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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2004年10月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編 ●安全に料理をする工夫、他●

提案:長谷川玲子 イラスト:はんだみちこ

長谷川玲子(はせがわれいこ)さん

アテトーゼ型の脳性マヒで、OI(骨形成不全症)の彼と二人暮らしです。仕事は、精密機器メーカーで汎用機のプログラマーをやっています。もともと洋裁・刺繍・編み物・料理、ジグソーパズルなど、いろいろ作ることが大好きです。今の趣味は、旅行です。


安全に料理をする工夫 その1

わが家の鍋は重いものが多いです。なぜかというと、重いものは安定感があるので、そこがポイントです。軽い鍋は少し力が入っただけで動いてしまい、ガスコンロからずれたり、中のものがこぼれたりして危険ですが、重いものは安定感があって、ちょっとの力では動じません。鍋をかき回すときも同じです。軽いものは片手でかき回すだけで、鍋自体が動いてしまいますが、重いものは片手でかき混ぜても、安心です。

熱い鍋を移動するときは、中のものがこぼれないように蓋をして、腕を伸ばして届くところに鍋を置き、体を移動する。この繰り返しで安全に移動できます。

器を移動させるときは、器を持つ腕を体につけるか、逆に腕を伸ばして固定させると安定します。マイコップもやはり重くて取っ手がついているものを使っています。


安全に料理をする工夫 その2

私は、脳性マヒのため、細かい作業などができません。料理を作るとき、私は、包丁で普通に切ることはできますが、皮をむいたりすることはできません。いろいろな工夫をしていますが、とてもうまく楽にできるものもあるのです。そこで普段私がやっている、包丁を使わないで安全に料理をする方法を紹介します。

それは、ごぼうの皮むきです。通常、ごぼうの皮むきは、包丁の背を使ってこそげ落としますが、緊張のある私には、包丁の刃を自分のほうに向けて使うことを想像するだけでよけい緊張します。

そこで私は、市販の皮むき器を使います。皮むき器の刃の部分は、力が入ると刃が食い込んでしまうので、反対側の面を使います。ごぼうはまな板の上にはのせず、流しに直接置きます。片手でごぼうを押さえてもう片方で皮むき器の背を使うと簡単にきれいに皮がむけます。皮がむき終わったら、皮むき器の刃をつかって、そぎ切りにすれば、ささがきごぼうのできあがりです。これは他にも応用できますよ。


足も使って編み物

私の趣味は、編み物です。以前は、機械編みを習っていましたが、今は、主に棒編みをやっています。棒編みのときは、毎回棒に手で毛糸をかけながら編んでいきます。また、かぎ編みのときは足も使って編みます。

かぎ編みの方法を紹介します。私は手に緊張があるので、一度に二つ以上の動作ができません。かぎ編みの場合、私は糸を指にひっかけながら、編んだものを持つという動作ができないので、手の指の代わりに足の親指に糸をからませて、糸の調節をしています。この方法だといつも糸の張り具合がわかるので、均一できれいに編みあがります。

冬、コタツに入っているときは、足が使えません。そんなときは座布団に糸を一回りさせて、糸の調整をします。座布団はある程度重みのあるほうがいいです。

重度の障害をもつ私は、何をするにも障害が現れ、時間もかかります。しかし、できあがったものには、障害が現れないように。これが私のポリシーです。