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支援費制度の推進に向けて

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課

1 はじめに

 本年4月から施行された「支援費制度」は、社会福祉基礎構造改革の一つとして、障害者福祉サービスについて利用者の立場に立った制度を構築するため、これまでの行政がサービスの受け手を特定し、サービスの内容を決定する「措置制度」から、障害者の自己決定を尊重し、利用者本位のサービスを提供することを基本として、事業者との対等な関係に基づき、障害者自らがサービスを選択し、契約によりサービスを利用する仕組みに改められたものである。
 支援費制度は概ね順調にスタートできたと考えているが、制度導入の趣旨を踏まえて引き続き各課題に対して適切に取り組んでいく必要があると考えている。

2 支援費制度の施行状況と推進のための取組

(1) 支援費制度の施行状況(平成15年4月調査)

 本年4月時点の支給決定の状況や事業者指定の状況について、回答のあった自治体の結果は以下のとおりである。

  • 支給決定の状況は、居宅支援サービスについては延べ約19万2千人(44/47都道府県、47/48指定都市・中核市)、施設支援サービスについては延べ約20万5千人(44/47都道府県、48/48指定都市・中核市)、合計で延べ約39万7千人が支給決定を受けている。
  • サービス提供事業者の指定の状況は、例えば、居宅介護事業所については、身体障害者に係るもの7,416か所、知的障害者に係るもの5,751か所、児童に係るもの5,100か所が指定を受けたところである(全都道府県・指定都市・中核市)。

 支給決定の状況については、昨年10月の全都道府県等の調べによる利用見込者数を勘案すると、概ねサービスの利用が必要な方に対して支給決定がなされたものと考えている。また、サービス提供事業者の指定の状況についても、居宅支援の柱であるホームヘルプサービスについて、単価改善や指定基準の緩和を行ったことによって、多様な事業主体の参入が進んできている。

(2) 支援費制度の利用状況(平成15年9月調査)

 支援費制度施行に伴う居宅支援サービスの利用状況を把握するとともに、「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会」(3.を参照)での検討に資するため、全国の自治体に照会をしたもののうち、76市町村分のデータを取りまとめた結果の概要は以下のとおりである。

1.ホームヘルプサービスのうち利用があった市町村数

a 身体障害者

 身体介護…70、家事援助…68、移動介護(身体介護伴う)…41、移動介護(身体介護伴わない)…44、日常生活支援…20

b 知的障害者

 身体介護…49、家事援助…53、移動介護(身体介護伴う)…28、移動介護(身体介護伴わない)…33

c 障害児

 身体介護…44、家事援助…18、移動介護(身体介護伴う)…20、移動介護(身体介護伴わない)…17

2.デイサービスのうち利用があった市町村数

a 身体障害者…57
b 知的障害者…45
c 障害児…41

3.短期入所のうち利用があった市町村数

a 身体障害者…50
b 知的障害者…60
c 障害児…62

(3)支援費制度の推進のための取組

 支援費制度の円滑な施行を確保する観点からは、利用者のサービスの選択が可能となる事業者を確保することが重要である。そのためには、これまでの障害者プランに引き続き、昨年末に策定された新障害者プランによってサービス提供基盤の整備をより一層進めていくことが必要であり、各都道府県及び市町村において、地域間のサービス水準に不合理な格差が生じないよう留意しつつ、地域のニーズを十分に踏まえた計画的な整備を進めることが肝要である。
 新障害者プランにおいては、「地域生活を支援するための、ホームヘルパーの確保、ショートステイやデイサービスの整備等在宅サービスの充実」、「住まいや活動の場としてのグループホームや通所授産施設の整備」等について具体的な達成目標を定め、その推進を図ることとしており、平成15年度予算における新障害者プラン関係経費として、約1,301億円を計上したところである。
 平成16年度概算要求においては、厳しい財政状況の中、施行2年次目となる支援費制度の着実な実施を図るため、必要な予算の確保を図ることとしている。

3 障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会

 厚生労働省では、支援費制度施行後のホームヘルプサービスの利用や提供の実態を把握した上で、望ましい地域ケアモデル、サービスの質の向上のための取組などを検討することを目的として、「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会」を本年5月から開催している。
 この検討会は、幅広い分野でご活躍の方々にご参集いただき、オープンに議論を行うこととしており、8月までは委員の発表、関係者のヒアリング等を行ってきたところである。
 9月以降は、1.地域生活を支えるサービス体系の在り方、2.サービスを適切に供給していくためのシステムの在り方、3.サービス供給を支える基盤の在り方について、順次検討しているところである。

4 最後に

 厚生労働省としては、利用者の選択を重視した支援費制度の推進に今後とも努力してまいる所存であるので、引き続き、関係者の皆様のご協力を賜りたいと考えている。