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ブックガイド

点字学習の手引書

田中徹二

 1月28日(日)、第1回点字技能検定試験が東京と大阪で実施されました。全国から600人近い人が集まり、学科試験(午前2時間)と実技試験(午後2時間半)に挑戦しました。
 その大半は点訳ボランティアでしたが、パソコン点訳の普及とともに、点字に対する関心が高まっています。また、光村出版の小学校4年生用国語教科書に、点字についての記述があるためか、ここ1、2年、日本点字図書館に来館する小学生が急増しています。毎週見学日には、ロビーは黄色い声の大群であふれています。
 今回は、点字を知りたい、習いたいと思っている方に、どんな点字器付きセットや解説書があるかをご紹介します。

『点字チャレンジセット』

日本点字図書館、1980円(税別)

 小学生から始められる点字学習具セットで、小型点字器、点筆、点消棒のほか、イラストいっぱいでわかりやすい点字テキスト「点字にチャレンジ」、点字一覧表、名前カード、カットシール、点字用紙がセットになっています。小学生が楽しみながら、自分の名前を点字で書けるようにするのがねらいです。

『初めて点字を読むあなたへ』

エンパワーメント研究所(筒井書房)、1000円(税別)

 視覚障害者が書いた手紙や宛名書きを、目で読めるようにするテキストです。点字を正確に書くためには、難しい表記を学ばなければなりませんが、晴眼者が目で点字を判読するのはそう難しいことではありません。この本を一通り読破すれば、点字が読めるようになります。

『初めての点訳』

全国視覚障害者情報提供施設協会 (株)大活字、500円(税込)

 点字を習うだけでなく、点字を通して視覚障害者への理解を深め、視覚障害者と自然にふれあえるようになってほしいという意図で編集されたものです。点訳ボランティアをめざす人は、以下に紹介するような参考書で、さらに勉強を積んでもらうことになります。

『日本点字表記法 1990年版』

日本点字委員会、1200円(税別)

 日本語点字の表記は、日本点字委員会が決めたものにすべて従っています。この書は、その憲法というべきルールを系統的にまとめたものですが、世の中のルールには多くの例外があるように、「ことば」の曖昧さがもたらす「ゆれ」には、辞書のような判断を示していません。
 今、点字表記の改訂作業が行われていて、今年秋には、『2001年版』が発行される予定です。それにより、現在の表記が一部変更されます。

『点字・点訳基本入門』

(株)産学社、1700円(税別)

 書名は「基本入門」ですが、記述されている内容をマスターすれば、点訳者の水準にまで達することができます。用例がたくさん収められていて、独習でも理解しやすいものです。著者は、30年以上、点字図書の製作にかかわっている当山啓氏(日本点字図書館図書製作部長)です。

『点字表記辞典 増補改訂版』

視覚障害者支援総合センター(博文館新社)、3000円(税別)

 これまでの手引書と異なり、一語一語の表記(主に分かち書き)が明記されています。国語辞典でことばを引くように、表記に迷ったことばを引くと、どう書けばよいかが一瞥(べつ)してわかります。『日本点字表記法』や手引書では、たくさんの語例を提示するわけにはいきませんので、具体的なことばになると、どう書けばよいか迷う場合が多々あります。そんなとき、この辞典を引くと、表記がわかりますので、ベテランの点訳者でも愛用している人がたくさんいるようです。


 このほかに、よく売れている手引書としては、『点訳のてびき』(全国視覚障害者情報提供施設協会、800円税別)、『点訳のしおり』(日本点字図書館、400円税別)などがあります。

(たなかてつじ 日本点字図書館館長)

(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
2001年4月号(第21巻 通巻237号)