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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年11月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●「輪ゴム」が自助具に?!、他●

提案者:西田正純 イラスト:はんだみちこ

西田正純(にしだまさずみ)さん

1949年生まれ、1976年、26歳の時に海水浴の飛び込み事故で受傷、C6の頚髄損傷に。四肢・体幹マヒ。国立重度障害センターでのリハ後、元の職場に復職し現在に至る。1994年には遅まきながら結婚。電動車いす使用。


「輪ゴム」が自助具に?!

C6頚髄損傷者の私は手指が完全にマヒし、しかも手指関節の拘縮も少ないため、フォークなどは柄を太くした物を使っています。外出などの際にもフォーク、スプーンは持ち歩きますが、柄の太い物はかさばるので通常のフォークなどにしています。この時に使う「自助具」が普通の「輪ゴム」です。使い方は、フォークなどを輪ゴムを使って指に固定します。外食の予定がなく、フォークなどを忘れても、和食の店でもフォークなどは貸してくれますので、輪ゴムさえあれば大丈夫です。このため私は、輪ゴムを車いすのスイッチに掛けたり、バッグに入れたりして、いつも4~5個は持ち歩いています。

このほか輪ゴムは、ボールペンを使う時や何かの補修など、いろいろ役立ちます。注意点は、輪ゴムは劣化するということ。古いとイザという時に切れて使えません。また、手に合った大きさの輪ゴムを使ってください。小さいと血行が悪くなりますし、反対に大きいとフォークなどが外れやすくなります。


便利なオリジナル棒

C6頚髄損傷者の私は、パソコンのキーボードを手指で直接操作しようとすると入力速度が遅かったり、誤って隣りのキーを押したりで能率が上がりません。そこで十字架状の棒を弟に作ってもらい、使用しています。

材料は棒本体がDIYセンターで購入した直径1cmのアルミパイプ、横の細い棒はクリーニングで掛けてくれる鉄線のハンガーを切ったものです。先端には滑り止めのゴムが付けてあります。最初は鉛筆に輪ゴム(これは前項で紹介した輪ゴムの活用のひとつ)でヘアピンをくくり付けて使っていましたが、これを使いやすく発展させたものです。これに指を引っ掛けて使います。これにより入力速度が格段に上がり、さらに付け外しが簡単なので、ほかの作業と交互に行う時にも能率が落ちません。

このほかリモコンのボタンを押すのにも使えますし、CDをドライブに入れる時に棒の先にCDを引っ掛けて使ったりもしています。


この位置なら使える「プッシュアップ・バー」

手動車いすに乗るC6~C5の頚髄損傷者は上腕三頭筋が利かず、肘関節を伸ばす力がありません。このため、プッシュアップ(主に座骨部の褥瘡防止のために体をシートから浮かせ、臀部の圧迫を除き、血行を回復させる動作)をするのにアームレストより低いハンドリムを使います。低い位置のハンドリムなら指を掛けて肘関節を伸展・ロックさせ、そこから肩関節を下げることで体を持ち上げられます。ところが、このレベルの人が外出時に使うことの多い電動車いすにはハンドリムはありません。オプションにもこうした目的のものはありません。

そこで私は、独自に「プッシュアップ・バー」を取り付けています。使い方は手動車いすの時と同様です。力が弱いので体が完全には持ち上がりませんが、一定の除圧効果は得られると思います。バーの前方が下がっているのは、もともとハンドリムを模したためです。使いやすい高さに手を掛けられるので、その時々の姿勢に合わせて使えます。このバーは、左右に崩れた姿勢を直したり、前にずれ落ちた体を引き上げるのにも役立ちます。