音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年8月号

重点連載 障害者自立支援法と自治体施策

新潟市における障害福祉サービスの利用者負担軽減策

新潟市

はじめに

新潟市は、平成17年の近隣14市町村との合併により人口約81万4千人、面積約726平方キロメートルとなり、平成19年4月1日に本州日本海側で初の政令指定都市に移行しました。

これにより、身体・知的障がい者更生相談所、児童相談所やこころの健康センターを開設し、より専門的な相談及び支援体制の整備を行いました。

また、政令指定都市移行に合わせて「障害」の「害」の持つマイナスイメージや当事者への配慮から、原則的に「障がい」の表記とし、課名も「障がい福祉課」に改めました。

新潟市の利用者負担軽減策の経緯と概要

本市における利用者負担軽減策の歴史は古く、昭和53年度から障がいのある方の自立の助長と経済的負担の軽減を目的として、施設利用者の負担を国基準額より2割減額しており、障害者自立支援法が施行される直前の平成18年3月末まで実施してきました。

平成18年4月の障害者自立支援法の施行に伴い、利用者負担の増加に伴うサービス利用の抑制が懸念されたことから、平成18年度から平成20年度までの利用者に対する激変緩和策として、利用者負担軽減の対象者を従来の施設利用者から、居宅介護などの居宅サービスを含めたすべての障害福祉サービス利用者とし、国基準の負担額の2割軽減を行うこととしました。

また、平成19年4月からは、さらにきめ細く低所得者への負担に配慮するため、低所得1・2の世帯については3割軽減に改めるとともに、障害児施設支援である障がい児施設の利用者についても、障害福祉サービスと同じく、一般世帯は2割、低所得1・2の世帯は3割の軽減を行うこととしました。

新潟市の利用者負担軽減策の特徴

利用者負担軽減策の仕組みは、国の基準で計算した当月の利用者負担額に軽減割合(2割、3割)を乗じて軽減額を算出します。その軽減額を国の基準で計算した当月の利用者負担額から差し引き、実際に利用者がサービス提供事業者に支払う負担額が確定します。

<実際の利用者負担額の算出方法>
当月の利用者負担額=国基準による利用者負担額-(マイナス)軽減額(国基準による利用者負担額×軽減割合)
※軽減額は、新潟市からサービス提供事業者へ直接支払われます。

利用例を図に示しました。低所得1・2に該当する利用者Aさんの利用者負担額の算出方法です。

図 <利用例>
図 利用例拡大図・テキスト

このような本市の利用者負担軽減策の特徴の一点目としましては、すべての障害福祉サービス利用者が対象となることから、サービス利用量が多い方や利用量が少なく上限月額に達しない方でも等しく利用者負担額が軽減されることです。

二点目は、障害福祉サービスとの併用者が多い、地域生活支援事業の移動支援、日中一時支援、生活サポート(以下、生活支援サービス)の利用者負担額との統合上限制度を実施しており、障害福祉サービスと生活支援サービスの併用者は、障害福祉サービスの上限月額以上は利用者負担額が発生しない仕組みとなっています(※当然、前述の軽減割合が適用されますので、実際の負担額は上限月額から2割もしくは3割軽減された金額となります。また、上限月額に達しない場合でも軽減の対象となります)。

おわりに

この他にも、新潟市における障害者自立支援法関連の新規事業は、旧法施設のサービスの質の確保と運営の安定化を目的とした「障がい者施設重度者支援事業」がありますが、今後は、これから設置予定の施策推進協議会や地域自立支援協議会なども活用しながら、引き続き利用者の方々の視点に立った施策の検討や各行政区における地域の独自性を考慮した施策を行っていきたいと考えています。

(新潟市健康福祉部障がい福祉課)