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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年12月号

静岡県東部地区盲・聾・養護学校
特別支援教育ネットワークの取り組み

佐藤洋子

はじめに

各校では、養護教育の地域の担い手として、それぞれの障害に対する専門的な支援(たとえば、盲学校における点字指導や白杖を使った歩行訓練等)や教育相談を独自に展開してきましたが、特別支援教育という新しい潮流の中で、地域のセンター的機能のあり方をより複眼的な視点で考える必要性を感じています。

そこで、静岡県東部地区盲・聾・養護学校長会(以下、東部校長会)では平成15年度を初年度とし、盲・聾・養護学校(知1・肢1・知肢2)6校とその分校(知1・知肢1・病弱1)3校・分教室(知1)1校が連携して、特別支援教育ネットワークを立ち上げ組織的に活動を展開してきました。

東部ネットの立ち上げ期

平成14年度末に提示された「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」を受け、東部校長会では「連絡協議会」立ち上げの準備を進めました。平成16年度から代表校長と各校のコーディネーターが中心となり、名称を「東部地区盲・聾・養護学校特別支援教育ネットワーク」(以下、東部ネット)とし、本格的に活動を開始しました。各地域にある盲・聾・養護学校が相談窓口となり、障害のある子ども一人ひとりにあった支援を関係諸機関が連携・協力してみんなで支え合っていくことをめざしています。

平成16年度は沼津駅近くの会場を利用し、学校紹介展と教育相談会(年間8回)の実施や定期的(年4回)な会合を開催し、静岡県総合教育センター教育支援部指導主事の出席も仰ぎ助言をいただきました。

東部ネットの構築期

平成17年度からは、関係機関を巻き込んだ「ネットワーク会議」の実現に向けて、地域の福祉関係者や生活支援コーディネーター等との連携を図る取り組みをスタートさせ、保護者向けの講演会の計画など活動に拡がりが出て、次の事業を実施しました。

  1. 東部地区4校の養護学校を中心に各校持ち回りで東部ネットを開催して、地域の関係機関の担当者との情報交換。
  2. 静岡県総合教育センター主催の巡回相談会への協力をスタート。
  3. 保護者対象の講演会の開催(100人ほどの参加がありました)。

図 関係諸機関との連携拡大図・テキスト

東部ネットの充実期

今年度はさらにネットワーク通信の発行(年2回)、保護者・教職員を対象とした外部講師による講演会(各1回)と東部ネット主催の事業の充実が図られ、また、健康福祉センター(福祉圏域)を中心とした地域単位での関係機関との連携会議が活発化し、ネットワーク化がさらに深まってきています。

(1)沼津地域の連携会議

県の機関である健康福祉センターの障害福祉課、こども家庭課、児童相談所、更生相談所、沼津市からは教育委員会、障害福祉課、子育て支援課、障害児保育園、地域療育・生活支援センター、県立学校は、沼津盲、沼津聾、沼津養護、東部養護でスタートしました。今年度は、他の自治体から、2市3町の障害福祉担当者、1町の教育委員会の出席があり、沼津地域の連携会議から、さらに東部健康福祉センター圏域の会議にとネットワークが拡がってきました。

(2)沼津盲学校の取り組み

各地域で開催している「あいEYEフェア」においては、平成17年度から眼科医や教育委員会の後援も受けながら、福祉機関との連携だけでなく、それぞれの地区にある養護学校との協働体制が図られ、いろいろな人に対応できる充実した事業を展開しています。

多方面に展開されるネットワーク

東部ネットの活発な活動で学校間の連携が深まり、東部地区全域を全校で支援していく意識の高揚につながりました。複数校種が同時に支えるケース会議も開催されています。福祉圏域単位の連絡会議や東部ネットでの連携で顔を合わせたことが、個々の支援会議への関係者の参加をスムーズにし、充実した展開が図られています。

しかし、労働・医療との連携はまだ十分ではなく、今後、いかに充実・推進を図るかが課題でもあります。

今後も、子ども、保護者、そして地域の関係者から「在ってよかった」と思われる、頼りになる存在感のある組織として、東部ネットのますますの充実を図っていきたいと考えています。

(さとうようこ 静岡県立沼津養護学校校長)