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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2006年12月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編 ●バスの行き先、他●

提案:甲斐輝正 イラスト:はんだみちこ

甲斐輝正(かいてるまさ)さん

先天性の弱視で盲学校卒業後、所沢市の国立職業リハビリテーションセンターでコンピューターを習い、民間企業に就職。7年前に退社して今は、主に食品のネットショッピングで希望者には点字シールを貼って販売している。他に、筑波大学附属盲学校の同窓会とNPO法人ことばの道案内の理事、江東区の福祉のまちづくり相談員をしている。


バスの行き先

バスの行き先は最近は電光表示になり、特に夜でも見やすくなってきました。これまでの表示は、弱視の私にもかなり見にくいものでした。私がよく利用する東新宿駅のバス停には、池袋駅東口、早稲田、東京女子医大の3コースのバスが来ます。私が乗車するのは、池袋駅東口か早稲田なのですが、表示板のバックの色がオレンジ色で「池袋駅東口」の口の四角形のどちらかが認識できたら、池袋駅東口と判断しています。そして、バックの色がオレンジ色でなくて「早稲田」の一番右の文字の田の四角形が認識できたら、早稲田と判断しています。

複数の路線のあるバス停で行き先を見て判断しづらいときは、隣のバス停が1路線の場合もあるので、そちらのバス停から乗車することもあります。運転手に聞けば済むことですが、バスの運行を遅らせるのもいやですし、周りの人の視線も気になるので、私はめったに聞くことはありません。


待ち合わせ

待ち合わせをする時に普通は、「ハチ公の前」「三越の入口のライオンの前」という場所の設定をすると思いますが、私の場合は、待ち合わせの相手が視覚障害者の場合は、待ち合わせ場所を1平方メートル程に限定します。たとえば、駅の有人改札を出た所、改札を出た正面の壁、電話ボックスの右、券売機の左という感じです。相手が全盲なら白状を持っているので比較的分かりやすいのですが、弱視の場合は、服装や持ち物を事前に聞いておくこともあります。

駅や道路など公共の場所ならば、相手を探しまわってもいいのですが、飲食店だとそうもいきません。やたら歩き回るのも変ですし、テーブルの間の通路が狭かったり、背もたれのない椅子にぶつかったり、店内が暗かったりと、弱視者にとってとても悪い環境だからです。そんな訳で、飲食店での待ち合わせはとても嫌です。でも最近は、携帯電話の普及で待ち合わせに失敗することは全くと言っていいほどなくなりました。


バイキング料理

食べ放題のバイキングスタイルの店に行った場合は、私は、できるだけ料理の置いてある場所に近い所に席を決めます。ホテルなどの朝食でトレイを持って運ぶときは、比較的大きめの皿を2枚トレイの奥に乗せ、ウインナーやハムのようにトングで挟んで、運ぶ途中で分裂しにくいものは皿の手前、炒め物やスクランブルエッグなどスプーンですくって運ぶものは皿の奥側に乗せます。また、料理の残り少ない皿からはよほど食べたいものでなければ、取らないようにしています。何回も空振りしながら取るのは嫌ですから。

わんこそば、プリン、茶碗蒸しなどは一つずつ器に入っているのでうれしいのですが、取るときに容器の手前の下に指が当たるようにして持ち、隣の容器の中に指を突っ込まないように注意しています。

トレイがなく直接皿を持ち運ぶ時は、人に皿が接触しても衣服を汚さないよう、皿の角には食べ物を載せないようにしています。