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障害者雇用
障害者雇用の基本的な考え方と
具体的な取り組みについて

株式会社イトーヨーカ堂

 当社は「ノーマライゼーションの推進は企業の社会的責務」と捉え、1991年にノーマライゼーション推進プロジェクトを発足させ、さまざまな活動を展開してきていますが、具体的な推進分野として次の三つを掲げています。

・買い物のしやすい店づくり

 ……バリアフリー化の推進、お買物介助サービス等

・働きやすい職場づくり

 ……障害者の積極的雇用、特例子会社の設立等

・支援し合う地域社会への参加

 ……福祉ショップ「テルベ」の展開、ボランティア活動支援

 このうち「障害者の積極的雇用」については、プロジェクト発足時、雇用率は法定義務を下回る状況でしたので、「雇用率2.0%」を目標に積極的な取り組みを進めて参りました。現在は、550人の障害者が働き、雇用率では2.1%強となっています。この間、目標達成までには10年を要しました。実際に雇用を拡大していくうえで、当社は次のような考え方を持ちながら進めていきました。

1.特定の障害(内容・部位、程度・等級)の方に限定せず、さまざまな方を受け入れる。障害の内容・程度で採否を決めつけることは避け、とにかく直接お会いして、何ができるのか難しいのか、どんなことをやりたいのか等をうかがう。
2.特定の事業所、部門、業務に限定したり、集中したりせず、さまざまな分野で受け入れる。どの店にも、どの売場・部門にも配置されているのが自然な姿と考える。
3.ノーマライゼーションの理念を浸透させるための受け入れる側の教育・研修を積極的に実施する。人はみな何らかのハンディをもつという謙虚な姿勢、相手の立場・目の高さに立つ等々を体験的研修(車いす操作、アイマスク着用歩行)も実施し、理解し身につける。

 まず1.についての現状ですが、障害の内容で最も多いのは上肢・下肢等で5割弱ですが、聴覚・音声、視覚、内部、知的とさまざまな方が働いています。また障害の程度では、重度(1級・2級)の方が4割弱を占めています。
 2.については、当初、障害のある方にとっては接客業務は負担ではないか、難しいのではないか、事務的業務・裏方的仕事のほうがよいのでは、と考えがちでしたが、売場にも積極的に配属し、車いすで接客や商品補充等の仕事をこなしている社員もいます。ちなみに売場でお客様と接する仕事に就いている方が3割近くになります。また売上げが高く忙しい店は難しいので、そこそこの売上げの店のほうがよいのではとの声もありましたが、現在はほとんどの店、事業所で働いています。ただ課題は設備・施設改善が十分でない事業所に配置するケースもあり、その際は周囲の社員の理解と手助け等ソフト面での対応で補わざるをえない状況が生じることです。
 3.については、店も当初はさまざまな障害の方を受け入れるにあたってどう接し、どう指導すればよいのか分からず、苦労したこともありました。また人事部門のメンバーがフォローに廻ったこともありました。しかし、障害者の方にはご迷惑をかけたこともあったかと思いますが、失敗も含め事例を積み重ねながら理解を深め、現在は受け入れ時に心配することは少なくなりました。
 ノーマライゼーションの理念、考え方についても若い人、パートタイマーの方から理解が進み、ベテラン社員を刺激したようです。当時と比べると社員の意識は大きく変わり、職場の中でも地域の中でも障害をもった方が身近にいるのはごく当たり前、それが自然の姿との認識が浸透してきたのではないかと思います。
 さて今後についてですが、昨年ようやく目標の2%に到達しましたが、当面は新たな目標は設定せず、これをきちんと維持していきたいと考えています。今までのように毎年相当数を受け入れることはできませんが、今後は障害者に別枠や別基準を設けて採用するのではなく、通常の募集の中で他の応募者とできるだけ同じ扱いで選考し、より自然な形で職場に受け入れがなされ、定着するようになればと考えています。

(株式会社イトーヨーカ堂人権啓発室)