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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年4月号

1000字提言

所得保障が自立にとって不可欠

広田和子

障害者自立支援法は自己決定の法律だと私は捉えています。その自己決定を生み出す源は所得の保障です。

私は保健福祉コンシューマーとして、また地域で暮らす一住民として、この法律によってコンシューマーにサービスを選択させてほしいと考えています。

現在、私は骨折した足のリハビリと介護予防を兼ねて、フィットネスクラブのようなスポーツゾーンに通っています。そこは社会福祉協議会が運営していて、全日コースで一般会員は1か月8,400円の会費ですが、保健福祉従事者と共に障害者は1か月6,300円、ロッカー代を入れて6,930円です。

平日は午前10時から午後10時まで、土曜は午後9時まで、日曜は午後6時まで開いていて、いろいろなメニューがあり、トレーニングマシンもありますが、私はもっぱらスパに入っています。シャワーを浴びて浴槽に入り、まずぬるま湯の中で水中歩行を15分から30分して、お水を飲み、次に80度くらいのサウナに7、8分入り、いろいろな人々と話をしています。

話の内容は「健康のこと」や「冬のソナタ」等です。みんなの話を聞いていて、冬のソナタに関心を持った私はビデオを借りて、全巻見ました。

サウナを出ると、19度くらいの水風呂に5分くらいつかります。その時に何十回も顔を洗ったり、手足を伸ばしたりしています。このサウナと水風呂を3、4回繰り返して、最後にサウナに入った後、39度くらいのお湯の中で寝ころび、ミストサウナに入り、鼻で深呼吸を繰り返し、スパ空間を出て、シャワーを浴びて良い気分で上がってきます。

このほかに時々平日の昼間、近くのカラオケボックスに行きます。ドリンク付きで30分、157円です。たとえばここに週1回1時間通っても1か月1,256円。スポーツゾーン代と合わせても約8,200円です。

私は生活保護制度を使っているので、家計のやりくりのため髪の毛も自分でカットするなどしてスポーツゾーンに通っています。お蔭で体調もよくなり、私の生活の一部となっています。

相談や講演活動の傍ら、こうした日々を送る私からみた障害者自立支援法は、とにかく所得の保障をしてもらって、その人が本当に必要としているサービスを使えるようにしてもらいたいということです。障害者が地域で暮らしていくためには、単に福祉や医療のサービスだけでなく、一般人と交流できるこのようなサービスも重要です。

私自身はホームヘルパー制度に助けられながら生活しています。自分が使いたいサービス、自分にとって必要なサービスをコンシューマーが自分で決める時代に入ったと思っています。

(ひろたかずこ 精神医療サバイバー)