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W杯開催に
電動車椅子サッカーも盛り上がろう!

野田拓郎

 電動車椅子サッカーは、バスケットボールのコートで、車いすの先端に取り付けた専用のバンパーを使い、直径50cmの大きなサッカーボールをキックしゴールに入れるというサッカー競技です。電動車いすの動きだけでプレーするため、電動車いすのレバー操作さえできれば、年齢性別を問わず、比較的重度の身障者でも楽しむことができる数少ないスポーツで、年々競技人口が拡大しています。
 通常のサッカーとスタイルは異なりますが、ボールコントロールやキックの技術を磨き、チームの戦術を練り上げいかにゴールを奪えるか、そのために日頃の練習で試行錯誤し、練習試合で実戦テストをして、大会に臨む、という競技への取り組みは同じです。特に中盤の混戦からボールを動かすスクリーンプレーやオフサイドをめぐる攻防での「連係」が重要で、難しい部分。電動車いす同士の接触も激しく、迫力満点のプレーが連続します。接戦を勝利した喜び、プレーの意志疎通ができたときの快感、PK戦での究極の緊張感など、日常では得られない充実があります。
 私がこの競技を始めたのは、今から7年ほど前、偶然立ち寄った横浜ラポールでスポーツ指導員の方に紹介されたのがきっかけです。幼少の頃からスポーツが大好きでしたが、筋萎縮が進行する先天性の難病を患ってきたため、それまではもっぱら「観戦する立場」でした。ほとんど指先しか動かせない自分にも電動車いすでできるスポーツがあったなんて、大きな驚きでしたし、「スポーツをする立場」を初めて経験して味わうことができた全身の解放感や興奮は、衝撃的なものでした。障害の状態によってスポーツそのものを諦めていた人にも機会を提供できるという意味で、電動車椅子サッカーの存在は貴重であると実感しています。
 身の回りの介助が必要な選手も多いため、練習を行うにもチームのスタッフやボランティアのみなさんのサポートが不可欠になります。ほかにも審判・オフィシャル・大会運営のボランティアなど、さまざまな形でかかわる全員が一体となって競技を盛り上げ熱くなり、「みんなでエンジョイできる」おもしろさもこの競技の特徴です。
 10月には今年で8回目となる電動車椅子サッカーの日本選手権大会が横浜で開催されます。サッカーのW杯で盛り上がる2002年に、一人でも多くの方に電動車椅子サッカーの楽しさを知っていただきたいと思います。

(のだたくろう 電動車椅子サッカー横浜連絡会会長)