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聴覚障害者のコミュニケーション機器【利用者の声】
通信機器の普及で充実した
コミュニケーション生活

岡崎圭代

 聴覚障害は障害の特性上、「コミュニケーション障害」とも言われています。コミュニケーションが阻害されると、対人関係にも支障が出てきます。また、対人関係だけでなく、社会の諸活動への参加の機会も制限されてきます。
 近年の携帯電話やパソコンでのメールの普及は、このようなコミュニケーション上の障害を改善し、私の生活も大きく変化してきました。友人や家族に連絡を取りたい時、それまではファックスのある人に限定されたり、ファックスのない人には代理の人に電話をかけていただいたりと、大変不便でした。代理を頼む時は気をつかいましたし、「自分ではできない」ということが自己の自立に対する阻害でもありました。
 メールはこのようなことが一切なく、気軽にとれる連絡手段です。以前よりも友達や家族との対話が増え、充実したコミュニケーション生活になりました。また、在学中の大学の事務局や学外実習施設とも、メールでの連絡が可能になり大変便利になりました。便利になったというよりは、障害があっても、皆と同じように(方法は違うけれども)生活していけるのだという自信や喜びを得ることができました。そして、ほぼ日常となりつつあるインターネットも生活に大きく影響を与えています。
 聴覚障害者は情報収集の制限があるために社会から隔離されがちです。社会参加としての「社会とのコミュニケーション」、それがインターネットです。知りたいことや興味のあることを、人や媒体に聞かなくても文字としてその情報を得ることができる、つまり社会とのコミュニケーションの媒体の役割をネットが果たしてくれるのです。以前よりも多くの情報を得て、生活に必要な情報を役立てていけるようになりました。また、友達との会話や社会の情勢についていかれるようになりました。
 このように、情報通信の革命は聴覚障害者のコミュニケーション生活に大きな進展を与えていますが、まだまだ聴覚障害者のコミュニケーション支援は十分とは言えません。たとえば何かを予約する時、仕事を探したい時には電話が使えなければ制限されてしまいます。最新機器でこんな物があったら、ということを考えていた時に痛感しましたが、やはり、より多くの人々、社会を取り巻く人々が聴覚障害への理解を深め、電話や話し言葉に代わるコミュニケーション方法を取り入れてくれることに勝る最新機器はないだろう、と思います。

(おかざきかよ 九州保健福祉大学学生)