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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年5月号

霞ヶ関BOX

各府省庁における平成19年度障害者施策関係予算について

内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付障害者施策担当

障害者施策については、「障害の有無にかかわらず、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会」の実現に向け、平成15年度から10年間の障害者施策の基本的方向を定めた「障害者基本計画」及び前期5年間に重点的に行う施策とその達成目標を定めた「重点施策実施5か年計画」を策定し、これらの計画に基づき着実な実施が図られるよう、政府一体となって取り組んでいるところである。

平成18年度は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」及び「障害者自立支援法」が全面施行され、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」が成立し、年末に施行されるとともに、「学校教育法等の一部を改正する法律」が成立し、平成19年度から施行されることとされた。また、海外においては、平成18年12月に、国連総会で、障害者の権利と尊厳を保護・促進するための包括的な国際条約である「障害者権利条約」が正式に採択されたところである。

平成19年度障害者施策関係予算においては、これら障害者施策の進展や平成19年度が「アジア太平洋障害者の十年」の中間年という節目の年を迎えることを踏まえ、関係行政機関が十分な連携・協力を図りながら、雇用、福祉、まちづくり及び教育等広範な分野にわたる諸施策について総合的な推進を図るために必要な予算を確保したところである。

各府省庁ごとの予算の概要は次のとおりである。(〔 〕内は18年度予算額である。)

■内閣府

131百万円〔127百万円〕

障害者に関する啓発・広報活動の推進、バリアフリー・ユニバーサルデザイン施策の推進等を図るための経費を計上している。

(主な事項)

○障害者の自立と社会参加の意欲を高めるための啓発広報活動の推進

  • 障害者理解促進事業経費【拡充】
    (平成19年度は、「アジア太平洋障害者の十年」の中間年という節目の年に当たることから、5年ごとに実施している「障害者関係功労者内閣総理大臣表彰」を行うなど、障害者施策に関する啓発広報活動の拡充を図る)
  • 知的障害者等に対する障害者施策普及促進経費【新規】
    (知的障害のある者自身が、「障害者基本計画」の内容を理解することができるよう、同計画についてイラスト等を活用した平易な啓発・広報資料を検討、作成する) 等

○関係行政機関相互の緊密な連携を確保するとともに、今後の障害者施策全般の在り方を調査研究

○中央障害者施策推進協議会経費

○バリアフリー・ユニバーサルデザイン施策の推進

  • バリアフリー・ユニバーサルデザインの推進・普及方策に関する調査研究
  • バリアフリー化推進功労者表彰 等

○NPO法の施行体制の整備、NPOの活動を促進するための環境整備

○障害者への消費者情報提供(テレビ番組に手話挿入)

○災害時要援護者の支援対策経費

(平成18年3月に改訂した「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」を踏まえ、市町村等の取組を促進するための普及啓発ビデオを作成。また、全国2か所(例・東京、関西等)で避難支援対策の具体的方策に係るシンポジウムを開催してこれまでの取組成果と問題点を整理するとともに、シンポジウムで新たに提起された課題(たとえば、避難所などにおける関連死対策)等について対応方策を検討し、災害時要援護者の支援対策について更なる促進を図る) 等

■警察庁

(※)―〔(※)―〕

障害者の気持ちに配意した警察活動の推進を図るための経費を計上している。

(主な事項)

○警察署等の新築時に際し、障害者の利用に配慮した身体障害者用便所を整備

○手話ができる職員を育成するための講習会を実施

○視覚障害者等の道路横断の安全を確保する交通安全施設等を整備 等

■総務省

56,765百万円〔65,006百万円〕

障害者の雇用・就労の促進、防災対策の推進、情報バリアフリー化の推進、社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及等のための経費を計上している。

(主な事項)

○雇用・就労の促進

  • 障害者の雇用の促進に係る啓発事業
  • 知的障害者の職場体験事業

○防災対策の推進

  • 災害時要援護者に適した消防用設備等に設ける附属装置の評価基準の検討
  • 小規模福祉施設における自主保安体制の構築に要する経費【新規】
    (小規模福祉施設において、施設関係者向けの防火管理マニュアル及び防火教育に活用できる資料等を作成し、自主保安体制の充実強化を図る)

○情報バリアフリー化の推進

  • 視覚障害者向けマルチメディアブラウジング技術の研究開発
  • 高齢者・障害者のICT利活用の評価及び普及に関する調査研究

○社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及

  • ネットワーク・ヒューマン・インターフェースの総合的な研究開発

○情報提供の充実

  • 字幕番組・解説番組等の制作促進
  • 高齢者・障害者向け通信・放送サービス充実研究開発助成
  • 身体障害者向け通信・放送役務の提供、開発等の推進

○傷病恩給の支給 等

■法務省

700百万円〔463百万円〕

司法試験における目の見えない人の受験に必要な措置、刑務所等に収容されている身体障害者等の機能回復訓練に必要な機器整備、障害者に対する差別解消のための啓発活動等のための経費を計上している。

(主な事項)

○司法試験における点字問題及び点字法文の作成等

○医療刑務所等に、機能回復訓練に必要なリハビリテーション機器を整備

○特設人権相談所開設に伴う経費、啓発ポスター作成費等

○成年後見の登録・公証のための登記制度

○登記特別会計の法務局庁舎のバリアフリー化の推進

○日本司法支援センターにおける障害者に対する情報提供の配慮措置(点字パンフレット、音声テープの作成等) 等

■外務省

6百万円〔6百万円〕

国連障害者基金への資金の拠出、国際協力のための経費を計上している。

■文部科学省

113,300百万円〔112,488百万円〕

特別支援教育の充実や特殊支援教育就学奨励等のための経費を計上している。

(主な事項)

○特別支援教育の充実 等

  • 特別支援教育総合推進事業
  • 特別支援学校等の指導充実事業
  • 障害のある子どもへの対応におけるNPO等を活用した実践研究事業
  • 職業自立を推進するための実践研究事業【新規】
  • 特別支援教育普及啓発事業

○特別支援教育就学奨励費負担金 等

  • 特別支援教育就学奨励費(教科用図書購入費、学校給食費、交通費 等)

○特別支援教育設備整備費等補助

  • 私立特別支援学校等の設備整備費補助(スクールバス、重複障害教育設備 等)

○義務教育費等国庫負担金

○公立学校の施設整備(新増改築、改造)に対する国の負担 等

○私立特別支援学校等の運営費補助 等

■厚生労働省

915,425百万円〔827,917百万円〕

障害者の総合的な保健福祉サービスの着実な推進のため、障害者の自立した地域生活を支援するための施策の推進や障害者に対する雇用・就労支援と職業能力開発の推進のための経費を計上している。

(主な事項)

○障害者の自立した地域生活を支援するための施策の推進

  • 良質な障害福祉サービスの確保(介護給付・訓練等給付費 等)
  • 障害者に対する良質かつ適切な医療の提供(障害者医療費負担金、措置入院費負担金、精神科救急医療システム整備事業費 等)
  • 地域生活支援事業の実施
  • 工賃倍増計画の推進【新規】
  • 「障害者自立支援法」の着実な施行の推進
  • 発達障害者支援施策の充実(発達障害者支援開発事業の創設【新規】、発達障害情報センター(仮称)の創設【新規】 等)
  • 自殺対策を含む地域精神保健福祉施策の推進(PTSD(心的外傷後ストレス障害)対策事業、思春期精神保健対策事業 等)
  • 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療体制の整備(医療観察等実施費 等)
  • その他の障害保健福祉関係経費(障害児施設措置費、障害児施設給付費、手当等の給付 等)

○障害者に対する雇用・就労支援と職業能力開発の推進

  • 雇用・福祉・教育の連携による就労支援の強化(関係機関のチーム支援による福祉的就労から一般就労への移行の支援【新規】、障害者就業・生活支援センター事業の拡充)
  • 障害の特性に応じた支援策の充実・強化(若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラムの実施【新規】、発達障害者の就労支援者育成事業の拡充、医療機関等との連携による精神障害者の就労支援の実施【新規】)
  • 中小企業による雇用促進の取組への支援【新規】(中小企業団体による障害者雇用の啓発・推進のためのモデル事業の実施)
  • 障害者に対する職業能力開発の推進(公共職業能力開発施設における障害者訓練の推進 等) 等

■農林水産省

(※)―〔(※)―〕

高齢者・障害者に配慮した生活環境の整備等を図るための経費を計上している。

(主な事項)

○高齢者・障害者に配慮した生活環境の整備

  • 高齢者・障害者に配慮した歩道、福祉施設の用地、生きがい農園等の整備、農業施設のバリアフリー化等の整備
  • 高齢者、障害者等に配慮した森林・施設の整備と利用を推進
  • 高齢者、障害者等に配慮した漁港、漁村の環境整備の実施 等

○高齢者・障害者の自立的活動の促進 等

■経済産業省

978百万円〔1,254百万円〕

医療福祉機器技術の研究開発や高齢者・障害者に配慮した商店街の整備の実施等のための経費を計上している。

(主な事項)

○介護負担を軽減する観点から、福祉機器の実用化開発補助事業等の実施

○障害者等のための移動支援システムに関する情報通信機器・システムの開発・実証実験等を実施

○福祉用具の評価試験方法及び評価基準の確立

○バリアフリー型カラー舗装等、高齢者・障害者に配慮した商店街の整備の実施

○バリアフリー推進化のための標準化調査研究の実施

■国土交通省

378,711百万円〔369,052百万円〕

交通施設・設備のバリアフリー化や障害者にやさしいまちづくりの推進等のための経費を計上している。

(主な事項)

○鉄道駅、旅客船ターミナル、空港等旅客施設等のバリアフリー化の推進

○車両等のバリアフリー化の推進(LRTシステムの整備、公共交通移動円滑化事業等〈ノンステップバス等の導入の促進、福祉タクシー普及促進モデル事業 等〉 等)

○ソフト面等におけるバリアフリー化の推進(ユニバーサルデザインの考え方に基づく観光促進事業、バリアフリー新法に基づく総合的なバリアフリー化の推進、バリアフリーボランティアの本格実施に向けた取り組みの推進 等)

  • 障害者にやさしいまちづくりの推進(幅の広い歩道等の整備等による歩行空間のバリアフリー化、都市公園のバリアフリー化の推進 等)
  • 障害者にやさしい住まいづくりの推進(公営住宅、都市機構住宅における高齢者の身体機能の低下に配慮した加齢対応構造の標準化、心身障害者世帯向公営住宅の供給 等) 等

■環境省

(※)―〔(※)―〕

人にやさしい自然公園等の整備のための経費を計上している。

※ 障害者施策関係の額を特定化できないものについては、「―」と表示している。

平成19年度障害者施策関係予算の概要(単位:百万円)

施策名 平成18年度予算額 平成19年度予算 対前年度増△減額
[内閣府] 127 131
1 障害者に関する啓発・広報活動の推進等 100 101
2 バリアフリー・ユニバーサルデザイン施策の推進 17 13 △ 3
3 市民活動促進に必要な経費
4 市民活動情報提供システムの構築に必要な経費【前年度限り】
5 障害者への消費者情報提供の促進
6 災害時要援護者の支援対策経費 10 17
[警察庁]
障害者の気持ちに配意した警察活動の推進
[総務省] 65,006 56,765 △8,241
1 雇用・就労の促進
2 防災対策の推進 25 11 △14
3 情報バリアフリー化の推進 34 25 △9
4 社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及 300 223 △77
5 情報提供の充実 558 503 △55
6 傷病恩給 64,084 55,994 △8,090
[法務省] 463 700 237
1 司法試験における目の見えない人の受験に必要な措置 △4
2 刑務所等に収容されている身体障害者等の機能回復訓練に必要な機器整備
3 高齢者・障害者に対する差別解消のための啓発活動 15
4 成年後見登録事務処理 282 464 182
5 高齢者・障害者施策施設整備
6 日本司法支援センターにおける障害者に対する情報提供の配慮措置
7 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」の規定による精神保健観察等の実施 165 216 51
[外務省]
1 国連社会問題基金拠出金(うち国連障害者基金)
(51,300ドル相当) (48,300ドル相当)  
2 国際協力(うち障害者関連)
[文部科学省] 112,488 113,300  812
1 特別支援教育の充実等 315 425 110
2 特別支援教育就学奨励費負担等 6,491 6,665 174
3 特別支援教育設備整備費等補助 △1
4 義務教育費等国庫負担金 100,967 101,180 213
5 公立文教施設整備費
6 私立高等学校等経常費助成費等補助 3,425 3,762 337
7 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所の整備運営等 1,285 1,264 △21
[厚生労働省] 827,917 915,425 87,508
1 障害者の自立した地域生活を支援するための施策の推進 814,147 901,544 87,397
  (1)良質な障害福祉サービスの確保 413,057 447,274 34,217
  (2)障害者に対する良質かつ適切な医療の提供 92,964 138,255 45,291
  (3)地域生活支援事業の実施 20,000 40,000 20,000
  (4)工賃倍増計画の推進【新規】 500 500
  (5)障害者自立支援法の着実な施行の推進 12,860 8,784 △ 4,076
  (6)発達障害者支援施策の拡充 262 956 694
  (7)自殺対策を含む地域精神保健福祉の推進 940 1,004 64
  (8)心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に関する医療体制の整備 13,663 15,049 1,386
  (9)その他の障害保健福祉関係経費 260,401 249,722 △10,679
2 障害者に対する雇用・就労支援と職業能力開発の推進 13,770 13,881 111
  (1)雇用・福祉・教育の連携による就労支援の強化 1,994 2,270 276
〈1,028〉 〈1,252〉 〈224〉
  (2)障害の特性に応じた支援策の充実・強化 142 219 77
〈44〉 〈44〉 〈0〉
  (3)中小企業による雇用促進の取組への支援 44 44
〈0〉 〈44〉 〈44〉
  (4)障害者に対する職業能力開発の推進 6,033 5,883 △150
〈1,300〉 〈1,266〉 〈△34〉
  (5)その他の事業 5,600 5,465 △135
〈4,985〉 〈4,899〉 〈△86〉
[農林水産省]
1 高齢者・障害者に配慮した生活環境の整備
2 高齢者・障害者の自立的活動の促進
[経済産業省] 1,254 978 △276
1 医療福祉機器技術の研究開発 1,118 978 △140
2 障害者等ITバリアフリー推進のための研究開発【前年度限り】 80 △80
3 知的基盤整備(福祉用具評価)
4 少子高齢化等対応中小商業活性化事業
5 バリアフリー推進化のための標準化調査研究 56
[国土交通省] 369,052 378,711 9,659
1 旅客施設等のバリアフリー化の推進 8,443 8,552 109
〈0〉 〈0〉 〈-〉
2 車両等のバリアフリー化の推進 2,713 2,667 △46
〈0〉 〈0〉 〈-〉
3 ソフト面等におけるバリアフリー化の推進 85 100 15
4 障害者にやさしいまちづくりの推進 357,811 367,392 9,581
5 障害者にやさしい住まいづくりの推進
6 その他
[環境省]
人にやさしい自然公園等の整備

1:障害者施策関係の額を特定化できないものについては、「-」と表示している。

2:( )内の数字は再掲分を示す。

3:〈 〉内の数字は特別会計の内数である。

4:本表では、百万円未満を四捨五入の上、百万単位で表記している。このため、本表上での積上額及び対前年度増△減額は、一致しない場合がある。