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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年5月号

食欲と健康の因果関係

宮原映夫

私はおそらくメタボリックシンドローム予備軍だったに違いない。日頃、NPO団体職員として活動をしており、電動車いすに乗っている時間は1日あたり12時間ぐらいである。頸髄損傷(四肢マヒ)による残存機能は腕の一部が少し動く程度なので、スポーツをするというレベルではない。受傷後10年間の体重は平均で52キロから55キロであったが、約3年前からか、久しぶりに会う友人や知人から必ずと言ってよいほど「太ったねぇ」と言われるようになった。ある日、外来ついでに病院で体重を量ってみると、何と体重計は65キロを指していたのである。その後、ある事がきっかけで私の減量作戦は余儀なくされた。それはかかりつけの泌尿器科の医師に「このお腹どうにかならないのかね」と言われたことである。

私のお腹まわりは、すでに1メートルを越えていた。私は排尿方法として「膀胱ろう」にしているのだが、そんな大きなお腹の肉が座位姿勢をとると、膀胱へと繋がる管(カテーテル)がその肉に押しつぶされて、時折尿の流れを止めてしまっていたのである。

減量の方法は、食事全体の摂取量を減らすとともに、炭水化物と塩分摂取を極力減らすようにした。ただ、全体量を減らしてしまうと排便が思うように出なくなってしまうため、食物繊維は以前より多く摂取するようにした。1日3回以上の食事を摂る、一度の食事量は腹7分目、食材はより多くの種類を摂る、血糖値を安定させるため食間におやつを摂る、塩分は極力控えめで油類、炭水化物は一切摂らない、食物繊維の大量摂取、動物性、植物性たんぱく質を摂る、以上を心がけて約1年で10キロの減量に成功し、ウエストサイズも83センチとなった。しかし、この減量によって、以前より目まい(起立性低血圧)がひどくなった。それと、お尻の肉が減ったおかげでお尻の皮膚が座位圧力による赤みが出やすくなってしまった。それと何よりも疲れやすい体になっていたのである。

私はもう一度食事内容について見直した。それは貧血予防になる物や皮膚組織を促進させるような物をより多く摂取し、食事の全体量を腹8分目にしたのである。これが意外に功を奏し、目まい、皮膚の赤み、疲労感減少につながったのである。私はこのベストな状態を継続していきたいので、今もなお食事内容はダイエット食と言われる内容にしている。日頃の食事が粗食なため、たまの外食などはよりおいしさを感じることができる。食欲の抑制と健康維持をバランス良く保ち習慣にすることで辛さを軽減できると私は思う。

(みやはらてるお NPO法人ボーダレス社会貢献事業部)