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第3回リハビリテーションに関する主要研究機関会議

山内繁

 大阪フォーラム終了の翌日、10月24日に「第3回リハビリテーションに関する主要研究機関会議」が全日空ゲートタワーホテル大阪において開催されました。この会議は、国立身体障害者リハビリテーションセンター(国リハ)、国際リハビリテーション協会(RI)、米国教育省国立障害研究所(NIDRR)の共同主催、「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念大阪フォーラム組織委員会、(財)日本障害者リハビリテーション協会、(財)テクノエイド協会の後援によって開催されました。
 第1回会議は2000年のリオデジャネイロRIコングレスに際し、NIDRRの呼びかけによって主要研究機関の交流と情報交換のためのコングレスのセッションとして開催され、アメリカのほか、スウェーデン、イタリア、日本、フィンランド、オランダが参加しました。この会議の結論として、主要な国際会議の機会をとらえて同様の会議を継続することが決まりました。
 これを受けて、2001年にはスロベニアのリュブリアナでAAATE(ヨーロッパのリハビリテーション工学の学会)に際して第2回が開催されました。今回はこれらに引き続くものとして企画されましたが、これまで2回との違いは、RIが公式の主催団体となり、NIDRR、開催国としての国リハとの共催となったこと、アジア地域の国にも呼びかけたこと、情報交換にとどまらず、共同プロジェクトを立ち上げる可能性を追求した点にあります。
 主催団体以外の出席機関は、スウェーデン(障害研究所)、香港(香港理工大学リハビリテーション工学センター)、オランダ(リハビリテーション研究所)、韓国(国立リハビリテーションセンター)、ノルウェー(総合研究開発機構リハビリテーション部門)、フィンランド(国立保健福祉研究開発センター)およびICTA―RI(国際リハビリテーション協会福祉機器・アクセス委員会)、後援組織としてのリハ協の各機関でした。全体で8か国、3団体から24人の参加による開催でした。
 会議は、国リハ佐藤総長の開会のあいさつ、RIオライリー前会長の歓迎のあいさつ、NIDRRのあいさつに引き続き、RIラガウォル事務局長がカナダ障害研究センター所長ヘンリー・エンス氏への追悼の辞を述べました。同氏はこの会議に出席予定でしたが、心筋梗塞で亡くなられたものです。
 出席者および各機関の簡単な紹介の後、議事に入りました。あらかじめこのグループで何らかの共同プロジェクトを企画したいこと、このグループの活動に対して期待したいことについて調査してあったので、その結果に基づいて議事が進みました。
 まず、出席者からの希望の多かった「研究機関情報の交換」について討議し、参加研究機関相互の情報交換のためには既存のインターネットサイトを活用するのが効率的であり、このためにNIDRRがスポンサーとなっているCIRRIEの活用、またそのときのフォーマットについてNIDRRで検討することになりました。
 ついで、2004年のオスロRIコングレスまでにまとまることを目標とした共同プロジェクトについて討議しました。最終的に、「地域リハビリテーションサービス」と「デジタルテレビ」を取り上げることになりました。今回出席できなかった研究機関にも呼びかけ、これらについての共同研究が発足することになります。
 これまでの2回と異なり、このような形で実質的な共同事業を立ち上げることになった点で、今回の会議は大成功であったと考えています。世界の主要な研究機関が共同して課題に取り組むのは初めてのことであり、この共同プロジェクトが2年後に大きな成果となってまとまればその意義は大きく、新たな国際協力のあり方としてその発展に期待したいと思います。

(やまうちしげる 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)