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ボランティア活動
ボランティア活動支援─「IBM社員はまず良き市民たれ」
─資金援助プログラムで、定年退職者もアルバイトにも支援─

鈴木政孝

 IBMは創業以来の企業理念「良き企業市民」としての責務を果たすべく、社会貢献活動を社会への投資と捉え、実践しています。企業の持続的な繁栄には、健全な地域社会の存在が不可欠と考えているからです。日本IBMは1974年に専門部署を設置しました。現在は、身障福祉、教育・科学、超高齢化社会支援の分野で、IBMテクノロジーや社員のノウハウが活用できる自主プロジェクトやプログラムを中心に社会貢献活動を展開しています。
 その一環として、社員の自発的なボランティア活動に対して時間的、資金的、情報的な面から積極的に支援をしています。IBMでは社員のボランティア活動を「個人の権利」と考え、“支持して指示せず”を基本方針としています。この基本的な考えに加え、「IBM社員はまず良き市民たれ」という行動倫理方針に基づき、1991年1月に、社会貢献プログラムの「ボランティア活動資金援助」と人事制度の「ボランティア・サービス休暇/休職」を導入、1993年6月に、電子掲示板「ボランティア活動ニュース」を開設しました。
 「ボランティア活動資金援助プログラム」は、社員・定年退職者ならびに、今年度からアルバイト(3か月以上勤務)にも対象を広げ、1年以上活動している社会福祉、環境保全、国際交流、社会教育分野の非営利団体に、申請者が活動の効率向上や団体の活性化に役立つ備品や器材の購入、あるいは、イベントや情報化などの費用に20万円を限度として会社が援助するものです。毎年、25~45件の支援を行ってきました。支援した例として、飼い主のいない犬の中から聴導犬として適性のある犬を選び、訓練して聴覚障害者の生活支援をしている団体「ジャパン聴導犬協会」に、聴導犬と滞在訓練を受ける聴覚障害者のための文字放送チューナー、パトライトを寄贈しました。車いす使用者に社交ダンスの普及活動を推進している団体「車椅子社交ダンス普及会」に、社交ダンス用特製の車いすを寄贈しました。長期入院患者や高齢者の方々に顔や手のマッサージとお化粧など心のケアを行う団体「麗人会」に、会のボランティアへのお揃いのエプロンを寄贈しました。また、ITの知識・経験・技術を持ち障害者や教育機関にパソコン研修・教育・コンサルタントやシステムの構築などのNPO活動を行う定年退職者の団体「イー・エルダー」に、パソコンを寄贈しました。
 「ボランティア・サービス休暇/休職制度」は、社会福祉、環境保全、国際交流、災害救助活動等に自主的に参加する社員に年間10日間の有給休暇取得を認めるものです。これまでに、お年寄りへの配膳サービス、障害者を対象としたイベント時の作業の手伝いや介助、災害発生時の救援活動、身障者スポーツ大会での介助や通訳など、延べ566日の休暇が取得されています。また、原則1か年(最長2か年)の期間認められる有給休暇制度(月額給与保証)には、これまでに、情報システム関係の指導を目的に海外青年協力隊への応募を中心に、26人が休職を認められています。
 「ボランティア活動ニュース」は、ボランティアの募集やイベントの開催などの情報を配信サービスしている団体から、週または、月ごとにデジタル・データでネット配信いただき、社内のホームページに直ちに掲載し、全社員がアクセスできるようにしております。
 こうした自発的なボランティア活動はたとえ地味であっても継続してこそ意味があります。社員が地域社会の良き市民としての役割を果たすことは、その社員を通して企業が良き企業市民として地域社会と共存共栄を図ることができると同時に、社会性を反映した企業行動を実施することが期待できます。今後も、社会的なニーズの把握やベンチマーク調査を行い、引き続き制度の改善を図りつつ、積極的な支援を行います。

(すずきまさたか 日本アイ・ビー・エム株式会社社会貢献)