新長期計画」の計画期間内に必要な措置を終了するものとするとされている。
 我々の要望としては、障害者欠格条項見直し特別小委員会の設置を身体障害者部会と知的・精神障害者部会の2小委員会とする。構成は総理府・関係省庁・関係障害者団体他、学識経験者等とする。期間を1か年以内として積極的に実施すること等である。
 また、提案として、
1.各障害者団体において「障害者の社会参加を不当に阻む原因となるおそれの強いもの」の具体的な検討、2.欠格条項を見直して、十分社会参加できると思われる事例の検討、3.社会の人々が欠格条項の見直しの必要性を理解できる説得資料の作成とPR方法、4.全国の障害者団体が一丸となって国民運動を展開できる方法の検討、5.欠格条項を見直す国会議員連盟をつくっていただき国会請願活動の方法を検討。
 以上を要望、提案として検討したいと思っている。
 要は、社会の人々がどれだけ障害者を理解し、障害者の欠格条項の見直しについて、必要性を理解できるようになることが先決であると考えている。
 信頼される団体を目指して、活動している各団体が力を合わせ、欠格条項の見直し実現に向けて、全国運動が展開できることを願っている。

(まつおさかえ 日本身体障害者団体連合会会長)