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編集後記

 「やっぱり、シングルスがいいわよね。ダブルスはちょっと・・・」。視覚障害のある人も楽しめる“視覚ハンディキャップ・テニス”のメンバーの言葉です。
 ダブルスは、視覚障害者と晴眼者がペアを組んで試合をするのですが、彼女はパートナーが自分に気を使っているのをすごーく感じるといいます。たとえば、彼女らへの返球は、打ち返せるようなやさしい球を返してくる。それが「いや」なのだそうだ。「そうそう」と、隣にいた見えない友だちも同じ気持ちだと言いました。
 見えないからといって、特別扱いしてほしくない。狙われてボールが打ち返せなくても、それでいいといいます。試合をするなら同じプレイヤーとして対等にプレーをしたい、それが彼女らの気持ちです。
 同席していたのはテニス歴10年以上の人たちで、この言葉がすべての人に言えることではないと思うのですが、選手層が厚くなってきた証拠かもしれません。これからは初心者の育成にも力を入れようと、話が盛り上がりました。テニス人口が増えそうです。

(K)

 夏休みに入りました。子どもの理科の宿題は「自分で見つけた昆虫類の精密なスケッチ」です。おもしろい宿題だなと思っていたら、何年か前に授業でミミズを見たとたん泣き出した男の子(中学生)がいて、「これは大変」と思ってこういう宿題を思いついたと先生が話していました。「絵なんて上手に描かなくていいんです」という先生のねらいはどこにあるのか…。怖いもの、嫌いなもの、見たくないもの、触れたくないもの、近よりたくないものがあることは事実です。でも虫に限らず、自分の回りにはそういうものがあること自体知らない、かかわらなくていい、考えなくていいということもあります。そう言えば子どもの頃、そーっと横目で、人の後ろから、腕のすき間から、頭の上から、こわごわ遠目に、時々顔をそむけながらも、怖いもの見たさに、それでもしばらくそこを動かないでじっと見ている時間、こういう時間は失われつつあるのかもしれないなあと思った一件でした。

(S)