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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年8月号

重点連載 障害者自立支援法と自治体施策

帯広市における利用者負担軽減制度

帯広市

【独自軽減制度創設の背景】

今年4月施行の障害者自立支援法に基づく障害福祉サービスの利用者負担は、これまでの支援費制度での所得に応じた「応能負担」から、原則、サービス費用の1割を負担する「定率負担」に見直され、低所得者については、利用者負担抑制のための軽減制度が講じられることになりました。

帯広市では、支援費制度におけるサービス利用実態を踏まえたきめ細やかな制度設計に配慮し、平成20年度までの3年間を時限とする帯広市独自の軽減制度を創設しました。

【独自軽減制度の概要】

帯広市の独自軽減制度の対象事業は、居宅サービスと施設支援費で、以下の3点を柱としています。

  1. 対象者を所得税非課税者まで拡大
  2. 対象サービスを社会福祉法人以外のサービスと短期入所サービスへも拡大
  3. 居宅系サービスの利用者負担を10%から5%に軽減

1は、これまでの支援費制度で帯広市独自に利用者負担を無料にしていた「所得税非課税者(いわゆるC階層)」についても、引き続き低所得階層と位置付け、国の軽減制度と同様に月額上限負担額を引き下げます。

2は、利用する居宅系サービスと事業所によって利用者負担軽減制度に格差が生じないように、居宅系サービスに短期入所を加え、さらに、社会福祉法人以外の事業所が提供する居宅系サービスを利用する場合も月額上限負担額を引き下げます。

3は、月額上限負担額を引き下げても、サービス利用量が少ないためにその恩恵を受けることのない利用者への軽減策として、居宅系サービス(通所、ホームヘルプ、デイサービス、短期入所)の利用者負担額を10%から5%に軽減します。

【独自軽減制度の現状】

4月のサービス利用実績では、全利用者1,063人のうち、市独自軽減対象者は、137人(12.9%)で、独自軽減額は、自己負担額112万1千円のうち、660千円(58.9%)で、対象者一人当たりでは平均約4千円の利用者負担額が軽減されます。

【今後の課題】

4月に利用者負担の見直しがスタートした障害者自立支援法。10月から障害程度区分制度が始まり、サービス体系も見直されます。

現在、帯広市では、10月からの新しい支給決定の実施に向けて、対象者への認定調査と障害程度区分決定のための審査会を開催しています。

今後、障害程度区分に応じたサービス利用の決定にあわせ、市町村の裁量で行うことになる「地域生活支援事業」をはじめとした各種事業についても、利用者ニーズを踏まえたサービス内容を固め、制度の円滑な移行に努めます。

また、今年度中に策定する障害福祉計画について、北海道は、身体、知的障害者入所施設利用者を、2011年度までに国の削減比率7%の2倍にあたる14%を削減する基本方針を決定しました。これは、障害者の自立と地域社会への移行を進める考えに基づいたものですが、帯広市においては、地域での受け皿体制の整備が十分ではないのが実状です。

障害者自立支援法の施行により、障害者を取り巻く環境は大きく転換されつつあります。帯広市としては、障害者の真の自立を支援できるように、関係機関との連携をさらに深めながら、今後も必要な施策を展開していきたいと考えています。

(帯広市保健福祉部障害福祉課)


図 所得区分ごとの国と市の軽減制度対象範囲
図 所得区分ごとの国と市の軽減制度対象範囲拡大図・テキスト


〈帯広市の人口と障害者数〉

88,120人
88,773人
合計 176,893人
78,194世帯
・身体障害者手帳交付者数 7,048人
・療育手帳交付者数 1,126人
・精神障害者数 4,496人
合計 12,670人

(平成18年3月未現在)