音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

弱い立場の方たちが守られる制度に

北浦雅子

 はじめに、今の障害基礎年金に関しまして、厳しい社会経済情勢の中ご配慮いただいておりますことを、重症心身障害児(者)の親を代表し、心より感謝申し上げたいと思います。
 私ども全国重症心身障害児(者)を守る会は、昭和39年6月に、児童福祉法からはずれ、「世の中の役に立たず、社会復帰もできぬ子に金をかける必要があるのか」との声も聞かれる世相の中で、たとえどんな重い障害があろうと、真剣に生きているこの「いのち」を守ってくださいと訴え発足いたしました。以来、「最も弱いものをひとりももれなく守る」という会の基本理念のもと、子どもたちから学び、親自身が成長するという姿勢で、ただひたすらに子どもたちの幸せを願う親の活動として、重症心身障害児(者)の福祉・医療・教育の充実に向けた運動を展開しております。
 当会が次期年金法の改正に期待することといたしましては、弱い立場の方たちがこの制度から取り残されてしまうことのないよう願っています。
 また、18歳未満に重度の知的障害および重度の肢体不自由が重複している場合には重症心身障害児となりますが、20歳の誕生日を過ぎてから事故に遭われ同じ状態になられた方などの場合、その時にたまたま年金制度に未加入であれば障害基礎年金の支給を受けることはできません。そういった状況におかれた親の方々の悩みをよく耳にし、大変心を痛めております。
 このような方たちに対しては、手当で給付していこうとの案も国でご検討いただいているとうかがっていますが、こうした障害をもたれた方々も守られるように願っています。
 少子・高齢化の急速な進行、経済状況の低迷、若い世代の年金離れ等々、年金に対する不安感・不信感が高まっている中で、重症心身障害児(者)の代弁者であるべき私たち親自身の姿勢も社会に問われています。弱い立場の人を守る制度であることを期待するとともに、私たちも大切な年金を子どもたちのために有効に使える親であるよう、今後とも気を引き締めてまいりたいと思っております。

(きたうらまさこ 社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会会長)