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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年4月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●ベッド用電話等を固定する可動式アーム、他●

提案:松井俊次 イラスト:はんだみちこ

松井俊次(まついしゅんじ)さん

1960年生まれ。障害は脳性マヒと頸髄損傷、佛教大学社会福祉学科卒業。「誰もが使える交通機関を求める」全国行動東京実行委員会の事務局長を務め、交通バリアフリー法改正やユニバーサルデザインのオブザーバー等々で他障害者団体と一緒に活動している。


1.温風でフィッテングさせる汚れ予防や防水のための透明ビニールカバー

電動車いすをチン(顎)コントロール(以下、チンコン)するジョイスティック(以下ジョイステ)は、硬式プラスチック製のステアリングを最初は使っていましたが、私には顎が滑ったりしていまいち使いにくいものでした。

そこで、ジョイステ全体に板状の吸着ゴムを貼り付け、その上から黒色のビニールテープ(以下ビニテ)で固定しました。でも何せビニテだけで固定しているので、汗や雨などの水気にはめっぽう弱くてすぐにはがれてしまい、何回も張り直さないといけない欠点がありました。

さらに、長持ちさせるために思いついたのが市販されているテレビのリモコン等の汚れを防止するための透明ビニールカバーを被せることです。今はこれが私の電動車いす生活の必需品になっています。ちなみに、ビニールカバーはドライヤー等の温風を当てることによって、どのような形状にもフィッテングでき、常温で冷やすとすぐ固まるものです。


2.携帯電話用赤外線を屈曲させるためのオリジナル簡易ミラー

最新機種の携帯電話(以下、携帯)のほとんどは、その赤外線送受信部分が携帯の先端に装備してあり、赤外線を送受信するためには携帯の先端を送受信する機器の赤外線受光部分に向けなければなりません。私のように携帯を車いすにマジックテープで固定して、しかもマウススティックで操作する者は、赤外線の送信を行おうとすると真上に発信してしまうので、受信目的の機器を操作できませんでした。

そこで、私が考案し製作したのが簡易ミラーの利用です。もともと簡易ミラーは、自宅のテレビの簡単なリモコン操作や赤外線受信対応のプリンターを、ヘルパーの手を借りずに自分の携帯で自由にできるようにと、材料なども自分で選び、作り方をヘルパーに指示してオリジナルで製作したものです。この簡易ミラーを携帯の先端に装着し、赤外線を簡易ミラーに当てて屈曲させることにより、携帯から送信する赤外線目的の機器が使えるようになりました。


3.ベッド用電話等を固定する可動式アーム

私は頸髄損傷で、日常生活では身体を動かすほとんどのことをヘルパーにやってもらっています。また一人暮らしで、ヘルパーがいない夜中にベッドの電動リクライニングのアップダウンや電話連絡などを自分一人でできるように、電動車いすなどを販売・修理している得意先の業者にあれこれオーダーして作ってもらったのが、電話等を固定する可動式アームです。

この可動式アームに左に携帯、真ん中に自宅電話の子機、右に電動リクライニング用のリモコンをマジックテープで固定しています。もちろん、携帯も子機もマジックテープのため取り外しが可能で、これを製作してもらったことで、リクライニングでどのような角度になったとしても、アームの横に備えているマウススティックで電話をかけたり、リモコンで角度を自由に変えたりすることができます。イラストは、ベッドに設置された可動式アームを横から見たものです。