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編集後記

 今月号に載っているアジア各国から来ている研修生たちの文章を読んで、約二十年前の自分を思い出して、胸にジーンとくるものがありました。
 「障害者であることが恥ずかしい」「障害があるから、これもできない、あれもできない」などと思っていました。
でも、アメリカの元気で生き生きとしている障害者と出会い、「障害は個性だ!」と障害をもっていることを肯定的に考えるようになって、自分は大きく変わりました。
 幸運にも、私は今、それらアジアから来ている障害をもつ若者の研修にかかわっています。彼らにも障害をもっていることを肯定的に考えられるようになり、いろいろな可能性があるということを知ってくれるように、自分の経験を生かして伝えていけたらいいなと思っています。
 たとえば、スポーツです。多分、彼らの国ではまだ、障害者がスポーツを楽しむ機会は少ないでしょう。でも、やり方を工夫すれば、いろいろできるんだということ、そして生活を楽しむことを知ってくれたらいいな・・・。
 十二月の後半にみんなでスキーに行きます。彼らの反応が楽しみです。(0)
 本誌七月号の特集でも取り上げましたが、今年は、精神病者監護法制定百周年であり、精神衛生法制定五十周年の記念すべき年で、これを記念するフォーラムが十一月末に開催されました。
 秋元波留夫先生の記念講演のほかに、精神医療や地域生活に関するシンポジウムがありました。その中で印象的だったのは、当事者や家族会、医療関係者から、今までのことを指摘しあうより、医療と福祉が連携して、今何ができるのかを探ることがたいせつ、と言う発言や、医療関係者から、全国の精神病院に三十四万人の在院者がいる現状について、最終目標としては、地域で生活できるような体制づくりが必要だという発言があったことです。
 当事者活動や家族会の活動が大きな力となってきていることはもちろんですが、医療関係者や支援者たちも連携して、少しずつ一つの大きな流れになりつつあることを感じました。
 二十世紀は、精神障害の人たちにとって苦しい時代でしたが、二十一世紀は大きく前進する世紀になることを予感させます。(K)

(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
2000年12月号(第20巻 通巻233号)