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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2005年2月号

民間からの評価

ガイドヘルパーの問題

小林文雄

平成15年4月まさにドタバタ劇の最中に迎えた「支援費制度」のスタートでしたが、私たち障害者にとっては先行き不安の中にも一縷の望みを抱かせるものだったと思います。

しかし、それが初年度も数か月を残す時点で早くも大幅な赤字を来す始末、そこで急浮上したのが、介護保険制度への統合の問題でした。それは当事者のだれの目にも最初から計算しつくされた筋書きとしか映らなかったことでしょう。結局16年度に入って統合問題は当事者の猛反発の前に取り下げざるを得なかったのであります。

そこでまたしても降って湧いたように持ち出されたのが昨年10月の「改革のグランドデザイン案」なるもので、次期通常国会に向けて新しい法律をめざそうというものでした。

その後、赤字は膨らみ膨らんで今や260億を優に超えようかという状況にあります。予想されていたこととはいえ、あきれて言葉も見つかりません。厚労省事務方の皆様のご努力はある程度評価できるとしても、国の責任はまさに重大と言わざるを得ません。

ところで皆様すでにご承知のとおり「グランドデザイン案」は大変膨大で多岐にわたるものです。限られた紙面では詳しく検証するなどは不可能と思います。まして浅学非才の私にできようもないことであります。そこで私たち視覚障害者にとって最も高い関心事でもありますガイドヘルパーの派遣問題に絞って、ごく簡単に私見を述べてみたいと考えます。

第一に何と言っても「応益負担」の問題といってよいでしょう。負担することには反対は致しませんが、つまり基礎年金2級の受給者からは1万5000円、さらに1級者からは2万4600円を利用料として徴収することとなっております。低所得者層に位置する視覚障害者にとっては些か高すぎはしないでしょうか。このことが積極的な社会参加に水をさし、かつ自立心の妨げになりはしないかと大いに懸念されるところです。

第二には利用時間の問題でしょう。上限を設けることには反対は致しませんが、高い利用料を徴収するからには社会参加に十分な利用時間を認めるべきと考えます。

第三には各自治体の財政による格差の問題が挙げられるでしょう。国は財政面での支援に配慮し、格差を生じさせないとしておりますが、それはきちっとそのとおりやってほしいものです。ほか申し上げたいことも多々ありますが、紙面の関係もございます。とりあえずは重要と思われる三点に絞って述べさせていただきました。

(こばやしふみお 日盲連総合企画審議会副委員長)