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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年2月号

障害者自立支援法をめぐって

施行直前に思うこと、懸念すること、望むこと
障害者自立支援法施行直前に思うこと

阿由葉寛

いよいよ4月から、障害者自立支援法(以下、支援法)が施行されます。私どもの法人では、昨年4月より障害者自立支援法対策特別委員会を設置し、支援法施行後の法人、施設、事業のあり方について、また、現行の利用者の移行先と支援法施行後の養護学校等の卒業生の受け入れ、そして4月から始まる利用者負担への対応等を中心に検討を進めてきました。

現在、当法人の各施設や事業(デイサービス、短期入所、ホームヘルプ事業、放課後関連事業、等)を利用されている知的障害者が110人、障害児が70人余りになり、それらの方々の移行先や利用料の問題など、法人として検討を進めなければならない課題と、利用者や家族が検討を行い、自ら結論を出し、申請を行わなくてはならないことなどを含めると、実際には多くの検討事項や課題があります。

いずれにしても、4月からの施行を目前に利用料の徴収に対しての情報提供や障害者相談支援センターへの申請の代行依頼、そして、新たな利用契約書や重要事項説明書の作成に向けた準備等、早急に行わなければならないことを優先課題として、地元行政に確認、協力をしながら速やかに進めていくことが必要であると考えています。

一方、全国社会就労センター協議会としても、昨年12月に障害者自立支援法の施行に向けた実践研修会を開催し、新事業への移行手順等の基本的な考え方や介護給付・訓練等給付の利用者負担について、また、具体的な利用者負担の算定方法等について全会員施設へ周知していただくよう進めてまいりました。

現在は、移行にあたってどのような移行準備作業が必要になるのか作業項目を整理し、移行に向けた準備作業スケジュール(行程表)や「利用契約および新施設・事業体系移行手順事務モデル」をお示しできるよう準備を進めているところです。

関連施設の皆様には、それらを参考にしていただき、きちんと移行できるよう進めていただくことによって、利用者や家族の方々の不安が少しでも取り除ければと思っています。

さて、支援法が本来どうあるべきかを考えると、現状とはかけ離れたものになってしまいそうなので、ここでは触れるつもりはありません。ただ、今すぐ、本来理想とする姿に変えることは困難かもしれませんが、動き出した、この法律の中心に障害当事者を置いて考え、理想と言われてしまうかもしれませんが、本来あるべき姿に変えていく努力は今後とも続けていかなくてはならないのだと思っています。

(あゆはひろし 足利むつみ会理事長、全国社会就労センター協議会制度・政策・予算対策委員会筆頭副委員長)