音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2007年12月号

工夫いろいろエンジョイライフ

実用編●入院中のテレビのイヤホン、他●

提案者:山崎眞佐子 イラスト:はんだみちこ

山崎眞佐子(やまざきまさこ)さん

私は、関節リウマチ患者です。発病から28年、リウマチとの長いお付き合いが続いています。四肢障害で、身体障害者手帳2級です。両膝は人工関節で、しかも曲がりが悪くなり、股関節は可動域がほとんどありません。段差などはまともに上がれません。他の関節もほとんど破壊されて固まっています。(社)日本リウマチ友の会高知支部会員。


入院中のテレビのイヤホン

ベッド上で生活することの多い病院では楽しみも少なく、やはりテレビを見る時間が多くなります。病室でテレビを見る時は、周りの人のことを考えて、音が外に漏れないようにイヤホンで聞くようになっているのですが、私は肘の曲がりが悪く、その上肩、手首の障害とあいまって、あの小さなイヤホンを耳の中にはめることができません。そこで、何か方法はないかといろいろ考えました。

このイヤホンは、コードの部分を菜箸に巻き付け、耳に入るところはトップのところに輪ゴムで止め付け、耳にはめられるようにしました。これで立ち上がっても、少しの動きでは外れません。

何の不自由さも感じずに暮らしていた頃と比べて、「考えること・工夫すること」を学んだのはリウマチのお蔭だと思っています。


さて、どうしよう? 高さの足りない身障者トイレ

股関節の可動域や膝の曲がりに制約があるので、私は外出先の身障者用トイレは利用できません。その時のお助けグッズが、携帯用ミニトイレ(市販の福祉用具・メディカル・ユリアポット)です。排泄問題は避けては通れないことの一つで、個室の中でどんな姿であれ、人手を頼れない時の強い味方です。この携帯用トイレのお蔭で外出先でのトイレの心配をせずに出かけられます。ビニール袋の部分をたたんで化粧ポーチに入れて携帯します。この商品は、今では市販の自助具として簡単に手に入るようになりました。

他にお気に入りは、何年か前にスーパーで見つけた取っ手つきの調味料(醤油・ソース用600cc)入れと、スヌーピー柄の冷茶入れ(1000cc)です。これを携帯用に利用する時もあります。

スーパーやホームセンターで売っている物でも、違った視点で見ると、別の活用方法があることを教えてくれるきっかけとなったのは、最初に入院した病院のリハビリの先生が作ってくれたソックスエイド(カルテの表紙の素材利用)を見た時です。それは、「なるほど何かを利用して……」と思わせる最初の出会いで、発想の転換になりました。


さあ大変! 家の中で転倒

昨年の夏、家の中で前のめりに転倒。何回目かの転倒で、両肘骨折と相成りました。左額に大きなたんこぶ、左まぶたは腫れて目がつぶれた状態。左右の肘の関節はもともとリウマチのため相当悪く、その上このアクシデントでの骨折。今まで日常生活で使い勝手の悪かった肘の曲がりがより悪くなった時です。

こうなったからにはとにかく小道具作りで何とかしなくちゃと、ホームセンターを経営している友人に事情を伝え、柄のすご~く長いフォークと歯ブラシの試作品を作ってもらい(水道の自在管使用)、大変助かりました。ただ使うにはコツも練習もいり、まだ改良の余地もありますが、肘のご機嫌次第では食することがうまくいかない時もありました。

その後、目の周りの腫れがひいたものの赤紫のパンダ状態の顔で、化粧ブラシ、眉墨、口紅などのメーク用を作ってもらったりして(軽量のアルミの長いパイプに取り付け)、結構チャレンジを楽しんじゃいました。

日常生活において、そのままでは全くできないことを、自助具は少しでもできるように手助けをしてくれます。リウマチは病変、症状がそのつど違ったり、障害もさまざまで個人差があります。自助具が万能だとは言えませんが、可能性を広げてくれます。