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ワークショップ・セッションE
「雇用の機会」

後藤強

 「ワークショップ・セッションE」は「雇用の機会」をテーマに、5人のスピーカーによる発表と質疑が行われました。国際労働機構(ILO)事務局のデボラ・ペリー氏、韓国のダイヨ・リー教授、開催国シンガポールからは知的障害者へのサポートトレーニング機関のアーロン・ナグ氏とビズリンクセンターのリアン氏、そして日本からは「きょうされん」の立岡理事長です。
 どのスピーカーも熱意あふれる報告でしたが、特にシンガポール職業紹介部マネージャーのリアン氏の報告は、深刻化する経済不況の障害者雇用への影響と新たな就労戦略の開拓という点で特に印象深いものでした。「奇跡の発展」を遂げてきたと言われるシンガポールにおいても97年以降の景気後退は深刻で、失業率は5.9%に達しており、ブルーカラーだけでなく知識集約型と言われるホワイトカラー層の失業者も急増している。求職者100人に対して20数人の求人しかない状況では障害雇用は非常に厳しく、それまで障害者の多くが従事してきた付加価値の低い労働集約的な伝統産業は、より人件費の低い周辺諸国に流れているとのこと。法定雇用率のような法律もないなかで就労支援をすすめていくには従来の方法に頼るだけでは駄目で、企業の直面している変化やニーズに応じた人材の育成・研修を行うことや、場合によっては新しい会社を独自に設立するなどこれまでにない職場の開発をすすめていくことの必要性が語られていました。
 セッションEへの参加者は40人ほどでしたが、正式な会議の場での討論もさることながら、休憩時間を利用したロビーでの交流も非常に活発で、国情の違いを超えて雇用機会の開発やチャレンジがさまざまに試まれていることを実感させられました。

(ごとうつよし きょうされん)