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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年12月号

特別企画

2007 私が選んだ今年の5大ニュース

北海道
西村正樹(にしむらまさき)

大学在学中に交通事故のため車いす生活となる。その後、北海道庁に採用され、現在、道立心身障害者総合相談所に勤務している。また、DPI日本会議副議長等も務めている。

1.第7回DPI世界会議韓国大会開催

9月5日から4日間の日程で、71の国と地域から2,700人が参加して開催されました。障害者権利条約を中心として企画され、日本からは300人を超える参加がありました。女性障害者サミット、日韓差別禁止法セミナーなども開催されました。

2.障害者の権利条約に日本政府が署名

日本政府が条約の署名をこの時期にすることは異例とのこと。これも日本障害フォーラム(JDF)に結集した日本の障害者団体の努力と情熱によるものであり、今後は、批准に向けた取り組みの強化が求められます。

3.今こそ変えよう!「障害者自立支援法」10.30 全国大フォーラム&10.27北海道フォーラム開催

昨年に続き、日比谷公園野音と厚労省前で全国から6,500人が参加して実施されました。当事者のあきらめない姿勢と思いが結集された行動であり、北海道でも10月27日に560人の参加により開催しました。

4.DPIアジア太平洋ブロック事務局長トッポン・クンカンチット氏(タイ)死去

6月7日の午後、バングラデシュから帰国した翌日に亡くなりました。日本とのつながりも深く、国際的な障害者運動のリーダーでした。

5.DPI北海道ブロック会議理事(障害者自立生活センター・IL―ism)冨田直史氏死去

8月5日に自らが企画した「障害者でもいいっしょセミナー(DPI北海道主催)」を目前に、7月31日に31歳で亡くなりました。6月のDPI日本会議神奈川大会では、命の重さを問う特別分科会でシンポジストを務めた障害当事者運動の若きリーダーでした。


埼玉県
増田一世(ますだかずよ)

ほんの腰掛けのつもりが、間もなくやどかりの里で働き始めて30年。精神障害のある人が私の人生の導き手。事業収入を得るためにソーシャルワーカーと編集者の2足の草鞋(わらじ)で活動。やどかり情報館(精神障害者福祉工場)館長。

1.日本政府が障害のある人の権利に関する条約に署名

障害や疾病から起こるさまざまな不都合や不利益を社会の側で変更・調整していくことを求めるという考え方を日本の常識にしていかなくてはならない。障害者権利条約の批准に向けて、重要な局面にある。

2.今こそ変えよう!「障害者自立支援法」10.30 全国大フォーラム

昨年の10.31大フォーラムに引き続き、自立支援法の見直しを求める声はさらに高まっている。今まで声を上げてこなかった人も立ち上がっている。

3.『私たちのつかんだ宝物「さいたま市っていいね」って言われたい…』出版(やどかり出版)

2006年度にさいたま市の障害者協議会と障がい者施設連絡会が自立支援法の学習フォーラムを重ねながら、さいたま市に市独自の軽減施策を求めた取り組みの記録集を出版。次なる一歩に向けて歩み始めている。

4.「障害者自立支援法」の見直しと埼玉県の障害者福祉の推進を求める埼玉県民集会

埼玉県でも障害関係団体が大同団結して県民集会を開催。つながること、市民に伝える大切さを実感。

5.埼玉新聞に「やどかりの里通信」の連載スタート

地元紙に月に1回(第1水曜日)、障害のある人の暮らしや人生、やどかりの里の日常風景を伝えている。一般読者に伝わる記事を書く修行中。


千葉県
稲垣吉彦(いながきよしひこ)

有限会社アットイーズ取締役社長。強度弱視の中途視覚障害者。視覚障害者向け情報補償機器の販売・サポートを業務とし、中途視覚障害者のカウンセリングも行う。

1.「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」施行

全国に先駆け千葉県で7月に施行されたこの条例は、障害のある人に対する理解を深め、誤解や偏見、差別をなくしていこうという取り組みです。この条例の理念が広く浸透し、障害の有無にかかわらず、誰もが暮らしやすい社会が実現することを期待しています。

2.Windows Vista対応スクリーンリーダー発売

「Windows Vista」が発売された1月30日、国内初のWindows Vista対応スクリーンリーダー「FocusTalk Ver.2.0」が、その後1か月と遅れることなく「PC-Talker Vista」が発売されました。今まで新しいOSが発売されても、利用できる環境が整うまで半年以上待たされていた視覚障害者にとって、この上ない朗報でした。

3.新たな音声ブラウザの登場

国内で初めてWindows Vistaに対応した音声ブラウザ「NetReader」が、10月に発売されました。視覚障害者のウェブ閲覧環境がより向上し、情報補償がまた一歩進んだ、うれしい話題です。

4.携帯性に優れた視覚障害補償機器の充実

4月に発売され話題となった小型点字ディスプレイ「ブレイルメモポケット BMPK」をはじめ、拡大読書器や点字ディスプレイなど、視覚障害補償機器の小型化、軽量化が進展した1年でした。携帯性に優れた視覚障害補償機器で外出先での情報補償が担保され、視覚障害者の社会進出がより進展することを期待しています。

5.日常生活用具給付等事業に運用のばらつきが顕在化

障害者自立支援法の施行に伴い、日常生活用具給付等事業が地域生活支援事業に組み込まれ1年が経過した今年は、その対象機器や対象者など、各市区町村ごとにその運用のばらつきが顕在化した年でした。視覚障害者の情報補償を考える上で、来年以降もその動向が気になる話題のひとつです。


千葉県
野沢和弘(のざわかずひろ)

毎日新聞夕刊編集部長。知的障害の長男がおり、全日本手をつなぐ育成会理事や千葉県障害者差別をなくす研究会の座長なども務める。「条例のある街」(ぶどう社)、「親」(Sプランニング)を今年刊行した。

1.千葉県障害者差別をなくす条例施行

600人の地域相談員、16人の広域専門指導員、さらに県の機関として差別を解消する委員会を設置し、全国初の障害者差別をなくす条例が始動した。早くも多数の相談が寄せられているが、条例ができたからといってすぐに何もかも解決するわけではない。この条例が成立したのは昨年だが、当初から深くかかわった私としては、やっぱり今年の福祉ニュースの一押し。岩手や鳥取でも条例づくりが進んでいるなど波及効果にも注目すべきだ。

2 安倍内閣から福田内閣へ

にわかに評価はできないが、国連障害者権利条約に署名したり、障害者自立支援法の見直しに前向きな姿勢を見せるなど、福田内閣は障害者の権利と福祉に積極的にかかわろうとしているようにも見える。「安倍さんの頃とずいぶん空気が変わった」という人は多い。人権擁護法案や障害者虐待防止法に向けた動きも水面下で始まっているので、注目!

3.国連障害者権利条約に署名

これからが正念場。国内法の改正に対してどこまで抵抗勢力を説得できるのか。条約を批准し、障害者差別禁止法の制定が待たれる。

4.成年後見が悪用される事件が多発

成年後見制度の活用が急増している半面、制度を悪用した詐欺事件などが各地で相次ぐようになった。再発防止策は?

5.障害がテーマのドラマ、漫画がヒット

知的障害の女性の子育てがテーマのマンガ「だいすき!」が大人気で、来年1月からTBSの連続ドラマに。「裸の大将放浪記」もリメークで話題に。今年に限ったことではないが、障害者モノは一般視聴者の心にも響く。


東京都
市川宏伸(いちかわひろのぶ)

1982年より東京都立梅ヶ丘病院に勤務し、2004年より同病院院長。発達障害に関する著書最新刊『子どもの表情・しぐさ・行動がちょっと変だな?と思ったとき読む本』(主婦と生活社)。

―子どもの精神科からみた私の5大ニュース―

1.発達障害児の受診が増加し続けている

子どもの精神科では発達障害児の受診者増加が続いている。この傾向は、一般の小児科についても見られる。厚生労働省は子どものこころの診療に携わる医師の増加を諮るための施策に取り組んでいる。

2.障害者自立支援法による障害程度区分の認定が始まる

二次判定では、医師の診断書が必要だが、知的障害の重症度が反映されない。市区町村の発達障害の判定に大きなばらつきがあり、特に入所者の判定は通所者に比べて低い傾向がある。

3.4月より、正式な特別支援教育始まる

モデル事業を行っていた市区町村は比較的順調に進んでいるが、取り組みへの意識が低い行政単位も見られる。現場での特別支援教育への対応は大きく異なり、保護者の混乱もみられる。

4.発達障害者支援開発事業開始される

発達障害者支援法に基づく、厚生労働省が中心となった支援開発事業が、都道府県・政令指定都市で始まった。行政単位により、取り組みへの意識の違いが大きく、今後の取り組みの進展が期待される。

5.新しい中枢神経刺激薬の発売が決まる

国内では、発達障害児への中枢神経刺激薬の使用は、医療保険の対象となっていなかった。服用すると半日効果の続く徐放剤の治験が終了して、医療保険適用となる徐放剤の発売が予定される。


東京都
藤岡毅(ふじおかつよし)

1982年から障害をもつ友人たちとともに生きてきたつもり。1995年弁護士登録。2001年神田の雑居ビルの一室で個人事務所を開業。障害者の権利に関することはライフワーク。

1.障害者自立支援法110番

「障害と人権全国弁護士ネット」と全国の障害者団体らが協働で、自立支援法に関する当事者の声を聴く110番を3月などに実施。応益負担などに苦しむ悲鳴が全国各地から寄せられました。

2.自閉性障害児の自傷行為による失明事件判決 原告勝訴

大阪高裁の6月21日判決(確定)。自閉性障害を有する児童が自傷行為を起こさないように防止する義務が学校にあるとした原告全面勝訴判決。自閉性障害をこれだけ深く考察した判決は珍しいでしょう。

3.シンガポール航空搭乗拒否事件判決 原告敗訴

神戸地裁尼崎支部の8月9日判決(控訴中)。

重度障害者の航空機への単独搭乗を「障害」を理由に拒否した航空会社の対応について、裁判所は「有効」としました。昨年、国連で障害者権利条約が採択されましたが、日本の司法の障害者の権利に関する理解は「この程度」という意味で象徴的な出来事。

4.船引町(現福島県田村市)支援費訴訟判決 原告敗訴も実質勝訴

福島地裁の9月18日判決(確定)。障害者本人が月165時間の介護支援を希望している場合に125時間と支給決定する場合、「40時間を拒否した理由を書かない決定は違法」と判示されました。全国の障害者福祉の実務に及ぼす影響は多大なものがあります。

5.移動介護の上限撤廃を求める闘い続く

昨年11月29日東京地裁は、自治体が支援費を「上限」により削減する処分は違法と断じました(鈴木訴訟・確定)。今年1月被告の自治体は要綱の何時間「以内」を「標準」としましたが、実態は変わりません。1月22日、全国131の障害者団体等の連名で上限撤廃の申し入れを行うなど、移動介護の上限撤廃への闘いは続いています。


静岡県
櫻井忍(さくらいしのぶ)

知的ハンディのある仲間とかかわり暮らして20年。「自分づくり・仲間づくり・社会づくり」をスローガンに活動してきた。現在、障がいがあっても自分らしく自由に生きる日々の生活の場づくりを支援するNPO法人めぶきの会理事。

自立支援法1年過ぎて痛感~ワーキングプアって私たち?!

1.まっことしっかりできている利用負担金徴収の仕組み

地域生活支援サービスをたくさん利用しヘルパーさんに支えられて企業に働き続ける彼女。めでたく給料が上がったら利用負担も一気にアップ。かえって生活は苦しくなった。

2.神戸の障害者作業所が最低賃金法違反で指導受ける

障害のある彼らが持てる力を十分発揮し仕事をイキイキこなせるのは、「質の高い援助や指導」のできるスタッフがいてこそなのです。一社会人として作業所で働き暮らす障害者の所得保障について、皆で考えていかなければ。

3.奈良の会社が年金横領、何と35年間も

木工会社が10人以上の知的障害者を雇用し賃金もろくに支払わず、年金を横領した。知的なハンディを引き受けて生きる彼らの人生だとしても、当たり前に人としての幸せをつかむことができなかったのは、なぜか?!!

4.第7回国際アビリンピック、静岡で開催

ハンディのある人もない人も、その可能性を拓くために、何事にもチャレンジできる、平和な国際社会の実現が夢です。

5.ピープルファースト、新たな芽吹き~ゆっくりでも心底から自分たちの力をつけよう~

第14回ピープルファースト全国大会開催の後、呼びかけた合宿で「自分でわかって自分で決める、そのための支援を私たちは必要としている」と話し合った。15年の歩みを重ねた今、まさに「ピープルファーストの活動を自分たちのものに!!」と、静岡のメンバーたちも確かな前進。


大阪府
門川紳一郎(かどかわしんいちろう)

NPO法人視聴覚二重障害者福祉センターすまいる理事長。盲ろう者の存在をアピールするため国内外で活動を続ける。自身パソコンの虫であり、盲ろう者に使いやすいパソコンの環境づくりにも取り組んでいる。

1.韓国に盲ろう者を支援する会が発足

3月16日、韓国に「盲ろう者の自立&支援会」が発足。盲ろう者の会が発足したことをマスコミで取り上げられたのは、アジアでは日本に次いで2番目。

2.全国盲ろう者大会に韓国から参加者

昨年、第16回全国盲ろう者大会(大阪)に、大会として初めて海外からゲストに韓国の盲ろう青年を招いた。彼は帰国後、前述の会を発足。続く、本年8月の第17回全国盲ろう者大会(熊本)にも、韓国から盲ろう者2人を含む8人の参加があった。今後の日韓の交流に期待したい。

3.ESCAP会議に盲ろう者が参加

9月19日~21日、タイの国連会議場で開かれたESCAP会議に世界盲ろう者連盟アジア地域代表が非政府団体の一員として参加。特別企画では、盲ろうのコミュニケーションの方法を紹介しながら盲ろう者の存在を訴えた。

4.条約に「Deafblind」

昨年12月13日に採択された「障害者の権利に関する条約」。日本政府は9月28日、115番目に署名。24条「教育」の3項Cに、“…blind, deaf or deafblind,”とある。Deafblindという言葉が初めて登場したことは画期的だが、日本語訳が気がかりなところ。「盲ろう者」と訳していただきたい。「盲ろう」とは他の障害者とは違って独自の障害者なのだから。

5.新企画「盲ろう者向けパソコン指導者養成研修」

来る11月21日~25日、全国盲ろう者協会主催「盲ろう者向けパソコン指導者養成研修」が行われる。盲ろう者へのパソコン指導が確立されていない現在、大変意義のある企画である。


大阪府
西滝憲彦(にしたきのりひこ)

1947年大阪生まれ。小児結核で死線をさまようもストマイにより回復し副作用で失聴。ろうあ者福祉指導員として吹田市役所に30年間勤務後、大東市障害者生活支援センター所長。全日本ろうあ連盟の手話通訳対策部長。

1.道路交通法改正

すべての聴覚障害者に運転免許取得の道が開かれました。聴覚障害者標識表示が義務になることについては、国会の付帯決議で必要に応じ見直しを行うことになっています。

2.ろう教育の専門性が危ない

学校教育法の一部改正に伴う特別支援教育制度により、ろう学校の名称変更や盲学校などとの統合が行われ、手話の言語環境もおびやかされ、ろう教育関係者に不安が強まっています。

3.デフリンピックで最高の金メダル3つ

アメリカのソルトレーク市で開催された第16回冬季デフリンピックに日本から17人の選手が11種目に挑み、3つの金メダルと1つの銅メダルを獲得しました。金メダル数では、ロシア、チェコに次いで3位で、過去最高の成績でした。

4.映画「バベル」に字幕

菊地凛子さんがろう者の女子高生を演じ、数多くのろう者が出演し、アカデミー賞候補になった映画「バベル」に、英語や手話に字幕が付き、日本語音声に字幕が付かないことから、若いろう者を中心に4万人以上の署名を短期間に集める運動が行われ、その結果、字幕が付けられました。

5.合理的配慮の理念広がる

障害者権利条約の理解がすすんでいますが、中でも「合理的配慮」の新しい考えは、聴覚障害者にとっては職場や学校などで手話通訳や要約筆記通訳の配置が求められるなど権利を守る上で重要な役割を果たすでしょう。


兵庫県
糟谷佐紀(かすやさき)

神戸学院大学総合リハビリテーション学部社会リハビリテーション学科講師。社会福祉士を目指す学生に、住環境整備、まちづくり、ユニバーサルデザインを教える。日本リハビリテーション工学協会理事。日本福祉のまちづくり学会幹事。一級建築士。

1.住宅のバリアフリー改修促進税制の創設

持ち家の改修工事時の借入金が30万円以上の場合、借入金の一定割合が所得税額から控除される(3年間の特別措置)。高齢者や障害者の住宅に対しては固定資産税の減額もある。住まいの安全性に対する意識が高まり、早期に対策を図る人が増えることを期待する。

2.社会福祉士および介護福祉士法制定20周年

認知度は高くなったが、職場環境や待遇はあまり良くないのが現状。メディアの影響が大きく、若者の社会福祉離れが目立つ。何事も意欲を持って取り組み、社会で必要とされる社会福祉士を送り出せるよう努めたい。

3.能登半島、新潟県中越沖地震の発生

相次ぐ地震により、多くの方が被災された。阪神淡路大震災の教訓は活かされているのだろうが、テレビに映る避難所の様子は変わらない。災害弱者への対応はどの程度向上しているのだろうか。

4.神戸ユニバーサルツーリズムセミナー開催

重度障害者も安心して旅行を楽しんでもらいたい!と、旅先での宿泊、食事、移動、介護をコーディネートするサービスを行うNPO法人ウィズアスWINGKOBEの活動を紹介。非日常の旅を楽しむためには、旅先での日常をサポートする仕組みが必要である。住所地以外での介護サービスが利用できるようになれば、もっと自由に旅を楽しめるのに。

5.障害者権利条約に署名

日本は115か国目の署名国。批准までの道のりはまだ長くかかりそうだが、一歩前進である。権利という概念で捉えると、さまざまな問題の解決の糸口が見つかると期待する。


島根県
矢田朱美(やたあけみ)

「ふあっと」所長。1952年生まれ、精神科病院で15年間看護師をしていたが、1989年から拠点を地域に移し活動している。1997年に開所した地域生活支援センターで所長をしながら現在に至る。ネットワークによって助けられている毎日です。

1.連携はみんなの安心のキーワード

出雲の精神保健と精神障害者の福祉を支援する会「ふあっと」が20周年を迎えた。人が寄り添う支援を続けて20年。このネットワークが精神障害者の…、そして支援者の安心に繋がっている。人のつながりの歴史が「ふあっと」の宝である。

2.「ふあっと」が関わる3つの退院支援

島根県の退院支援・出雲市の生活保護受給者の退院支援・日本精神科看護協会の医療・福祉ケアミックス型の退院支援。この3つの退院支援を通して、ますます、行政・医療・福祉の協同の必要性が見えてきた。

3.出雲市自立支援協議会が動き始める

三障害のネットワークがインフォーマルからフォーマルへ…。お互いの専門性を尊重しつつ、障害者が安心して生活できる街づくりを目指して協同し、新しいものを創ることのできる協議会のスタートだ。

4.危機介入~地域型ACTの実践に向けて~

医療機関が安心して患者さんの退院を進めることができるように、また多少、病状の落ち着かない患者さんを地域が受け止めることができるように、医療と福祉の協同がますます必要になってきた。出雲の精神科救急支援チームをより強化させて、地域型ACTのような支援体制を創ろう。

5.NPO法人こころの森

当事者の力は偉大なり。退院支援・当事者同士のエンパワメントに大活躍中。


マレーシア
田中絹代(たなかきぬよ)

1968年生まれ。青年海外協力隊派遣後もマレーシア・ペナン州で知的障害者支援を続けている。3歳の次男はダウン症。作業療法士 修士(開発学)。

1.マレーシアの知的障害者のパワーを実感!

8月の権利擁護に関する講習会で、知的障害者たちが、英国からの講師相手にしっかり発言していた姿がとても印象に残っています。全国的には、知的障害者が身体障害者と一緒に交通機関への抗議活動へ参加。個人・全国レベルとも確実にパワーをつけています!

2.障害者の親たちの活動開始

1年間に及ぶ話し合いや施設見学の後、知的障害者のより良い生活に向けて、ペナン州の親たちの活動が10月に始まりました。手工芸や社会スキルを学ぶ機会の提供とともに、親同士の交流の「場」になりはじめています。

3.貴重な国際交流の瞬間

今年10月「国境なき楽団」主催のツアー参加者(代表でシンガーの庄野真代さんも参加)と知的障害者との交流会がありました。障害も国境も忘れた感動的なひとときでした!

4.マレーシアの障害者政策

まだマレーシアでは国連障害者の権利条約は批准されていません。でも、今年は、起業助成や就労障害者への手当の引き上げの決定といった障害者の経済活動・就労意欲を高める政策がだされました。支援者の育成が課題です。

5.日本の社会福祉への危惧

今年、衛星放送で流れてきた日本のニュースは、無理心中や餓死など暗い話題が多かったように思います。日本の社会福祉が「公助」から「自助努力」へと比重が移る中で、問題を抱える者同士、地域内、家族間での「互助力」を育む人材や制度がもっと必要なのではないでしょうか?