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列島縦断ネットワーキング

東京
都立光明養護学校創立70周年

春田文夫

 東京都立光明養護学校「創立70周年記念」のお祝いの会が、平成14年11月22日に、光明養護学校の体育館とこまばエミナースにて持たれました。
 この記念のお祝いの会は、記念式典・パネルディスカッション・祝賀会の3部構成で執り行われました。
 私自身、都立光明中学校を昭和30年代の初めに卒業したわけですが、たった3年間しか在籍しなかったにもかかわらず、同窓会の会長をお引き受けしてから20年以上も経過しており、50周年記念行事以来3度目の実行委員を仰せつかったのです。
 平成不況を言われてからかなりの年数が経ちましたが、その影響もあって実行委員会の中での議論も、いかに経費をかけずに内容の充実を実現するか、に集中しました。手前味噌になりますが、これは極めてうまく行ったと思っています。
 第2部のパネルディスカッションのテーマは、「これからの肢体不自由養護学校の在り方について」でしたが、サブタイトルとして「共に生きる社会の中で、一人一人が生きる力を育む学校を目指して」でした。
 今や肢体不自由養護学校は、重度化・重複化・多様化と言われる状況下にあり、果たして教育機関である「学校」なのか、病院なのか、通園施設なのか、さまざまな要素を持っているように見える「学校」のその「在り方」や、「一人一人の生きる力を育む」ことに対する検討は極めて重要であり、いわば「学校」の存在意義に関わるテーマだけに、当初予定された以上の人たちが会場である体育館に溢れんばかりでした。
 パネラーは、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特殊教育調査官古川勝也氏、全国特殊教育推進連盟理事長三浦和氏、独立行政法人国立特殊教育総合研究所情報教育研究部教育工学研究室主任研究官大杉成喜氏、筑波大学付属盲学校校長飯野順子氏、コーディネーターは、独立行政法人国立特殊教育総合研究所名誉所員村田茂氏でした。
 古川氏からは、文部科学省が進めようとしている教育改革の具体的プログラムである、「特別支援教育」について意見が述べられましたが、一人ひとりの教育的ニーズを把握し、必要な支援を行うこと。地域の実情に応じて教育的支援のできる学校として、乳幼児期から学校卒業後まで一貫した支援の在り方。医療・福祉・労働関係機関との連携。特別支援教育体制の専門性の強化、の五点を強調してお話しされました。
 また、氏は重度児への偏重からくる中軽度児への対応への問題を指摘するとともに、過員配置での看護師の派遣を予算化する考えを紹介しました。
 飯野氏は、医療的なケアについて強調するとともに、学校への看護師をはじめカウンセラー、音楽療法士、心理、ST、PT、OT等多職種の配置を進め、機能分化・役割分担をする方向をめざすべきと指摘されました。
 大杉氏は、ICTを活用した授業改善を強調しましたが、具体的には滋賀県甲西町の発達支援センターの紹介をしました。また、肢体不自由養護学校の中の工業科・商業科の提案などもされました。
 三浦氏は、地域の特殊教育のセンター的機能の充実について述べました。障害児者のための相談センター・幼小中高に連結するための支援センター・家庭地域関係機関と連携するための情報教育センターの三機能について説明しました。
 残念ながら、2時間という制約があったため、各々のパネラーによる意見交換を行うことができず、やや消化不良の感があり、必ずしもテーマを深めることにならなかったのは残念でした。そして村田氏の出番もなかったに等しいこととなってしまいました。
 今回のシンポジウムは、どの程度のことがどのように具体化されそして養護学校に在籍する児童生徒にどのような将来を約束するのかが、私にはイメージすることができないで終わった感が強い。
 私個人としては、ICTを利用した進路指導・職域の拡大に関心があるが、これとてそれだけのスタッフが学校にいるのか、設備等の問題もクリアできるのか、など「人と物」でかなり厳しいのではないか、と考えてしまったのです。
 真に「一人一人が生きる力を育む学校を目指して」ほしいものと思います。教育改革と特別支援教育が、どのように進行していくのかを見守りたいと考えます。

(はるたふみお 日本チャリティープレート協会常務理事、仰光会(同窓会)会長)