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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2005年10月号

1000字提言

障害者相談支援センターに求められること

原田みち子

県の障害者相談支援体制整備の目的でスタートした「障害者相談支援センター」の相談員に就いて、9か月が経過した。それまでは、市町村保健福祉事業である「在宅介護支援センター」で7年間、高齢者とその家族の相談に携わっていた。

対象者こそ違うがどちらの支援センターも、市町村の窓口では対処しきれない問題について、中立・公平に、迅速かつ専門的に機能して相談支援する意図を持つという点では同じである。

しかし、支援体制を比べると「在宅介護支援センター」は病院や施設が委託を受け、電話での対応は24時間可能であるが、「障害者相談支援センター」は保健福祉事務所内に設置され、平日5時までが基本で、土日祝日・夜間の対応ができない。市町村窓口が閉じている時間帯に同じに閉じていることに不十分さを感じている。また、現在私を含めて委託契約の相談員2名は、合わせて1か月102時間勤務であり、24時間対応はおろか、常勤1人分の確保にも至らないのが実情である。

対応エリアについては、「在宅介護支援センター」は中学校区に一つの割合で設置されており、相談が入ると即日訪問し対応できるという身近さが長所で、市町村の窓口も担当区域の支援センターを手足として活用してきた。そのため支援センターが地域の状況を把握でき、住民にもその機能が徐々に浸透していったのである。特に介護保険が始まってからは、必要に応じて要介護認定の結果を待たずにサービス利用の調整・開始ができるシステムが整い、より迅速な対応が可能となった。それと比較すると障害者の相談支援体制は、相談から対応までの時間がとても長く感じられる。要因としては、圏域という対応エリアが広いこと、エリアの広さに対して対応する人員が少ないこと、市町村との調整に時間がかかること、必要でも支援費の支給決定を待たねばサービス利用ができないという仕組み上の問題などが考えられる。利用者主体とは言い難く、支援する側主体の状況であるといえる。その間利用者は耐えて待つしかないのである。相談を受けると少しでも早くよい状況にと願い、焦燥感にかられる。一足先に進んだ高齢者の相談支援体制のよい点を見本として生かせていないことを実に残念に思う。

(はらだみちこ 高崎・安中圏域障害者相談支援センター障害者相談員)