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ワークショップ・セッションC
「自助グループ及び自立生活運動」

森地徹

 会議2日目、ワークショップ・セッションCの議題は『自助グループ及び自立生活運動』であった。スピーカーは日本の中西氏、タイのトポン氏、韓国のチョウ氏、オーストラリアのフランク氏であった。中西氏からはアメリカにおけるIL運動の歴史と日本におけるIL運動の展開について報告があった。中でも、「障害者は子どもではない」「障害者は患者ではない」という言葉には人間としての障害者の尊厳を感じさせられた。トポン氏からはタイのセルフヘルプ運動について報告があった。「草の根レベルで障害者の力を集結し、草の根レベルから国レベルにその力を持っていかなければならない」との言葉からは障害者運動の普遍性と必要性を感じさせられた。チョウ氏からは韓国の障害者政策について報告があった。中でも「障害者は隣人である」「自立生活には性別、年齢は関係ない」との言葉には障害者の自立生活の根本について考えさせられた。フランク氏からはオーストラリアの障害者の自立生活について報告があった。「障害者自身が資源であり、障害者は自立しなければならない」との言葉には障害者を中心とした自立生活の必要性を感じさせられた。質問としては「障害者のピアカウンセリングについて」「ILにおける支援について」などが挙げられた。
 全体を通して、国が違い、報告要旨が違っても、障害者の自立生活を考えるうえで必要なことは、当事者主権であるということを改めて考えされた。また、「障害とは自らの体に起因するのではなく、周りの環境が障害者をつくる」との中西氏の発言からは、物心両面での環境の整備が障害者にとって必要だということを考えさせられた。
 今後、このようなアジア・太平洋地域全体での障害者問題に対する検討会が、各国の障害者問題軽減の一助になることを期待したい。

(もりちとおる 日本社会事業大学大学院)