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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年3月号

平成16年度 障害保健福祉部関係予算(案)について

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課

平成16年度の障害保健福祉関係予算(案)については、障害者基本計画重点施策実施5か年計画(新障害者プラン)に基づき、障害者の地域における自立の支援、住まいや働く場の確保、精神障害者に対する保健福祉施策の充実とともに、支援費制度の着実な実施や社会参加の促進などに必要な経費として、6,942億円、対前年度282億円増、伸び率4.2%増の予算額を計上しているところです。

1.障害者基本計画重点施策実施5か年計画(新障害者プラン)の推進

障害者基本計画重点施策実施5か年計画(新障害者プラン)は、障害者基本計画に基づき、平成15年度からの5年間において、政府が重点的に実施する具体的施策とその達成目標を定めたものであり、ノーマライゼーションの理念の下、共生社会の実現を目的として、障害のある方々が活動し、社会に参加する力の向上を図るとともに、福祉サービスの整備やバリアフリー化の推進など、自立に向けた地域基盤の整備等に取り組むものです。

具体的に、厚生労働省関係においては、

  1. 地域生活を支援するため、ホームヘルパーの確保、ショートステイやデイサービスの整備等在宅サービスの充実
  2. 住まいや活動の場としてのグループホームや通所授産施設の整備
  3. 精神障害者の退院・社会復帰に向けた総合的な取組
    等について具体的な達成目標を定めて、その推進を図ることとしており、平成16年度予算(案)において1,426億円を計上しています。

(1)在宅サービスの推進

在宅サービスの着実な推進を図るために、ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービスといった基本的なサービスを拡充しているほか、障害児通園(デイサービス)事業、重症心身障害児(者)通園事業などの障害児に対するサービスや、精神障害者地域生活支援センターなどを拡充しています。

特に在宅サービスの中心となるホームヘルプサービスについては、357億円(対前年度伸び率22.5%増)の予算額を計上しています。

また、市町村を中心とした相談・支援体制の充実やケアマネジメント体制の整備を図っていくため、障害者ケアマネジメント体制支援事業として、都道府県・指定都市における支援体制づくり(推進協議会の設置等)や、すでに活躍している研修修了者に対するスキルアップのための研修等を実施していくことしています。

(2)住まいや働く場または活動の場の確保

障害者の住まいや働く場などの確保を図るため、地域生活援助事業(グループホーム)、福祉ホーム、通所授産施設、精神障害者生活訓練施設(援護寮)などを拡充しています。

地域生活支援を推進する観点から、特にグループホームについては、106億円(対前年伸び率23.7%)の予算額を計上しています。

(3)精神障害者施策の充実

精神障害者施策については、ホームヘルプサービス、ショートステイ、グループホームといった在宅サービスの推進や生活訓練施設(援護寮)、通所授産施設、地域生活支援センター等といった社会復帰施設の一層の充実、及び良質な医療の確保に向けた取り組みの充実を図ることとしています。

また、精神科病院に入院している精神障害者のうち、病状が安定しており受け入れ条件が整えば退院可能である者、いわゆる社会的入院を余儀なくされている者に対し、活動の場の提供や、退院訓練を行うことにより、自立を促進し、退院に結びつける「社会的入院解消のための退院促進支援事業」についても拡充することとしています。

(4)保健福祉施策と雇用就業施策の一体的推進

障害者の身近な地域において、就業面と生活面での支援を一体的に推進するための「障害者就業・生活支援センター事業」を拡充することとしています。

また、授産施設等における活動から一般就労への移行を推進するため、「施設外授産の活用による就職促進事業」についても、引き続き実施していきます。

2.支援費制度の着実な実施

支援費制度の施行2年次目となる平成16年度においては、制度の着実な実施を図るために必要な経費として、3,473億円、対前年度260億円増、伸び率8.1%増の予算額を計上しているところです。

ホームヘルプサービスなどの居宅生活支援費については、602億円、対前年度86億円増、伸び率16.7%増であり、特に、障害者の地域生活支援を推進していく観点から、居宅生活支援の中心的サービスであるホームヘルプサービスについては、342億円、対前年度64億円増、伸び率23.0%増、また、グループホームについては、86億円、対前年度19億円増、伸び率27.5%増の大幅な増額を計上したところです。

また、更生施設、授産施設などの施設訓練等支援費については、2,871億円、対前年度174億円増、伸び率6.5%増を計上したところです。

このほかにも、支援費制度の適切な実施を図るために、都道府県が市町村を巡回し専門的な助言、指導を行う「支援費支給決定事務の適正化を図るための巡回指導事業」や支援費対象サービスについての費用及び費用の積算に必要なサービス等の実施状況を調査するための「支援費事業経営実態調査事業」に係る経費を計上したところです。

3.障害者の社会参加の促進

障害者の自立と社会参加の促進については、ノーマライゼーションの理念の実現に向けて、障害者が住み慣れた地域社会の中で自立し、社会に参加できることを目的として、これまでも、都道府県・指定都市が行う「障害者社会参加総合推進事業」及び市町村が行う「市町村障害者社会参加促進事業」等において、生活訓練、障害者ITサポートセンターの整備等のコミュニケーション手段の確保、身体障害者補助犬の育成等の自立生活支援を実施してきたところです。

平成16年度においては、事業を総合的、効果的、かつ、効率的に実施していく観点から、これまでの社会参加促進関係事業に自立支援等推進事業を加えて統合・メニュー化を図り、新たに「障害者自立支援・社会参加総合推進事業」を創設し、さらなる充実を図ることとしています。

4.その他の主要事項

1.自閉症等対策の推進

自閉症児(者)の特性を踏まえたきめ細かい相談、助言、指導等の対応を図っていくことを目的とした「自閉症・発達障害支援センター事業」について拡充を図ることとしています。

2.心神喪失者等医療観察法の円滑な施行

平成15年7月に成立した「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」の円滑な施行のために、司法精神医学及び関連する福祉等に関する知識を有した人材の養成、確保や指定入院医療機関の整備、法制度の普及啓発のための事業を実施することとしています。