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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2005年7月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編 ●カラフルリボンの威力、他●

提案:勝矢光信 イラスト:はんだみちこ

勝矢光信(かつやみつのぶ)さん

昭和22年生まれ。進行性筋萎縮症。江戸川区役所福祉電話相談員(在宅勤務)。障害者の旅行や散歩を研究。著書は、『車いすといっしょに旅に出よう!』(日本経済新聞)。


カラフルリボンの威力

リュックの開閉やジャケットのファスナー上下動作にカラフルな色の異なるリボンを使うと、ヘルパーさんに指示しやすく、どのコーナーに何が入っているか、何を取りだしてほしいかを「一言」で伝えられます。たとえば、「赤のチャックを開けて、ティッシュを」と伝えると、すぐにヘルパーさんは了解してくれます。ただし、あまりにも簡単に開けられるので、海外旅行に出る場合には、一つひとつにカギをつけたほうが良いです。

また、私のように筋力がないと、小さなファスナーの先を握って、上下に動かすことが不可能です。リボンを腕の入る太さの輪にしておくと、それに腕や指数本を入れるだけで、筋力がなくても自力でファスナーの上下動作を行えます。また、異なる色のリボンはいろいろなところで威力を発揮します。電子レンジの開閉をしたり、電灯スイッチのひもを引いたり、コンセントを抜いたりにも、この応用が利きます。


今も活躍する、携帯用スロープ

折りたたみ式の45cmスロープは、バリアフリー化された今でも、現役で活躍しています。以前旅行に出る時、近所の工場で作ってもらった携帯用折りたたみ式スロープを、電動車いすの背ポケットに差し込んで、出かけます。4mmアルミ板製で、ちょうつがいで繋がっていて、折りたためます。こんなにバリアフリー社会になっても、入口に階段が1段ある店、電車の段差などは、今でも残っています。いちいち駅員を呼んだり、店員を呼んだりするのも社会啓発になってよいのですが、時間がもったいないと感じます。そのロスタイムを考えると、自分で携帯用スロープを持っていることをとても誇りに思えます。

背中のポケットからヘルパーさんにサッと引き出してもらい、段差に広げてもらうだけで、簡単にクリアできます。特に、海外では、威力を発揮しています。この携帯用折りたたみ式スロープを持ちながら、社会に飛び出した過去の思い出は、今でも忘れられません。


手軽にホットタオル

わが家の玄関には、リサイクルショップから2500円で買ってきた電気釜が置いてあります。保温状態にして(電気は少し消費しますが)、濡らしたタオルをたくさん入れておきます。帰宅した時、すぐにホットタオルを電気釜からだして、顔や手足を拭くのが、最高の楽しみなのです。車いす生活だと、手足が汚れやすいし、汗をよくかきます。また、冬は手足が凍りついて帰宅します。このような時、電気釜を開け、ホットタオルを引き出し、顔や手足にかけ、一呼吸する時、ホッとした気分になり、また、無事に帰宅できた「小さな幸せ」に無上の喜びを感じます。特に冬のホットタオルは最高です。

以前、車いすのお客が来た時に、サッと出してあげたら、とても喜ばれました。

また、朝も、起きたらすぐに1枚使います。自分で洗面器や水道から水をすくって、顔を洗えないので、このホットタオルが威力を発揮しています。障害を負うと、「清潔でいたい」という強い願望があります。ヘルパーさんも、この対策は介護に役立っていると言っています。