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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年2月号

こんなものがあるといいナ ~ユーザーの声

自動車の補助装置について

山下浩二

私は昭和62年(1987年)、交通事故によりせき髄損傷となり、車いす生活となりました。

その後は、社会復帰をめざし、車いすの操作、上肢筋力アップのリハビリを半年間行い、自宅での生活を送るための力をつけた後、退院しました。

入院中に下肢障害があっても車を運転できることを知り、驚きと期待でいっぱいでした。下肢障害をもつ者にとって、車を運転するということは、車いすに乗った状態とは違って、人の手を借りずに自分で運転し、行きたい場所へと自由に移動することができます。私の行動範囲も広がり、健康な頃のような生活を送ることができました。それによって社会復帰することができ、今現在も毎日、車で営業に走り回っています。今では、車のない生活は考えられないくらいです。

補助装置の使いやすい点は、単純な操作で運転ができるところです。たとえば、アクセルは手動装置を手前に引く、ブレーキは手動装置を押します。手元にウインカーやクラクションのボタンがあり、ブレーキロックは、信号待ちなどの時に足で踏んだ状態になります。

しかし、長年使い続けて不便な点もいくつかあります。1.健常者と共有で使用する場合、手動装置が足場を狭くする点です。2.最初に販売店で取付された状態で納車となるので、運転者の操作しやすい位置とは違い、その後の調整もできない点、3.車の買い替え時に必ず手動装置も買い替えなくてはならない点、4.車に穴を開けて取付をするので、買い替えの時に事故車扱いとなる点です。

今後の要望としては、車にキズをつけずに取付できるもの(車種によって異なる部品であれば、穴を開けずに取付できるのではないか?)とグリップの角度や高さ調整が容易にできるもの、または納車前の取付時に購入者一人ひとりに対する対応をあげたいと思います。

私自身17年近く使用していますが、その間あまり変化を感じません。装置の強度や安全性など困難な点はあると思いますが、自分のドライビングポジションに合わせていける手動装置ができることを期待しています。

写真

(やましたこうじ 福岡県在住)