工夫いろいろ エンジョイライフ
視覚障害【2】
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市販のものを上手に活用しよう
文:金沢真理(東京都盲人福祉協会)
イラスト:はんだみちこ
シミの予防策!撥水(はっすい)加工
「あっ、スパゲティーのソースが付いちゃった」「雨が降って水たまりや車にドロ水をかけられちゃった」など、困ったことありませんか? 私たち視覚障害者にとってどうにも分からないのがシミや汚れです。シミ抜きもありますが、どこにシミがあるのかわからないと使えません。
洗剤を変えましょう!クリーニング店を選びましょう!シミや汚れが付いたかなと思ったら、すぐ洗濯しましょう!みんな大切なことです。私はいつも職場の人たちに、シミや汚れがあったら教えてね、とお願いしています。洗濯をしたばかりのものでもシミが付いているなんてこともあります!
そんな時、撥水加工に出会いました。お気に入りのコートで色が薄いものがありました。クリーニング店の人と相談して撥水加工をしました。すると、ドロ水がかかっても、コーヒーがかかっても、みいんな弾いて汚れやシミが付きませんでした。素材などにもよりますが、汚れたら…ということも大切ですが、汚れやシミを付けないようにする方法もあるのだなと思いました。一つのアイデアとは思いませんか。
衣類の印付けにもなるモコモコペン
弱視の人のお宅を訪問した時、こんなことを教えてもらいました。娘の靴下と自分の靴下の区別がつきにくいので、彼女はなんとか区別をつける方法がないかと思案しました。思い立ったのが、この「モコモコペン」だったそうです。これを使っていろんなものに印を付けて、娘さんのと区別をしていました。
この「モコモコペン」は手芸店や文房具店などで売られているもので、絵の具のような形態のものです。布や紙に付けて、乾いてから、ドライヤーなどで熱風を当てるとプーと膨れるものです。若者がTシャツなどに絵を描くのに使っていたりするので、色もカラフルなものもあります。
教えてくれた人は、靴下の外見から見えない所に付けていました。洗濯してもすぐに取れてしまうことはないようです。ただ、どれくらい出たか触ることができないので、一度だれかに付けてもらうとスムーズです。後は乾けば自分でいつでも確認することができます。
色などの区別の方法
「あれ、この洋服何色だったっけ?」と思うことがよくあります。そんな時、やっぱり便利なのが触って分かる印付けです。モコモコペンでもできますが、触って区別ができればなんでもいいのです。タオルなどにはボタンやリボンを裏の縁やタックに付けてもいいのです。ただ、簡単に確実に自分でできるのが「玉留め」です。これは、針に糸を通して布に差した時、すり抜けないようにくるくると糸を丸めて作るものです。裏面の首や脇にこれがいくつ付いているかで、色やだれのものかを区別するのに有効です。針は「セルフ針」を使います。セルフ針は頭がVにカットされていて、そこに糸をかけて下に押し込むと糸が通るという針です。
また、タンスやクローゼットなどに入っているものも分かりにくいものです。ハンガーに印を付け、その数で色などの区別を付けたり、黒い札を作って、白いサインペンなどで「クロ」「コン」などと書いてコントラストを付け、色の区別をつけておくと捜しやすくなることもあります。