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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年10月号

重点連載 障害者自立支援法と自治体施策

高浜市における独自の施策

高浜市

はじめに

高浜市の障害者施策は、市長のローカルマニフェストにおける五つの重点項目の一つとして、「障害者の経済的自立を支援するため、新たな働く場の確保または企業就労のための訓練の場を確保していく」という障害者雇用の促進を掲げたこと、さらに昨年度の障害者自立支援法の施行を契機に大きく動き始め、重点課題として取り組んでいます。

当市では、障害のある方が働くことを含め、希望や目標を持って、いきいきと日中活動に取り組み、地域社会の一員として、住み慣れた地域で自立して、安心して暮らし続けられるよう、

  1. 地域生活の実現
  2. 「働きたい」の実現

を重点に基盤整備を進めています。この理念の下、高浜市独自の取り組みとして、次の事業を行っています。

地域生活の実現に向けての支援

●障害者おためし外泊支援事業

グループホーム等を利用し地域生活を希望する障害のある方が、地域生活に円滑に移行できるよう、「おためし外泊」による地域生活を体験できる場として、平成16年に「みんなの家」を設置し、自活能力と自立意欲を高める支援を行っています。

平成18年10月からは、一人でも多くの障害のある方がさまざまな場所で「おためし外泊」を体験できるよう、おためし外泊に要する費用の一部を助成する「障害者おためし外泊支援事業」としての支援を始めました。

「働きたい」の実現に向けての支援(障害者雇用の促進)

(1)企業体験実習手当金等支給事業

障害のある方が企業就労するには、当事者の適性を把握することも必要ですが、当事者が企業で働くことの不安を自信に変えていくことも重要です。そこで、障害者の企業就労を進めるため、社会福祉施設における訓練課程として、企業における体験実習を行う障害のある方に対し、企業体験実習手当金を支給する「企業体験実習手当金等支給制度」を平成18年4月より創設しました。

障害のある方が、制度を活用し企業で体験実習を行うことにより、目指そうとする具体的な職種や、就労のイメージも鮮明になり、就労に向けたインセンティブを与えることで就労への自信にもつながるなど、企業就労に向け非常に有効な手段となります。

また、社会福祉施設において行ってきた訓練の成果や、障害のある方の特性に応じた企業内での環境調整の必要性などが明らかになるとともに、企業の障害のある方に対する理解の促進にも資するものです。

高浜市における障害分野での取り組み事項

  「働きたい」の実現に向けた支援 地域生活の実現に向けての支援
18年4月 市の単独事業として 4/1~
「企業体験実習手当金支給事業」
 
5月 市役所に「障害者雇用プロジェクト」設置
ニーズ調査の実施(悉皆調査:市内の全障害者(65歳未満)を対象))
5/17~5/31
 
6月 障害者向けの委託訓練の実施
パソコン初級コース(於:衣浦地域職業訓練センター)
6/8~7/27(13名(うち市内8名))
総合相談窓口(地域包括支援センター内)に相談支援専門職員配置 6/1~
9月 企業の意識調査の実施
(悉皆調査:市内の全企業を対象)
9/19~10/6
 
10月 ジョブコーチによる業務分析の試行
・市内の企業(2か所)、市役所
10/25、11/6~11/9
市の単独事業として 10/1~
「障害者おためし外泊支援事業」
12月 就労を考えるシンポジウム開催 12/1  
19年4月 障害者自立支援法に基づく多機能型施設の開設 4/1~
・「就労移行支援事業」の実施
市の単独事業として 4/1~
「職場適用援助者(ジョブコーチ)試行事業」
・「生活介護事業」の実施
総合相談窓口の体制強化 4/1~
相談支援専門職員 1名 → 3名

(2)障害者就労支援会議

障害のある方の雇用に関するノウハウを共有し働く場の拡大を図るために、ハローワーク、地元商工会等多くの関係機関が役割を分担し、機能を強化・補完し合って対応できるネットワークを構築するため、高浜市地域ケア会議に「障害者就労支援会議」を設置し、就労支援に係るケース等について、具体的処遇方策の協議及びサービス提供機関の調整について協議しています。また、就労支援に係るニーズの把握及び各種サービスの充足状況の把握や、企業体験実習の受け入れ事業所の把握などについても協議しています。

(3)職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業

障害のある方の就労支援としては、職場の開拓や仕事のマッチング及び継続的な定着支援を行う職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援が効果的であり、重要とされています。しかし、地域障害者職業センターによるジョブコーチの助成金の対象となるためには、就労支援を開始してから少なくとも1~2年の期間を要することになります。

このため、障害者の就労支援を行う市内の事業所(障害福祉施設)が就労援助機能を高めるためにジョブコーチを配置して障害者の就労支援に取り組む場合に、地域障害者職業センターによる助成金の対象となるまでの間、市の単独事業として障害者の就労を支援しています。

(4)障害者雇用プロジェクトの設置等

市が、率先垂範して、市役所における障害者雇用のあり方等を検討するため「障害者雇用プロジェクト」を設置しています。

具体的には、ジョブコーチによって各グループから切り出された障害者適応業務についてのガイドラインを作成し、それに基づき、市で雇用して取り組む業務、委託して障害のある方が取り組む業務などに区分し実施します。

また、当市からの業務委託等においては、価格と価格以外の要素を総合的に評価して落札者を決定する総合評価方式による「政策入札」を導入し、障害者雇用計画などに関する評価指標を加え、障害者雇用を推進します。

おわりに

こうした取り組みの他に、4月からは、商工会の会長を理事長とする新たな社会福祉法人により就労移行支援事業(定員20人)と生活介護事業(定員15人)を行う多機能型施設が開所されました。また、市では相談窓口体制の強化を図り、「地域生活の実現」「働きたいの実現」のために利用者の声を聞き、地域共生の実現に向け取り組んでいきます。

(高浜市福祉部地域福祉グループ)