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「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2008年4月号

重点施策実施5か年計画の推進について

厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課

重点施策実施5か年計画に記されている厚生労働省に大きく関係し重点的に実施する施策は、「生活支援」「雇用・就業」「保健・医療」「情報・コミュニケーション」の分野が挙げられます。

◎生活支援

(1)利用者の立場に立ったサービス体系の実現と事業者の経営基盤の強化

平成18年に施行された障害者自立支援法は、その附帯決議により施行後3年を目途に、障害児施設の実施主体の見直しや障害者等の範囲について検討するとともに、就労の支援を含めた障害者等の所得の確保に係る施策の在り方について検討を加えることとされてます。

また、その改革内容が抜本的なものであったことから、施行後の施行状況等を踏まえ、障害者自立支援法の見直しの検討を進めることとしています。

(2)地域自立支援協議会を中心とした相談支援体制の充実

障害福祉サービスは、市町村を基本とする仕組みであり、市町村における障害福祉サービスの利用援助等の体制充実を図る観点から、地域自立支援協議会を中心とした障害者の地域生活を支えるネットワークを構築することとしています。また、地域自立支援協議会は、平成24年度までに、全市町村に設置することを目標としています。

(3)障害福祉計画に基づく障害福祉サービス等の計画的な基盤整備

障害者自立支援法では、都道府県及び市町村に対し、地域の実情に応じた障害福祉計画の策定を義務づけ、障害者が自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、施設入所者の地域生活への移行や一般就労への移行等に関する数値目標を設定し、その達成に必要な障害福祉サービスや相談支援サービス等が地域において計画的に提供されるよう同計画の着実な推進を図ることとしています。

(4)精神障害者の退院促進と地域移行の推進

精神科病院に入院している精神障害者のうち、受け入れ条件が整えば退院可能と言われている約7万人の精神障害者について「入院医療中心から地域生活中心へ」という考え方に基づき、退院促進と地域移行を推進します。

◎雇用・就業

(1)福祉施設から一般就労への移行の促進

障害者が地域で自立して生活していくうえで、就労できる環境を整備していくことは極めて重要であり、福祉施設から一般就労への移行を促進するため、就労移行支援事業所や就労継続支援事業所の計画的な整備を行うこととし、具体的な数値目標を定めています。

(2)授産施設等で働く障害者の工賃水準を引き上げるため「工賃倍増5か年計画」による福祉的就労の底上げ

平成19年度から5年をかけて、障害者の経済的自立に向けて、一般就労への取組に加え、非雇用で働く障害者の工賃を官民一体となった取組を推進し、工賃水準の倍増を図るとともに、一般雇用への移行を推進します。

(3)福祉施設等における仕事の確保に向けた取組の推進

福祉施設における障害者の仕事の確保に向けて、国は、福祉施設等の受注機会の増大に努めることとし、地方公共団体に対しても福祉施設等の受注機会の増大の推進を要請することとしています。

◎保健・医療

(1)自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する知識の普及

昨年6月に閣議決定された「自殺総合対策大綱」に基づき、自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関するガイドラインを作成・配布し、自殺未遂者・自殺者親族等のケアの方法について普及することとしています。

(2)精神科医をサポートできる心理職や専門職員の養成

精神科医をサポートできる心理職等の養成を図るとともに、精神保健福祉士の資質向上に向けた検討を行うこととしています。

◎情報・コミュニケーション

○障害者IT総合推進事業の実施及び障害者が使いやすい情報通信機器、システム等の開発・普及支援

障害者のITの利用・活用の機会増大を図るため、地域におけるIT支援の総合サービス拠点となる障害者ITサポートセンターの設置運用や、障害者が使いやすい情報通信機器、システム等の開発など産学官(産業、研究機関、官公庁)との連携を図り推進します。

最後に、厚生労働省では、障害者が地域で暮らせる社会の実現と自立と共生社会を実現するため、以上のような施策を中心に取り組んでいくこととしています。