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カウントダウン AP10年

「大阪フォーラム」の開催について

上田敏

 本年10月、大阪で「アジア太平洋障害者の十年最終年記念フォーラム・大阪フォーラム」が開催されます。これは最終年記念フォーラムの2大行事の一つであり、四つの国際・国内会議が共同プログラムをもちつつ独立性ももって同時並行的に開催されるというユニークな会議です。

開催までの経緯

 1992年のESCAP総会で決議された「アジア太平洋障害者の十年」(1993~2002)は、今年最終年を迎えます。
 日本は「アジア太平洋障害者の十年」を提唱した国の一つです。わが国では、「国際障害者年」や「国連・障害者の十年」をとおして、障害者施策が充実してきました。また、当事者の人たちが中心となって運動を展開して、社会の理解も進んできています。1993年に、この「十年」を推進するためのNGOキャンペーン会議が沖縄で開催され、最終日にこのような動きをアジア太平洋の国々にまで広げることを目的に「アジア太平洋障害者の十年推進NGO会議」(RNN)を組織することが決議されました。そして、毎年地域内の一国でRNNキャンペーン会議を行うことが決まりました。その後マニラ(1994)、ジャカルタ(1995)……というようにこれまで9か国で開催され、それぞれの開催国の運動に大きな刺激をあたえ、また域内諸国の障害者の交流を促進してきました。
 最終年の締めくくりとして、この10年間の活動や成果を評価して、今後の課題を明らかにし、その課題に取り組んでいくための方法を探ろうと、1999年に開催された「アジア太平洋障害者の十年」RNNキャンペーン・マレーシア会議において、最終年記念RNNキャンペーン会議を日本で行うことが決定されました。
 すでに同年は、世界の障害のある人たちで組織する「DPI世界会議」が札幌において開催されることが決まっていました。さらにRI(国際リハビリテーション協会)アジア太平洋地域会議の日本開催も決定し、RNN会議とRI地域会議を核に大阪フォーラムを開き、「DPI世界会議」を札幌フォーラムとして、「アジア太平洋障害者の十年最終年記念フォーラム・大阪フォーラム」の2大行事を2か所で続けて開催することが決まったものです。

大阪フォーラムの内容

 大阪フォーラムは、本年10月21日(月)~23日(水)の3日間、大阪府内の5会場で開催されます。第12回RIアジア太平洋地域会議、「アジア太平洋障害者の十年」推進RNNキャンペーン大阪会議、第25回総合リハビリテーション研究大会、日本障害者雇用促進協会による国際職業リハビリテーション研究大会の四つの会議が同時進行となります(表1)。

表1

第12回RIアジア太平洋地域会議

アジア太平洋地域の52の国と地域を中心に、リハビリテーション分野の専門家を中心に2000人が参加をする予定です。
■期日:2002年10月21日(月)~23日(水)
■会場:大阪国際会議場、国際障害者交流センター

「アジア太平洋障害者の十年」推進RNNキャンペーン2002大阪会議

アジア太平洋地域各国の障害者関係NGOを中心に2000人が参加し、NGOの立場から障害者の運動や施策を推進します。
■期日:2002年10月21日(月)~23日(水)
■会場:大阪国際会議場、大阪市舞洲障害者スポーツセンター、国際障害者交流センター

第25回総合リハビリテーション研究大会
(日本障害者リハビリテーション協会)

障害のある人のリハビリテーションにおけるサービス向上を目指し、リハビリテーションに従事する人をはじめ、障害当事者、関係団体、行政等にかかわる人々が、各分野の実情と課題を明らかに、参加者相互の交流を通して、「すべての人のための社会」の実現に寄与する会です。
■期日:2002年10月22日(火)~23日(水)
■会場:大阪市舞洲障害者スポーツセンター、USJ、国際障害者交流センター

国際職業リハビリテーション研究大会
(日本障害者雇用促進協会)

■期日:2002年10月22日(火)~23日(水)
■会場:大阪国際交流センター


 テーマは、「障害者の権利実現へのパートナーシップ」です。この10年の間の意識の高まりを受けて、世界各国で障害者差別禁止法の成立が進んできました。また、昨年12月19日には、国連総会でメキシコ政府が提案した障害者権利条約に関する決議案が正式に採択されました。障害者の権利条約採択は、世界的に注目されているテーマで、大阪フォーラムでも日本をはじめ世界各国の参加者と議論を深めたいと考えています。
 1日目は4会議合同プログラムで、基調講演やパネルディスカッションなどを予定しています。2日目は各会議独自のプログラムです。最終日の3日目はRI,RNN、総合リハビリテーション研究大会の三者が合同プログラム、国際職業リハビリテーション研究大会が独自プログラムとなります。特に合同プログラムでは、この「十年」の評価とポスト「十年」の取り組みがテーマになっています。最後に「大阪アピール」を採択して終了する予定です。いずれも障害当事者と専門家の連携を深めるプログラムとなっています(表2)。

表2
〈会議名〉
RI:第12回RIアジア太平洋地域会議
RNN:「アジア太平洋障害者の十年」推進RNNキャンペーン大阪会議
総合リハ:第25回総合リハビリテーション研究大会
職リハ:国際職業リハビリテーション研究大会
〈会場〉
A:大阪国際会議場
B:国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)
C:大阪市舞洲障害者スポーツセンター(アミティ舞洲)
D:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)
E:大阪国際交流センター

日本での開催の意義

 今回の大阪フォーラム開催は、わが国の障害者関係団体や専門家が連携し、この「十年」の成果を評価し、課題を明らかにするとともに、ポスト「十年」を提案する重要な国際会議となります。さらに動きを広めるためには、関係者だけでなく、一般市民の協力も必要になってきます。国際障害者年以降、20年の成果が試されるときでもあります。多くの方の参加で大阪フォーラムが成功するよう皆さまのご協力をお願いいたします。

(うえださとし 日本障害者リハビリテーション協会副会長、大阪フォーラム実行委員長)