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編集後記

 今月号の特集は高次脳機能障害を取り上げていますが、この言葉を初めて聞いたときは聞き慣れないせいか、何とむずかしい言葉だろうと思ったものです。家族をはじめ患者の会のみなさんや当事者の方々も真正面からこの問題と向き合わなければならなかった現実に、その不安だった思いを書かれています。テレビで取り上げられ、反響の大きさに押されるように各地で友の会が誕生してきた経過は、読んでいても胸が打たれました。「すべてはこれからです」と締めくくられた岡山友の会モモの清水さんの決意に、思わずエールをおくりたくなったのはわたしだけではないと思います。国も支援モデル事業を開始したところですし、今後の取り組みをじっと見守りつつ、これまで福祉の谷間に置かれてきた高次脳機能障害の方々の生活が少しでも向上されることを願うばかりです。
 長岡先生の原稿に時実利彦氏のことがでてきましたが、自分の高校生時代に時実氏の著書で『脳の話』というのを読んだことがあります。生物の先生から強制的に読まされた本ですが、そうでもしなければ自分から手にとって読んだりすることはきっとなかった本の1冊ではないか、と今になって思います。岩波文庫だったと記憶しています。長岡先生が本文で引用されている「生きてゆく」「生きている」この二つの状態(本文では生の営みと表現されています)をこんなに分かりやすい言葉で簡潔に表現されていることにハッと目の覚める思いです。
 さて巻末にお気づきの方もいらっしゃると思いますが、読者アンケートカードがついています。切手のいらない葉書ですので、ぜひとも活用していただき、一人でも多くの方に本誌のご紹介も兼ねて、みなさんのご意見をいただきたいと思っています。もうすぐ有効期間が終了してしまいますので、ご協力をお願いします。編集部一同これからも頑張っていい本をお届けできるよう精進してまいります。

(S)

(財)日本障害者リハビリテーション協会発行
「ノーマライゼーション 障害者の福祉」
2001年10月号(第21巻 通巻243号)